16 打ち上げはみなとや食堂
その夜、龍太郎たちはみなとや食堂にいた。
「いやーそれにしても、面白かったなあいつら!」
龍太郎は腹を抱えて笑っている。
「ねー、酷かったよねー。特に黄色、ヤバくない?レッドの人かわいそうだった」
「井村さんの言う通り、脱退した三人があっちにいるなら、イエローは砂田敦で間違いないでしょうね」
砂田敦。クワトロフォース時代は白虎を担当していた。プロ野球選手を目指していたが挫折、ヒーロー志望に転向したらしい。面接の際に井村と好きな球団の話で盛り上がり、採用されたそうだ。
「んー……その砂田って人、めっちゃプライド高くてヤな人だったんすよね?プロミネンスに持ってってもらえてよかったんじゃないっすか?」
「それに関しては空の言う通りだね。私もさっきネットの反応見てみたんだけど、仲間割れを批判する声もけっこうあった」
「ま、そうなるだろうな。あっちが悪い意味でも注目されてるから、うちらは尚更話題に上がらなくなっちまった。俺もさっきネットで見たよ。一応、この路線を評価する意見もあったが、少数派だな」
そう言って、龍太郎はネギラーメンを啜る。
「私たちはひたすら地方の怪人を狩る。都市部ばかりが守られて、地方の人が置き去りにされるなら、私たちがその受け皿になればいい。そういうことですよね、指揮官」
「おう」
龍太郎は時折、美羽の真面目さが心配になる。真面目な人間ほど、ひとりで抱え込んで破裂するからだ。早くに父を亡くした彼女のことだから、心配させまいと、親や世間に対してはきっと背伸びをしてきたことだろう。
「みうみう、カレーどう?美味しい?」
そんな美羽の今日のメニューは、エビフライカレーである。みなとや食堂のカレーは、野菜が溶け込むまで煮込まれており、ややスパイシーな味付けだ。
「美味しいですよ、というか、今まで食べたカレーでトップかもしれません、これ」
「え、マジっすか?今度自分も食べてみよっかなぁ……」
和気藹々とした三人を見つめながら、佳奈巳が口を開いた。
「……ねぇ龍太郎くん」
「はい?」
ラーメンを啜りながら返事をする龍太郎。
「うちって、きっといいチームだよね」
「うん」
「脱退って聞いたときは大変だったけどさ、これで良かったんだろうね」
しばらく何も言わなかった龍太郎だが、小さく息を吐きながら答えた。
「……ま、そうだな。これで良かったんだろうさ。……っていうか、そう思い続けられるようにこれから頑張らなくちゃな」




