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3 ちょっと反省します

ダイはおじいさまが私につけてくださった侍従だ。


7歳の時、王子妃としての教育を受けるため、あと人質的な意味合いもあって、私は領地にいる両親から引き離され、数人の使用人とともに王宮のコテージで生活することになった。


私は辛かった。


それまで領地でのびのび生活していたのに、いきなり何も知らない、ごみごみした王都に連れてこられた上、礼儀作法だのなんだとの口うるさくしつけられ、甘えさせてくれる両親もいない。


領地の管理のため仕方がなかったのだと今ならわかるが、あの当時は、大好きなお父様、お母様に捨てられたような気がした。


だから私は、使用人たちにあたり、わざとわがままを言って困らせて、さみしさをまぎらわせた。


だけど、自分がわがままを言う悪い子になったことはわかっていたから、どんどん自己嫌悪が募っていって、するとますますいらいらして使用人たちにあたるという悪い循環にはまって荒れていた。


多分、そのまま育っていれば、平気でうそをつき、ささいなことでも気に入らなければ周りの人をいじめぬくアル戦の悪役令嬢ライラ=オルロヴァになっていたと思う。


そんな時、おじいさまが王都にいらっしゃった。


たぶん、使用人から話を聞いて、私のことを心配してくださったのだと思う。


おじいさまは、私を叱るでもなく、私の話を聞いてくれ、お願いしたことを全部かなえてくれた。


さらに、私の遊び相手としてダイを連れてきた。


ダイは、私と同い年ぐらいに見えた。


でも、変に落ち着いていて、私のわがままも軽くあしらい、くだらない冗談を言っては私の目を楽しいことに向けさせてくれた。


おじいさまが領地に帰るとき、ダイをそのまま私の侍従として残してくれた。


ダイは、伝令や学園に行く時の荷物持ち兼警備といった侍従の仕事のみならず、買い出し、荷物運びといったコテージのこまごまとした雑用をやってくれているようだった。


おじいさまとダイのおかげで、私はだんだん王都の暮らしに慣れて落ち着いた。


ダイは、私の生活の面倒を全部みてくれ、遊び相手になってくれ、愚痴も聞いてくれる、兄兼友人兼使用人みたいな存在である。



そんなダイが異世界転移者だったなんてびっくりだ。


私が異世界の記憶を思い出したからわかっただけで、思い出さなければ一生気が付かなかっただろう。


さらに、ダイは、アル戦のスタジアムで世界ランカーのダイ007さんでいらしたらしい。


確かに、アル戦についてよくご存じでしたわ。

知識の分野はおおいに偏っていたけれど。


私はあんなに世話になっていながら、ダイのことを何一つ知らないのだということがよくわかった。


どこの出身かといったことは、異世界転移しているのなら今まで話せなかっただろうけど、どういう経緯でおじいさまに召し抱えられたのかとか、何が好きで休みの日はどう過ごしているかとか、聞いたこともなければ考えたこともなかった。


あと、ダイは、マリが王宮に情報提供をしているかもしれないと言っていた。

まったく初耳だ。


今、このコテージにいるオルロー家の使用人は、キアラとダイと料理人、料理人の弟子だけだ。


マリ他数人のメイドは、掃除や洗濯をさせるために王家からコテージに派遣されている。


イヴァン殿下の婚約者かつ公爵令嬢である私に何かおかしな行動がないかを王家が見張っていても何の不思議もないが、マリは明るくて、いろいろ気を配ってくれるいい子だと思っていたから、びっくりだわ。


マリは、なにかとダイに絡んでいくので、ダイのことが好きなのかしらと思っていたのだけれど、むしろ警戒しあっているのかしら。


なんだか自分が周りの人にあまり興味を持っていなかったことがよくわかったような気がする。



もしかしたら、私が友達少ない理由って、こういうところなのかしら。





私は考え事に疲れ、そのまま眠りに落ちた。

2022.07.10 読みにくい箇所と改行を修正しました。

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