表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
終末の黙示録  作者: 無神 創太
第七章 過去との対峙

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

394/411

第391話 本題1

「それで、ノキアちゃん。今回みんなを集めたのは、一体どんな要件?」


 目的をまだ誰も知らない中、余裕綽々と問いかけるのは司。それはどこか、楽しんでいるような声音だ。


「ノキア“ちゃん”じゃなくて、ノキア“さん”!! もしくは司令官!! ……それと、司。態度が悪い!!」


 ノキアさんは声を大きくして、即座に飛ぶ的確な訂正。激怒という感じではないが、言葉の端々に揺るがぬ威圧が宿っている。


「あいーす」


 司は肘をつく姿勢だけは改めるも、しかし反省の色はほとんど見えない。

 舐めているわけではない。ただ、そういう性格なのだ。ひねくれた余裕と自信が常に先に立つ。


「わかっている人もいると思うけれど。社長就任十年の記念パーティが、二週間後に控えているわ」


 ノキアさんは小さく息を整え、視線を会議卓全体へと巡らせた。


「当日は世界各国から、政界の大物、大口投資家や資産家。文化人や著名人。そして次世代を担う各分野の有力者まで集まる予定なの」


 ノキアさんの発言に、空気がわずかに引き締まる。

 単なる祝賀会ではない。それは国と企業、金と権力が交錯する巨大な社交の場。


「――これは好機よ」


 ノキアさんのそれは、断言だった。


「これまでは特定の個人に会うため、こちらからアポイントを取り、相手に合わせる必要があったけど。今回は向こうから一堂に会してくれるわ」


 ヘッドハンティングの観点から見れば、ノキアさんの言う通りこれ以上ない状況。

 通常、引き抜きは水面下で行うものだ。現職への配慮が最優先。接触は極秘裏に進め、最後の最後まで表に出さない。


「でも今回はパーティ。通常とは、ちょーっと違うわ」


 ノキアさんの瞳が、静かに光を帯びた。


「ってことは」


 ここまできちんと前置きをされては、今回の招集と目的につき察しがつく。


「そうよ。パーティに参加するのは、矢面に立つ人たちの仕事。私たちは、私たちの仕事をしましょう」


 ノキアさんはパーティに合わせて、ヘッドハンティングを行うつもりだった。

 これは単なる祝宴ではない。今回は接触の機会が、選び放題の舞台が、最初から用意されている。


「それならまずは、必要な人材のリストアップ。とはいえ、アポイントは必要になるよね」


 凛が即座に口を開く。可憐な外見とは裏腹に、思考の切り替えは早い。すでに実務の段取りへと頭が動いている。

 誰を狙うのか。優先順位は。接触方法は水面下か、それとも偶発を装うか。柔らかな声でありながら、内容は具体的だった。


「パーティに合わせて現地視察。早めに来日する人物もいるはずよ」


 卓上のタブレット端末に視線を落とし、ノキアさんは続ける。


「その点を考慮するなら、一週間前。そのあたりから、勝負どき」


 パーティ前日までが、最大の山場とノキアさん。

 パーティ当日は公の祝宴。監視の目も多く、各国要人の警護も厳重だ。あからさまな接触は避けるべき。

 つまり本番は、その前。公式行事が始まる前。警戒がまだ完全に固まりきらない隙間。そこで水面下の接触を重ね、布石を打つ。祝賀会は舞台装置にすぎず、本当の仕事はその裏で進む。


「パーティの参加者名簿を取得。リストアップを開始」


 ティナの指が迷いなく、キーボードを叩く。画面には名前や肩書きが羅列され、優先順位の振り分けが開始されているはずだ。


「パーティか。どんな人が来るんだろうな」


 仕事とされる中でも、思わず本音が漏れた。

 政財界の大物に、著名人。普段ならテレビ越しでしか見られない顔ぶれだと思えば、胸が少し高鳴る。


「きっと蓮夜さんが好きな、あのアクション俳優も来ると思いますよ」


 正面から静かな声で、メリルがさらりと言う。驚きも冗談めかしもなく、ただ事実のように。


「なんで知っているんだよ? 俺があの俳優が好きだって」


 特に好き嫌いを公言した記憶はなく、故になぜかと不思議な部分があった。


「前に言っていたじゃないですか。シーズン二が始まるって。シーズン一の話もしていましたし、蓮夜さんの態度を見ていたらわかりますよ」


 メリルは淡々と補足をして、観測者らしい答えだった。


「ヘッドハンティングがメインか。それならオレ様には、できる仕事はねぇな」


 天井を仰ぎながら、ガイがぼやく。

 力こそ至高。正面から叩き潰すことなら任せろ、という男だ。

 だが今回の任務は、交渉と根回しが主軸。言葉と信用で距離を詰める戦い。ガイはその口調と素行の荒さから、スカウトやヘッドハンティングへの直接参加を制限されている。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ