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第64話 全員で泉に向かう

薄い霧の中、歩いてます。下草払ってあるからコートとかあまり濡れなくて助かる。

前来た時のように、足元を這う霧じゃない。なので自然の霧だね。ディーさんに壊された門が見えた来た。

門の中に入ると地鳥ちどりがイヤイヤして一歩も動かなくなってしまったので門の内側の木に4羽とも括りつける。地鳥を襲うような生き物はここにはいないしね。泉はすぐそこだから何かあったらわかるはず。今回は全員で泉に向かう。

泉は前来た時と変わらずそこにあり、綺麗な水面に私達を映し、祠の前を見れば何とも言えない輝きを持った光が4つ。

泉から冷たく心地いい風が吹くと薄くかかった霧が晴れ、そこに4人の人影が見えた。

一人はもちろんティレンカ女神………後の3人は男性のようで………って私と同じような姿?!

これには一同驚いた。神々ってティレンカ女神と同じ姿じゃないんだ?!!

ギリシャ神話に出てきそうな服装に、ロシアの人みたいな銀髪に青い目………美形のお兄さんと2人と小さな男の子………。一瞬ボケっとして凍りついた私達だけど、私とディーさんは橋を渡って小島の祠の前に、残りの人達は橋の前で膝を折る。


『良く来たの。深音、王よ………結論は出たようじゃの』


ニコリと微笑むティレンカ女神。


「えぇっと出たんですが………ティレンカ女神?こちらは本当に御兄弟………?」


『うむ。長兄のカラントと次兄のトゥレン、弟のフォトンじゃ』


『姉上、思うにこの娘が言いたいのは容姿が違うのに兄弟なのかと言いたいのでは?』


そう言ったのは一番小さな男の子。フォトン神。


『だろうねぇ………本来は僕等のような恰好をしているんだよお嬢さん。だけどどうも僕等は父が血を分けた一族に愛情を注ぐ傾向にある。ティレンカが好んでこの姿なのもその一つだと思ってくれればいいよ?』


随分フランクな口調で言うのは長兄カラント神。


『兄上、あなたは仮にも大虎族ルーヴェンシアを司る神の王なのですよ?もう少しマシな口調はできないのですか?』


そう長兄を窘めるのは次兄のトゥレン神


『え?だって今更でしょ??』


大丈夫だろうかこの神達ひとたち………。


『えぇい。深音達が呆れているではないか!!!もう少しシャキッとせい!!!………安心しろ深音。結果がどうであれ、妾がそなたに一番良いようにしてあげる』


そう言うとティレンカ女神が私の事を抱きしめる。


『姉上………それは依怙贔屓になるんじゃ………?』


『煩い!!深音は妾を長きにわたる苦悩から救い出してくれたのじゃ!!おおかげで私はセイウスとディークラウドに再び会えたのじゃぞ?!まして、我が愛しい子の子孫と結ばれようと言うのじゃ。妾は深音が一番可愛い』


ティレンカ女神………気持ちはありがたいんだけど苦しいデス。

もがいていたらディーさんが救出してくれた。


「………気持ちはありがたいのですが、ミオンが苦しがってます」


『お?それは済まぬ事をした………大丈夫か?深音』


ディーさん有難う~!!!ガッシリと抱きしめてくれるディーさんの両手を感じながらティレンカ女神に頷く。


「でも出来れば加減して下さい………」


『ふふふ。君達って本当、見てて飽きないなぁ………一応、ずっと君等の事見てたんだ………結論はここに残る、でいいのかな?』


「っ!!はい」


『正直に言うとまだ、確約はできない。今まで召喚してた子は、僕等の管理する別の星から連れてきてたんだけどね………今回はよそ様の宇宙から借りてきたからなぁ………』


「よそ様の宇宙???」


『別の神がいる宇宙だよ。今回、ティレンカと波長の近い子がいなくてね………最初から話すと………僕等はティレンカが何処にいるか見つけられなかった。神はね、地上の聖所ではない場所に長くいると力を失うんだ。だから僕等はティレンカを早く取り戻したかった。ケド、場所が分からない。僕等の呼びかけも無視するしね。だから、召喚される女の子を選ぶ時にはティレンカと波長が合う子にしたんだ。もしかしたら探してくれるかもしれないでしょ?駄目だったらそのまま王と結婚して貰えばいいし。ほら一石二鳥っていうの?』


あははははと軽く笑われ少しイラッとする。

………自分勝手な神だな………人の人生なんだと思ってるんだろう………。いきなり召喚されて無理矢理王の妻になったっていう先代の人達に想いを馳せる。どれだけ怖かったろうか………。いきなり見ず知らずの所に放りだされて。

それを、ティレンカ女神を探せなかったら王と結婚すればいいじゃんてどういう事???

ここに来た当初、神にあったらナグッテヤルと思った事を思い出す。そうしようか、と拳を固めたときだった。


――――ッパァアンッ!!!


スナップの効いたティレンカ女神の右手が閃いた。カラント神の左頬を神速の右手が襲う。


『深音にわざと殴られようとするのはお辞めなさい。兄上』


わざと???


『バレタ?………ゴメンネ深音ちゃん。これでも、一応罪悪感と言うものを勉強したのよ。僕達。今までは特に何とも思ってなかったんだけどねぇ………正直、君とティレンカの子孫が惹かれあうなんて予想もしてなかったし。違う種族にしたのもさぁ、いい加減にティレンカ見つけて欲しかっただけでさ。見つけてくれたらサッサと返しちゃう気でいたんだよ』


ぶたれた頬を軽く撫でながらカラント神が言う。


『呪いが解ければディークラウドはこの世界の娘を妻にするって勝手に思ってた。これでもティレンカの子孫は僕等にとって孫みたいな訳よ。だから傷つけたい訳じゃなかったんだけどね』


『だが、兄上の言うとおり、君等は我等の所為で要らぬ苦悩を負うはめになった………』


『悪かったと思ってるよ………』


目を伏せながらトゥレン神が言えばフォトン神もバツが悪そうに呟く。


『許してやってくれ、深音、………ディークラウド。これでも反省しているのだ。この召喚に関わった他の兄妹達もここにきて謝罪したがったのだがな………あまりに多かったので代表者のみ連れて来たのだ』


『深音ちゃんにぶたれたら、罪悪感も少しは減ると思ったんだけどなぁ………』


そういったのはカラント神………私をそんな事に利用しないでください………。っていうかこの人達、思考が子供っぽい………。


「………ミオンをそんな事に利用しないで頂きたい」


そう唸るように言ったのはディーさんで。


『ごめん、余計怒らせちゃったかな?』


相変わらず掴みどころが無い感じのカラント神。本当にこの人達が神でいいんだろうか???後ろの方でレンブラントさん達の居た堪れない感じの身じろぎが感じられる。


『まぁ、僕等の責任だしね。深音ちゃんの所の神とはしっかり交渉させてもらうよ。君がここに残れるようにね』


カラント神が笑顔でそう言えば、


『これからの人生まるっと書き換えなきゃならないから骨なんだけど………例えば将来結婚するはずだった男に別の人生を与えたりとか。産まれるはずだった子供を他に持ってったりとか』


指折り数えて言うのはフォトン神。はぁ、私にも将来の旦那様予定の人とかいたんだ。感心しながら聞いてたら、ディーさんの私を抱きしめる腕に力がこもる。


「将来結婚するはずだった男………産まれるはずだった子供………」


ディーさん?!なんか怒ってる???


『そんな事で妬くなよ………もう関係ないんだからさ』


フォトン神が地雷踏んだ!!!とばかりに半歩下がって慌てて取り繕う。


『子供って言えば………君等子供いる???』


カラント神にあまりにもあっさり言われた言葉に脳内で意味が分かるのに結構時間がかかった。


『兄上それじゃあ分かりにくいでしょう。罪滅ぼしと言う訳ではありませんが………深音嬢が覚悟を決めてさえくれれば君達に子供を授けられる方法があります。どうします???』


本日、大きな爆弾が投下されました。

ルーヴェンシアの神で一番偉いカラント神。

いい加減そうな男ですが仕事はちゃんとこなします。ご安心を。


さて、深音が覚悟を決めれば子供を授けて貰えるよう………覚悟とは?

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