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2 大切なお友達だから

午後からは、さっそくマルガリータが来たので、ダイを相手役にして連携の練習をする。


といっても、私は武術を習ったことがないため、私はマルガリータから護身術の基礎を学び、またダイを相手にした試合形式の練習では、マルガリータが私を警護しながら相手を攻撃するという動きの練習をする。


やっぱり、モヤモヤするわね。


最優秀生徒に選ばれたい。だから、闘技大会に参加して上位に入りたい。


でも、私は、闘技大会に参加するからには、たんにマルガリータに守られる対象で終わるのではなく、自分もなんらかの役割を果たしたいのだと思う。


ただ、今の私には、自分の身を守るための実力すら備わっていないのだから、今は護身術の基礎練習あるのみだわ。

私はひたすらに護身術の型の動きを繰り返した。


マルガリータが私の様子をうかがっているのがわかる。

微笑み返そうとするけど、笑顔が固まる。

私たちは、お互いぎくしゃくしたまま今日の連携練習を終えた。



練習後、マルガリータと一緒にお茶をいただこうと部屋に戻ると、スビートが朝と同じ位置で、同じ姿勢をして丸まっていた。

まさか、息をしていないとかじゃないでしょうね、と不安になって顔を近づけると、微かないびきの音が聞こえる。


猫はいいわね、お気楽で。などと考えていると、スビートが薄目を開け、肉球で私のほほをそっと押した。

「ママ?」スビートは寝言を言うと、また寝てしまった。

なに、かわいい。疲れがどこかに飛んでいったわ!


マルガリータが笑い出した。

「ママ、って聞こえました!猫ちゃんなのに、寝言を言うなんて、もう、スビートったら、かわいい。めちゃくちゃ癒されるー!

きっとスビートも、ライラお姉さまが大好きなのですわ!」


「もう、このマザコン猫は、本当に、かわいいとしか言いようがないわね」


「マザコンって」とマルガリータは、お腹を押さえて笑っている。



「もう、なに?うるさいなあ。君たち、なにかあったの」

スビートが目を覚ましてぼやいた。


「え、スビートがしゃべっているわ。え、え、魔物?お姉さま、危ない!」


マルガリータは私とスビートの間に回り込み、木刀を構えて、後ろ手で、私を自分の背後に引っ張り込んだ。

鍛えているだけあって、力が強い。


私は、マルガリータの背後から、こそこそと言った。

「スビートは、その、しゃべることができるの」


「え、猫なのにですか。あと、ライラお姉さま、御存じだったのですか?」

マルガリータが、木刀を構えたまま、上半身だけ振り返り、私を覗き込んだ。顔が近いわよ。


「それが、ダイが言うには、スビートは、聖獣らしいの」

「聖獣ザラトーリェーフ様?!」

「もう、失礼だよ。僕に、刀を向けないでほしいんだけど」


マルガリータは呆然と木刀の構えを解いた。

スビートは怖かったのか、自分の手をぺろぺろなめ始めた。

私は、そんな様子を見ながら、ふっと、さっきまでのモヤモヤの原因を口に出してしまった。


「マルガリータ、お願い。スビートのことを知ったついでに聞いてほしいことがあるの。

誰にも言わないでほしいのだけれど、その」


「ライラお姉さま、私、お姉さまとの秘密を絶対誰にも言いません。本当です」


「あなたを信じて言うのだけれど、私、私のスキルは、バフ系スキルではなく、精神攻撃系なの。

相手を、私がお願いしたことをかなえなくてはならないという気持ちにするスキルなの。


このスキルの内容は、悪用されると危険だから、誰にも言わないよう、おじいさまにアドバイスを受けたのだけれど、でも私、マルガリータのことを友達だと思っているから、秘密にするのがつらくて」


「スキル、友達、、、」


「ええ、マルガリータはとても大切な友達よ。だから、本当のことを言うわ。


闘技大会に一緒に出てくれるのはうれしいけれど、友達だから、一方的に守ってもらうのは嫌なの。

私も少しでいいから、あなたの役に立ちたいと思っているわ」


「・・・。すいません、ちょっとショックで。ちょっと帰ってもいいですか、本当に申し訳ありません」

マルガリータはびっくりしたようで、お茶も飲まずに帰っていった。


「あーあ」スビートが体をなめるのを中断して、私の顔を見た。しかし、私が見返すと、あわてて自分のお尻をなめ始めた。


せっかく恋愛フラグを立てても、ライラは速攻で折ります。

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