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勝利は電光石火であるべきだ

ドカドカと足音を鳴らして、みちのく屋の兵士たちは両隣の宿に踏み込んでゆく。


「御用改めだ!」


「旅客改めではない! 亭主、屋根を借りるぞ!」


「伯爵さま次男、ダイスケさまの命である!」


じつに手際よく、みちのく屋の男衆たちは隣の屋根を確保してゆく。

屋上を制圧したということは裏路地に至るまでみちのく屋は制圧していた。

裏通りから「御用! 御用!」の声がする。


これで逃亡の心配は無い。

そしてナンブ・リュウゾウ親衛隊の面々は、早速バーを襲撃していた。

すでに血煙が天井まで届いている。


気色の悪い悲鳴をあげながら、悪党どもは次々と倒れてゆく。

そしてナンブ・リュウゾウ、シロガネ・カグヤ、クサナギ・シロウと親衛隊の使い手たちは階段を駆け上がってゆく。


「ゴーギーさま、御用改めに御座います!」


小者が声を上げた。

しかし「やかましい!」と頬ゲタをナンブ・リュウゾウが殴りつけ、階段から真っ逆さま。

小者は白目を剥いて転がり落ちてきた。


手の余っている者がすぐに捕縛した。

親分チームは奥へと駆け込む。

そして手練たちは手前の部屋を襲撃した。


逃亡者が出たのだろう。

屋根が足音でやかましい。

しかし「キエーーッ!」という気合が聞こえると、足音は止んでしまった。


さらにはナンブ・リュウゾウの声。


「極悪人ゴーギー! 神妙にいたせ! 手向かいしても構わんがな! しかしその折には斬り捨てる故、せいぜい手向かいするがいいわ!」


なに言ってんだか、あの阿呆は……。

すると奥の部屋の扉が開いて、巨漢の悪党ヅラが現れた。


「なんじゃい、木っ端役人が。ワシを捕らえるつもりかい!」


「木っ端役人でなけりゃ捕らえる気も無ぇや! 手前ぇみてぇなでくのぼうを叩っ斬るのぁオイラの趣味よ!」


ナンブ・リュウゾウはサルに例えるほどのチビ。

対するゴーギーは天井に頭をこすらせるほどの大男。

大丈夫なのかよ、大将?


と不安に駆られていたら、我らが大将は刀の切っ先を下に向けた。

ドス。

躊躇いの仕草すら見せず、ナンブ・リュウゾウはゴーギーの足の甲を突き刺した。


ギャッと声を上げるゴーギー。

その小指を飛ばすクサナギ先生。

動脈を切り離され、大量出血に見舞われるゴーギー。


慌てているところに、シロガネ・カグヤは内股に刃を食い込ませた。

この出血は厳しい。

心臓より低い大動脈からの出血は止められないのだ。


「まだやるのかい、オッサン」


ナンブ・リュウゾウの表情は勝利を確信している。


「や、やかましいわ、小童がっ!」


トゲトゲ付きの八角棒を振り回すが、ゴーギーに勢いは無い。

ホラホラこっちだよ、とナンブ・リュウゾウはちょこまかと動き回る。

その動きを、目で追うことさえおっくうそうに見える。


悪玉ゴーギーは、明らかに消耗していた。


「動きが悪いね、オッサン」


ナンブ・リュウゾウの刀が閃いた。

ゴーギーは首を斬られ、さらに出血する。

首から喉、そしtw反対の首まで斬り裂かれているので、事実上の勝負ありだ。


頭が落ちていないのは頚椎を斬り離していないから、ただそれだけの理由である。

おびただしい出血により、ゴーギーは消耗しきっていた。

命の炎が、燃え尽きようとしている。


右に、左にグラリグラリ。

そしてついに、階下へと転落していった。

意識を失っての転落。


つまりは、頭からの転落であり、これで完全に頚椎が砕けたのだ。

悪漢ゴーギー、ここに討ち取られたのである。


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