2 スキル実技講義初級
「ライラ・オルロヴァ公爵令嬢のスキル授与を確認しました。
あなたのスキル名は、、、【公爵令嬢のお願い】です!」
アンドレ先生は、ためを作って、盛り上げて発表してくださったので、私も付き合いで拍手をしておく。
「ありがとうございます」
「もーう、あんまり驚いてないでしょ。
わたしったら、一人ではしゃいじゃって、もう、恥ずかしくなっちゃう」
「いえ、その、ありがたく思っておりますわ」
「ふふ、ごめん、訳ありなのね。
大丈夫よ。変なこと言っちゃってごめんなさいね」
先生は、私の様子を見て思うところがおありのご様子で、ばちっとウインクを決めた。
多分、『私が何かの事情でスキルを隠していたがその事情が変わったので明らかにすることにした』と予想しておられるのではないかしら。
まあ、大筋はそのとおりですわ。
「じゃあ、スキル実践の初級講義もすすめちゃうわね。
これを履修すれば、もっとレベルの高いスキル実践講座の受講や闘技会に参加できるわ。
そうね、最優秀生徒を狙うなら、11月16日にあるスキル闘技会に出てみてちょうだい。
出るだけでも、けっこう、高い評点がつくわよ」
「ありがとうございます」
アンドレ先生は、私に使い方はわかるかと聞いてきた。
どういったスキル効果があるのかをスキルを授かった者が漠然と感じることが多く、その感覚を頼りにスキルの内容を確定させるのだそうだ。
私は言った。
「まだよくわかりませんが、多分、近くにいる対象者1名に、私を守るようお願いすると対象者の攻撃力や防御力が上がるような気がします」
本当は、【公爵令嬢のお願い】スキルは、「誰であっても、私がお願いしたことはなんでも叶えなくてはいけないと感じる」という支援の中でも精神攻撃系のスキルだ。
だが、対象者無限定、要求内容無限定な精神攻撃系スキルは、危険視されてしまう可能性がある。
そこで、お願いの内容を限定して、対象者1名を対象にしたバフ系のスキルだと説明してみよう、というのが、昨夜おじいさまと話し合って立てた作戦だ。
「まあ、いいわね!使ってみて!」
「はい。ええっと、“ダイ、私を守って”」
「どう、ダイさんは何か感じるかしら?」
「そうですね、どうせお願いされるなら、もうちょっと妹みを感じられるように言ってほしいです」
ちょ、ちょっと、何を言い出すの!
ダイの趣味は、ここでは関係ないでしょ!
アンドレ先生が困ってるじゃない!
ダイは言い直した。
「あと、言われてみたら、攻撃力と防御力が上がっているように感じます」
ダイは用意していた木刀で案山子を突くと、案山子が倒れた。
「なるほどね、すばらしいわ!
スキルでお願いする対象はだれでもいいのかしら」
「よくわかりません」
私は内心びくびくしつつ言った。
私のスキルはバフ系スキルではないが、ダイは休日に聖地巡礼している関係でレベルが高いため、攻撃力が上がった演技をしてもらって、乗り切る予定だったのだ。
「うーん、ダイさんは、11月初めに学園にカボチャの化け物が出た時に助けれてくれたでしょ、もともと結構攻撃力高いわよね。
ちょっとぐらいバフが乗ってもわからないかもしれないわ」
そこに、たまたまマリがやってきた。
「そこのあなた、王宮のメイドさんね?ちょっと、手伝ってくれないかしら」
「なに?ダイさんの知り合い?これから草むしりしなきゃだけど、ちょっとならいいよ」
「ちょっとライラ様のお願いを聞いて、それから、この木刀を振ってみてほしいの」
「あ、婚約者様、いいよ、でございますよ」
え、どうしよう、考えてなかった。




