5歳児と魔法の修行その2。
「魔法ですか・・・?突然どうしたんですか、お師匠様?」
お師匠様の突然の言葉に私は戸惑いを隠せません。
「・・・別に、急な思いつきという訳ではないのよ?
リクへ渡した本の中には魔法の基礎が書いてある本があったでしょう?
その本をリクが読み終わって、5歳になれば魔法を教えるつもりだったんだから。
やっと、私の研究にもきりが付いたしね。」
そう言ったお師匠様の顔には私への悪戯に成功したような笑顔が有りました。
"魔法"・・・。前世の私には縁のない言葉です。物語の中に描かれた物くらいしか思い浮かびません。正直、自分が使えるのか疑問に思ってしまいます。でも、未知の物への好奇心や、使えるようになってみたいという思いはあります。
・・・それに、今後この世界で生きて行く上で身を守る術は必要でしょう。加えて、前世での私は運動神経がマイナスと言っても過言ではありませんでした。転生した今の私の身体はまだわかりませんけど、不安が残ります・・・。
「お師匠様、よろしくお願いします。」
「良かったわ。これからがんばりましょうね。」
お師匠様を超えることは難しいでしょうが、せめてお師匠様に胸を張って頂ける程度には立派な魔法使いになりたいと思います。
この世界の魔法について簡単に説明したいと思います。
まず、この世界の魔法は大きく分けて5つに分類されます。
1つめが"攻撃魔法"、言葉の通り様々な属性がありますが攻撃に関する魔法です。使用する攻撃魔法を発動させるための呪文の意味を正しく理解し、自分の中にある魔力を込めれば発動できるそうです。
2つめが"防御魔法"もしくは"結界魔術"とも言います。違いは魔方陣を使うかですが、師匠に言わせると大きな違いは無いそうです。
3つめは"紋章魔術"、様々な効果のある魔方陣の意味を理解して自分の魔力を使って魔方陣を描き、依り代へ封じます。必要な時に解放するという使い方が一般的だそうです。依り代には様々あり、お師匠様は宝石へ封じることが多いそうです。
4つめは"精霊魔法"、自身の魔力を依り代に精霊の力を一時的に借りるそうです。しかし、この魔法は適正がなければ極めることは難しいそうです。ただ、生活を営む上で使用するような簡単な魔法ならば多少の魔力があれば簡単に習得することができるそうです。
5つめは"治癒魔法"です。これだけは、どんなに魔力が強くても適正が無ければ習得することはでき無いそうです。治癒魔法の使い手は少なくはありませんが多くもなく、擦り傷などちょっとした怪我を治すことができる人は多いですが、逆に重傷な怪我を負った人を直すことができる治癒魔法使いは大国に1人いれば運がいいんだそうです。ただ、前に述べたように病気を治すことはできません・・・。
以上が、この世界の魔法についてです。
私は家の庭でお師匠様よりまずは初級である"精霊魔法"の"ライト(明かり)"を唱えてみるように言われました。呪文はお師匠様に貰った本の中に載っていましたので覚えています。お師匠様に言われたように自分の中に眠る魔力を探り寄せて、側にいるお師匠様と少し離れたところにいるキースさんに見守られながら、初めての魔法を唱えます。
「"ライト(明かり)"」
私は、成功するかドキドキしながら力ある言葉を唱えました。
いつも読んで頂きありがとうございます。
やっと魔法を習い始めました。永かったです・・。
これからも温かい眼で読んで頂けると幸いです。