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256.景品贈呈

「――やっぱり、ヘンリエッタさんは強いですね」


 既に、何度も戦っているから分かってはいたが。

 本当、強い。

 かなり手札が枯渇しているターンだってあった筈なのに、欲しいカードを的確に、欲しいタイミングで構えている。


「いえいえ、まだ店長さんに届いてるとは思えませんよ」


 謙遜か、いやそういう訳でも無いのだろう。

 カード知識だけで言うならば、流石にヘンリエッタに負けてるとは思わない。

 伊達や酔狂で、このエトランゼというカードゲームに半生を費やしてない。

 カード知識では負けていない、カード知識ならば必ず勝つ、その自負がある。


 だが、知識だけあれば勝てる訳では無いのがカードゲームだ。

 打開策が山札内に存在したとしても、それが引けてなければ意味が無い。

 それにアクセスする為のカードを搭載するとは言うが、デッキ内をアクセスするカードで100%埋められる訳ではない。

 100%で無いなら、引けない確率が一定数存在する訳で。

 引かなければいけないカードを引けなければ、負けてしまうのも道理で。

 だがヘンリエッタは、確率が薄かろうが、それが0%でないなら、引き込んで来る。


 そういう"天運"を持っている。


 そんな風にすら思ってしまう。

 それは、俺には無いモノだ。


「……機器の動作も問題無さそうですね、お手伝いして頂きありがとうございます」


 マティアスの設計したこのエトランゼ専用機器のチェックも完了。

 もしかしたらバグが何処かに残ってるかもしれないが、それはもう見付け次第修正していくしか無いだろう。

 この機器が万全に機能するようになれば、審判役ではなく参加者として、大会に参加出来るようになる。

 参加してみたいなあ。


「それと大会の優勝賞品ですが……先に渡しても良かったんですが、デッキに組み込む可能性を考えて、終わった後に渡そうと思いまして。こちらが、今回の優勝賞品です、どうぞお受け取り下さい」


 デッキに組み込むとなると、デッキ調整をする必要がある。

 それをするとなると時間が掛かるし、そもそも大会優勝デッキとは別の構築になってしまうだろう。

 俺は、あの大会を勝ち抜いたそのデッキ、それを扱うヘンリエッタと戦ってみたかったのだ。

 デッキ構築が変わって別物になったら、意味がない。

 なので終わってから渡そう、そう考えた。


 手に取ったのは、個包装された、1枚のカード。

 これが、優勝者に贈呈するカード。

 そのままヘンリエッタへと差し出す。


「このカードは特殊な加工がされている、特別なカードです。このカード自体は、後日登場する拡張パックに実装されるので、一時的な先行実装という訳ですね」

「どんなカードなんですか?」

「それは、開けてみてからのお楽しみです」


 中身は、当然知っている。

 このカードを見て、何か色々言いたい事があったとしても、俺に言った所でなーんにも分かりません。



 全ては"勇者様"の思惑なのでね。



 名称:聖騎士 ジャンヌ

 分類:ユニット

 プレイコスト:白○

 文明:白

 種族:人間

 性別:女

 カテゴリ:騎士/神性

 パワー:5000

 1:【永続】このユニットは赤文明のユニットに対し攻撃出来ない

 2:【強制】【条件】赤文明のユニットとバトルする時

【効果】このユニットのパワーは1000になり、そのバトル終了まで効果は無効になる

 3:【強制】【条件】赤文明の呪文・ユニット効果が発動した時

【効果】このユニットのパワーは2000ダウンする

 4:【強制】【条件】自分フィールドに白文明のユニットが召喚された時

【効果】自分フィールドの白文明ユニットのパワーはターン終了時まで1000アップする。

 5:【永続】【効果】このユニットは1ターンに1度だけ戦闘で破壊されず、このユニットと戦闘を行ったユニットはバトル終了時に破壊される



―――――――――――――――――――――――



「分かってた、分かってたけどさぁー……ヘンリエッタのデッキ、強過ぎるって!」


 ベッドでゴロゴロしながら今日の感想を頭の中で反芻(はんすう)する。


「カードに関する事柄は私達には分かりませんが、それ程強いのですか?」

「ああ強いよ、文句無しにな!」


 この当時のカードプールでは無制限で4投が許されているが。

 将来的には1枚制限指定が2種、禁止指定が2種、ヘンリエッタのデッキに投入されている。

 とんでもねえパワーカードの塊だよ、あのデッキ。

 そして、これは強いカードだと嗅ぎ取った嗅覚。

 その強いカードをしっかりとまとめ上げるデッキ構築力、まあこれは俺も入れ知恵したけど。


「そんなに強いなら、主人(マスター)も使えば良いじゃん」

「いやー、何かねー、ちょっと俺の内なる逆張り精神がチクチクしてきて」


 今の環境はコレ! 最強のTier(ティア)1デッキ! 公認大会優勝!

 そういう感じの評価されたデッキにワッ、と群がる連中見るとさー、そんな強いのが分かってるデッキ使うより、分かってる奴だけが使う、俺だけが理解してる、そんな玄人好みのデッキで、その最強とやらをぶっ倒してやるよ!


「――みたいな感じでさ、あるじゃん?」

「勝ちたいなら一番強いのを使うのが道理では?」


 アルトリウスに刺された、痛い。


主人(マスター)って時々訳分かんない事するよね」

「邪道や奇策は1回勝利を拾う為にやる手口であって、何度もやり合えば王道が勝つのが世の理ですよ」


 ダンタリオン、お前もか。


「えーん、二人して俺を刺しやがって」

「さっきまで挿されてたのは私達ですけどね」


 うるせえぞ。


「そのうるさい口は塞いでやらなきゃな、とかここでバシッと言わなきゃ駄目ですよ愛人(マスター)


 ぬるっと現れて、するりと寝床に潜り込んで来るアスモデウス。

 一瞥(いちべつ)すらされず、アルトリウスに蹴り出された。


「ちょっと、少し位良いじゃん。丁度愛人(マスター)×××(ドキューン)空いてるんだから私が使ったって」

「貴様なんぞにくれてやる種なぞこれっぽっちも無いわ」

「じゃあそこに居るダンタリオンは何なのよ!」

「フッ、そりゃあ……私、主人(マスター)のハ・ジ・メ・テ、ですから」


 勝ち誇ったような笑みを浮かべながら、サイドテーブルに置かれたワイングラスを手に取り、口元で傾けるダンタリオン。

 尚、中身は酒ではなく果実ジュースである。

 俺が酒を飲まないので、この部屋に置いてある飲み物に酒は無い。


 女三人寄れば(かしま)しいとは、この事か。

 体力が無いんで、勘弁して下さい。

 今日は良いカードゲーム日和だった、という訳で寝る事にしよう。

カードゲーム対決、終了

なので毎週更新も一旦終了

十章そろそろ終わりでも良いんだよなあ

まだ続けるか第二部突入かはまだ決めてない

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