イズモ・キョウカの評価・改
夕食もつつがなく済み、若いふたりは夜の庭園へ。
私たち親衛隊はふたたび警備の任に着き、もちろん私とクサナギ先生、シロガネ・カグヤは砂かぶりの特等席でふたりを見守った。
つまり、デバ亀というヤツだ。
アヤコとイズミ、そしてイズモの忍びであるカエデの姿が無い。
おそらくその連中もどこか闇の中で、大将がイズモ・キョウカを押し倒してビンタを食らう瞬間を今か今かと待ちかねているに違いない。
「どう見ますか、クサナギ先生。あのイズモの娘を」
「タヌキもタヌキ。古タヌキみたいな娘だな」
私と同じ意見である。
「だがあの娘、リュウゾウに惚れてるのは確かだ」
おや? そこは私と意見が違う。
「様々なことを企んではいようが、結局すべてはナンブ・リュウゾウのため。お家のため。国家のため。あるいはそうだな、己を滅して王室に尽くすという点では、貴族の鏡かもしれんぞ?」
「そこまでですか……」
かなり評価が高い。
「ヤハラくんはロクでもない貴族しか見ていないだろうが、案外貴族の中にも気骨のあるのはいるものだ。庶民出の俺たちにはわからんがな」
「私もそれは感じていた」
と言うのはシロガネ・カグヤ。
「もしかしたらキョウカどの。同じ価値観で語り合える者に餓えていたのやもしれぬ。殿はその貴重な語り相手。そして志同じゅうする我々は、貴重な同志……いや、女同士のせいか、評価が感傷的だな、私らしくもない」
と、こちらもイズモ・キョウカの評価が高い。
私だけだろうか、あの娘がナンブに仇なす存在に見えるのは?
「いまひとつ評価を加えるならば」
シロガネ・カグヤが続ける。
「殿の子を宿すには、いま少し腰の張りが必要かと」
「うむ、少々ケツが物足りんな。もう少し骨盤がグッと張り出してもらわんと、丈夫な子は授からんぞ」
人物評を聞きたかったのだが、ケツ談義。さらには良い乳を出すために胸が育って欲しいなどと、女体談義になってしまった。
「お二人さん、その心配はいらないよ」
闇の中からイズミが現れた。
「令嬢の学生寮には、すでにナンブの間者が入っている。女学問、女修業はそいつに任せておけばいい」
「イズミさんは手ほどきしないのかい?」
私は訊いてみた。
イズモの御令嬢を最初に見たとき、劣情をだだ漏らしていたからだ。
「暇があったら味見しに……じゃなくて手ほどきに赴く。しかし今は仕事だ」
「仕事?」
「あぁ、伯爵領ではアコギな汚職や不正が蔓延してるそうなんでな。カエデと組んでこいつらの情報を集めてくる」
「がんばってくれ」
他人事として言った。
もちろんイズミは笑う。
「なに他人の振りしてんだよ。その情報を元に討ち入りの段取り組むのが、ヤハラさんの仕事だろ」
「やっぱりそうなる?」
「やっぱりも出っ張りも、そのための婚約なんだ。ナンブ・リュウゾウ親衛隊、忙しくなるぞ」




