2 お友達ができました
確かに、前世はごくごく平凡に生きていたのに、生まれ変わったら公爵令嬢で、ステータス高くて、美人で、スタイルいいのにお胸はたゆんたゆんといういかにもゲームのURキャラクターらしい容姿になっているなんて、チートかもしれないわ。
そんなことをぼんやり考えていると、お客様がおみえになった。
同じ学年のケイトリン・アローリナ公爵令嬢とマルガリータ・ジュコフスカヤ伯爵令嬢だ。
マルガリータが、私のところにお見舞いに行きたいけど、出す顔がないとケイトリン様に相談し、ケイトリン様が一緒に来てくださったのだ。
「私もライラ様のお見舞いに来たかったから、ちょうどよろしかったのよ」
ケイトリン様は、マルガリータがここに来るまで悩んでいたことを説明すると、にこやかに言った。
「それよりも、マルガリータさん、ライラ様にお伝えしたいことがあったのでしょう」
ケイトリン様が自分の後ろにいたマルガリータを押し出すと、マルガリータは堰を切ったように話し始めた。
「ライラお姉さま、今までお見舞いに来ることができなくて、申し訳ありません。
あと、猫を助けてくれて、ありがとうございます。
トニア様から、猫がコテージで保護されていると聞いて、本当にありがたくて。
なのに、私は、情けないことに、外に出るのが怖くて、今までお礼を言うことができなかった。
それに、ライラお姉さまが、イヴァン殿下とツチャビッチ・ミトロヒナがいちゃいちゃしているのを見て、ショックを受けて倒れたと聞きました。
私のせいで!
私が、ツチャビッチ・ミトロヒナともめたから、イヴァン殿下に、ライラお姉さまがあの女をいじめていると告げ口されてしまったから!
ライラお姉さま。
本当にごめんなさい」
「勇気を出して来てくれたのね。うれしいわ。
トニアに猫のことを伝言するように頼んだから、いつお見えになるかと楽しみにしていたのよ。
イヴァン殿下のことは、もう何とも思っていないわ。
だから気にしなくていいのよ。
それより、猫にスビートという名前を付けたの。
会ってあげて!スビートもうれしいでしょう」
私は、窓際で腹を見せて寝ていたスビートのところにマルガリータを案内した。
スビートは、熟睡していたところにいきなり人が近づいてきたためだろうか、びくっとして起き上がると、寝ぼけたまま逃げ出そうとして、クッションにつまずいて転んだ。
マルガリータは笑い出した。
「ライラお姉さま、ありがとうございます。
スビートのこと、かわいがってくれているのですね。
猫ちゃん、幸せそうでよかった」
マルガリータが笑ったのは久しぶりな気がする。
私は、すこしほっとした。
私は、お二人をお茶に誘い、学園の様子を聞いてみた。
そして、こっそり二人の様子を伺い、【公爵令嬢のお願い】スキルが発動していないかを観察した。
学園では、ミトロヒナ嬢がイヴァン殿下といちゃいちゃしており、私がそのことにショックを受けて引きこもっているという噂が流れているらしかった。
また、ボリス・サハロフ様とトノリ・タハロフ様も、ミトロヒナ嬢につきまとい、関心を引こうと必死になっているらしく、そのことも面白おかしく噂になっていた。
ケイトリン様は、ボリス・サハロフ様の婚約者なのだけれど、すでにアローラ公爵家から婚約をボリス様の瑕疵で破棄するとサハロフ家に通知したそうだ。
私もイヴァン殿下とさっさと婚約破棄か、それが無理でも婚約解消したいわ。
ケイトリン様は、少ししゃべりすぎちゃった、秘密にしておいてね、とおっしゃった。
ケイトリン様は賢くて、言わないことは絶対言わないタイプの人だから、私のスキルの効果かもしれない。
「もちろんですわ。
言いにくいことを教えてくれてありがとうございます。
私も、できれば同じ結果が得られるよう努力するつもりなの。秘密よ。
ケイトリン様がうまくいくことを祈っておりますわ」
そういうと、ケイトリン様のお顔がすっと明るくなった。
「ありがとうございます。
私も、本当は吐き出したかったのかもしれませんわ。
すっとしました。
ライラ様、今まで私たち、家のこともあってあまり交流しなかったけど、これを機会に、お友達になってくれませんこと?」
「まあ、うれしい」
ボッチ脱出ですわ!
すると、マルガリータも言った。
「私も秘密にします。絶対に誰にも言いません。
あと、私、実はライラ様のこと、少し怖いと思っていました。
だけど、猫ちゃんのこととか、ライラ様の本当のお気持ち、優しさに気付きました。
私、ライラ様を守るために、もっと強くなります」
「ありがとう。
守ってくれるのはうれしいけど、私たちもお友達でしょ?お友達は対等よ。
私も、マルガリータを守れるように、強くなるわね」
私たちは、そう言って笑いあった。




