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HEAVEN!へヴン!HEAVEN!4  作者: coconeko
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到着

えー、年末年始休暇に書きだめする予定が、休日出勤及び体調不良のため、まったく執筆出来ず。

大変申し訳ありません。

なんかね、休暇に入った途端にね、咳も鼻水もとならなくなりましてですね。せっかくの休暇をひたすら寝て潰したっていう・・・。もったいなかった・・・。

みなさんも、くれぐれも疲労による体調不良にはお気を付けくださいねー。でないと、医者に叱られますよー。

 左右に一人ずつ立っている門番が、街の中に入る人々をチェックしていく作業は流れるようで、人の数の割に細い橋の上でも、そんなに混雑はしていないように見える。

 それでも大きな街だけあって、旅人の出入りは多い。行き交う人々の雑踏の中、駅馬車も門番の前まで進み出た。

「よう!ご苦労さん」

「ああ、お前さんか。ご苦労さん。どうだい?調子は」

御者と門番は顔見知りのようで、親しげだ。

「まあ、見ての通りさ。少々やられちまった」

 補修だらけの馬車を、御者が振り返って示せば、門番の男も、所々破れた幌に気づいて、眉をしかめた。

「あちこちやられちまってまあ。使えない用心棒でも雇っちまったのか?」

「いや、色々あって用心棒を雇えなかったのさ」

「おいおい。それでよく無事だったな」

「まあな。運が良かったんだろ。死にかけたけどな」

 物騒なのか呑気なのか分からない会話を続けながら、御者が通行証を見せ、門番がそれをチェックする。仕事はしっかりしているようだ。

「はい、すいませんね。・・・・よし」

 馬車の後ろに回り、乗客を一瞥すると、あっさりと許可を出した。

「行って良いぞ」

「ありがとよ」

 馬車がガラガラと門を潜ろうとしたところで、セインが大声を上げた。

「すみません!待って下さい!」

 何事かと驚く門番に、動けないセインの代わりに、キャルが顔を出した。

「ごめんなさい。私の連れの馬が一頭、その辺にいるはずなんだけど、一緒に中に入ってもいいかしら?」

 小さな少女が大きな瞳で首をかしげて尋ねる姿は愛らしい。

門番も、精一杯怖がらせないように笑顔を作って対応する。彼なりに和んだらしい。

「馬?どの馬だい?お嬢ちゃん」

 問いかければ、可愛らしく微笑んで、指をさす。

 みれば、毛艶の良い綺麗な馬が一頭、こちらを見ている。ずいぶんと立派な馬だ。

「あれかい?」

「あの子よ。クレイ!」

 少女が呼べば、嬉しそうに近寄ってくる。

「へえ、良い馬だね」

「私の連れにはもったいないくらいよ」

 連れというのは、先ほど大声を上げた青年だろう。

「大事にしてやりなよ、あんた」

「はい。ありがとうございます」

 声をかければ、青年は素直にぺこりと頭を下げた。

「良いよ。連れて行きな」

「ありがと。門番さん」

「ありがとうございます」

 許可を出せば、馬まで嬉しそうに嘶いて、仲良く馬車と並んで門を潜って行った。

 ガラガラと駅馬車が街中を進む中、馬車の幌の中で、変な悲鳴が響いた。

「むぎゃ!」

 足を踏まれたギャンガルドが、思わず飛び上がったのだ。

「ギャンギャン。さっき笑ったでしょ」

「せ、せめて確認してから踏んでくれねえか?」

 先ほどの、門番相手の時に、猫を盛大に被ったキャルに、実はこっそりと笑ったギャンガルドだった。

 まさか気づいていたとは。

「背中に目でも付いてんじゃねえのか?」

「あら。失礼しちゃうわ。そもそも可愛さも女の武器だわ。利用しないほうが馬鹿よ」

「おや。キャルちゃん良い事を言うねえ。可愛らしさだって女の武器だよね」

 ジャムリムまでキャルに同意をし始める。

「ねー」

「ねー」

 美女と可愛い少女が二人で手を合わせて首を一緒にかしげる様は、確かに目の保養だ。

 ただし、中身を知っていなければ。

「キャプテン。こればっかりは勝てないっすよ」

 ぽん、と、タカに肩を叩かれて慰められ、海賊王は情けなく眉尻を下げた。

「女の子って、可愛くて良いよねー。見てて癒されるし」

 心の底からそう思っているのか、セインがのほほんと笑っている。背後に花が咲いているのが見えるような呑気さだ。

「お前さん、お嬢の中身知ってて、本気で言ってんのか?」

「は?何が?」

 思いっきり不思議そうに、質問を質問で返されて、ギャンガルドは呆れた溜息を吐き出した。

「さっきから失礼ね」

「痛てててててて!」

 今度は脇腹の肉を捻られた。

「私はいつだって可愛いわ!」

「自分で言うなよ・・・」

 げんなりと、ギャンガルドがキャルに抓って捻りあげられた自分の脇腹をさする。鍛えた筋肉で出来ている体だが、皮膚への直接攻撃には弱いらしい。真っ赤になってしまっていた。

「元気で良いねえ。おちびさんは充分可愛いさ」

 御者が笑いながらそう褒めれば、キャルはギャンガルドの時とは全く違う極上の笑顔で礼を言う。

「ありがと!」

 そんなことをしているうちに、早々に馬車は停留所へと到着した。


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