閑話 逃げた冒険者達の未来。
《閑話 戦士その1 マックス》
魔物の群れに囲まれた俺たちに手を貸してやるとばかりに介入してきたいけ好かない、飄々とした魔銃使いの"男"の血で汚れたオレの剣を握りしめ、森の出口を目指してひた走る。いけ好かないその男へマンティコアから逃げる際に、少しでも長くあの化け物の気を引かせるために深々とこの剣を突き刺した。手傷を負った獲物がいれば、逃げる獲物より先にそちらに止めを刺そうとするだろう。いけ好かない男の実力は分からないが、最後まで抵抗を続けるならばそれなりの時間を稼ぐことが出来ると考える。
そんなオレより先に森の出口に向かって走っていった同じパーティーの槍使いの戦士"ラルフ"と魔法使いの女"テレサ"の後ろ姿はすでに見えない。オレ自身の判断で多少の距離を開けて走っているからだ。オレより先に走っている2人が、もし他の魔物に見つかって殺さそうになったとしても、後ろから追いついたオレはそれに気がつくことができて逃げることが出来る。
--そうさ、オレは死なない。あいつら(死んだ仲間)のように惨めにこんな森に死体を晒したりしねぇっ。オレだけは生き残るんだ!!
そんな残酷な考えを持って走り続ける剣を装備した戦士"マックス"だったが、彼はまだ知らなかった・・・・・。彼が走っているその道は、前を走る2人が通っている道からすでに逸れてしまっていることを・・・。
そして、走り続ける彼のその先には他の魔物の群れが蠢いていることすら知らずに心の中で犠牲にした他の者達のことを嘲笑うのであった。・・・・・己の未来に、すでに死の影が近づいていることも知らずに。
後日、魔の森へ挑戦した中堅の冒険者パーティーの中で傷を負いながらも生き残り、街へ帰還できたのは槍を手にした戦士の男と魔法使いの女だけであった・・・・・。




