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1 転移者チートはずるい?

5と0が付く日は学園の授業がない。

もっとも、引きこもりの私には何ら関係がないのですけれど。


今まで疑問を持っていなかったけれど、ゲームのご都合主義だなと思うのは、学園が休みでも、一般社会は休みではないということだ。

お店は開いているし、それどころか、お祭りがあったり市が立ったりと休日イベントがあったりするため、かえって街はにぎやかだ。

使用人たちもいつもどおり勤務している。

社会人は、自分が休みたい時に休む仕組みなのだ。


今朝はキアラが起こしに来てくれた。

お茶会に行くような、動きやすいドレスを着せてくれる。

学園を休み始めてからは、一日中寝間着だったり、ゆるっとしたワンピースだったりと、貴族の子女らしくない格好を続けていたから、キアラは危機感を持っていたみたいね。

あと、仮病もばれているみたい。

毎日、スビートとお散歩しているのですもの、しょうがないわ。


朝食はテラスでいただく。

スビートは、牛乳で煮た鶏肉を食べて、うれしそうだ。

やっぱり、どう見ても、ただの猫よね。


給仕をしているダイに話しかける。

「ダイはお休みの日に何をしているの」


「いきなりどうされたのですか、お嬢様」


「少し、周りの人たちの趣味とかを聞いてみようかと思っただけよ」


「友達がいない、などと申し上げたことを気にしてらっしゃるのであれば、大丈夫ですよ。

いろいろ言いたいことはありますが、私は忠誠を尽くすタイプです」


「別に話したくないのなら、かまわないわ。

踏み込んでしまってごめんなさいね」

私は、自分のスキルを知ったこともあり、気を使いながら言った。


なにかお願いをすると、強制力のある命令に聞こえるなんて、結構気を使わないといけないスキルよね。


食後のお茶は自室でいただくことにする。

スビートは、最近、朝は冷えるね、と言いながら、窓際に置いたクッションの上でごろごろしている。


ダイは、お茶を入れながらぽつりと言った。

《私は、休みの日に、聖地巡礼をしています》


《聖地巡礼?》


《アル戦の舞台になった場所に行くことです。

ミッションの舞台になった場所を現実で見ると、あらためて気付きがあります》


想定していたよりも、濃い回答だった。

《この近くでミッションの舞台というと、、、》

私は思いついた2、3の地名を挙げた。


《もちろん、そこも行きましたが、結構あちこち行きますよ。

私は、ノーマルモード、ハードモードの双方をクリアしていますからね》


《え?オルロー領も?》

オルロー領は、馬車で5日、馬で早駆けしても2日はかかる場所にある。


《転移者チートと申しますか、私、一度行った場所であれば瞬間移動できるのでございます》


《え、なにそれ、ずるい。私もオルロー領に行きたいわ》


《残念ながら、実験してみたことがあるのですが、瞬間移動できるのは私一人だけです》


ふーん、そう。


《楽しそうでいいわね、うらやましいわ。

どういったところに行ったのかしら》


ダイは、目をキラキラさせながら、苦労話を語り始めた。

休みの日に、オルロー城まで行き、そこからは目的地までは、ずっと歩く。

馬を借りると、返せないからだ。


夜になると人目につかない場所に行き、そこで王都のコテージに帰る。

そして、次の休みの日に、前回たどり着いた場所から、また目的地に向かって歩き始めることを繰り返したらしい。


時々、親切な現地の人が、荷馬車に乗せてくれたり、とれたての果物をくれたりしたのがいい思い出だそうだ。


あと、ミッションの中には、現地の住民が困っていることの解決が目的になっているものがあった。

ダイは、そういったミッションの発生を防ぐため、あらかじめ魔物を倒したり、仲が悪い村の村長たちを引き合わせて仲裁したり、男女の三角関係を解決したりと水戸黄門ばりに活躍していたらしい。


私が王子妃教育と学園の勉強ばかりしていた時期に、ダイは、そんなことをしていたのね。ふうん。なに、それ。


《ちなみに、ほかにも転移者チートはあるのかしら》


《そうですね、言語チートのおかげで言葉がわかるのはありがたいですね。

ただ、問題もありまして、こちらの言葉でしゃべろう、と思って日本語でしゃべると、相手にアステリア語で聞こえ、相手がアステリア語でしゃべっていても、日本語に聞こえます。

このため、私は、こちらの文法や単語はわかりません。

固有名詞ならなんとかわかるのですが。

また、そういった状況ですので、アステリア語の文字も読めません。

読み上げてもらえれば、意味は分かるのですが》


《まあ。私は、二つの言葉を使い分けている感じですわ。

やっぱり、転移者と転生者は違いますのね》


《そうかもしれません。

あと、私は、アイテムボックスも使えますし、それから、鑑定スキルではありませんが、パーティに加入した人のステータスを見ることができますよ。


お嬢様がスビート様と仲良くなられたからだと思いますが、昨日から、スビート様のステータスを見ることができるようになりました。


ようは、アル戦のプレイヤーができたことがそのままできる感じですね》


《アイテムボックス!ステータスオープン!え、ずるい!》


私は思わず叫んだ。


《まあ、便利ですけどね。

でも、私からすれば、ゲームの登場人物、それもURキャラクターになってしまったお嬢様が一番チートだと思いますけどね》


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