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シニコク~4259  作者: 桜盛 鉄理
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五告目  柊修二

 その日、放課後に滝村涼香は柊修二に空き教室に呼び出された。

 先に来て待っていた彼に明日で転校すると教えられ、よければ付き合ってくれないかと告白された。柊修二は何故か深々と頭を下げたままで、その顔は見えなかった。 

 滝村涼香は柊修二に別のクラスの平凡でぱっとしない同級生という印象しか無かったため、自分とは釣り合わないと罵った。

「それ何の冗談なの? 記念告白? 気持ち悪いわね! 隠し撮りなんかしてたら許さないわよ!」

「それは君らが鎌田久留美にしたことだろう? 気持ち悪い? それは僕のセリフだよ」

 柊修二は顔を伏せたままそう言って、くくっと笑った。


 鎌田久留美は滝村涼香のグループのパシリだった。気弱な性格のせいでグズ美と呼ばれ、買い出しや掃除などをいつもやらされていた。しかし滝村涼香が仕掛けた嘘告がもとで、鎌田久留美は不登校になりその後転校していった。


「カーストとか家柄とか、そんな価値観でしかものを見れない君のほうがよっぽどいびつでおかしいと僕は思うんだけどね」

 柊修二の声には嘲りの色が含まれていた。それに滝村涼香は敏感に反応した。

「はあ? 何ですって! もう一度言って見なさ……な、何よそれ!」

 柊修二が顔を上げる。だがその表情は白い仮面で隠されて分からなかった。そこから覗く暗い目が滝村涼香を見ている。

 仮面の下で柊修二は言った。

「鎌田久留美は死んだよ。嘘告のせいで自殺したんだ」

「はっ?」

 自殺。柊修二が口にしたその言葉を、滝村涼香はそんなことは自分に関係ないと突っぱねた。

「だから何? 謝れってこと? 泣けばいいの? 嘘告なんてただの遊びじゃない! 真に受けるほうが悪いのよ。それにあなたがいま私にした事だって、嘘告と変わらないじゃない!」

「する人間がどんな気持ちか一度知りたかったんだ。だけどこれは嘘告じゃない。シニコクだよ」

「しにこく? 何よそれ?」

「後で分かるよ。そのときにはもう遅いだろうけどね」

 そう言い捨てて柊修二は滝村涼香を残して教室を出ていった。滝村涼香は自分を不快にさせた柊修二の顔を思い出そうとしたが、頭に血が上ったせいかうまくできなかった。


 そしてこの先、二人が会うことはもうなかった。


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