表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
きっと人はそれを『運命』と呼ぶ  作者: 緋風 希望
23/30

手紙

歩美の祖母は、病院を無断で抜け出してきたらしい。


親戚と名乗るものが来て、すぐさま戻ることになっていた。


澪は、泣くだけ泣いてから立ち上がる。


立ち上がって、アパート戻った。


受け取った手紙。


これを、見るのが怖い。


恐い――だけど、見なきゃならない。


読まなきゃ、ダメだ。


澪は、封を開ける。



* * *


Dear 澪


私も変わってるところがあるから、こんな手紙を残してみます。


もし私が死んじゃって、バイクが残ってたら使ってくれてもいいし、売っちゃってもいいよ。


それが、君にできる私なりの恩返し。


ありがとうって気持ち。


私達の場合、引き寄せてくれたのは赤い糸じゃなくて、赤いバイクだったよね。


今思い出しても笑っちゃう。


友達に話したらさ、嘘でしょばっかみたーいって笑われちゃったんだよ?


ねぇ、ひどくなーい?


ひどいでしょー!?


ひどいよねー!


ひどいって言ってよ!!


――なんてね テヘペロ (・ω<)


死んじゃってからも、私が貴方に望むことは変わらないよ。




澪が笑顔でいてくれること


澪が優しくいてくれること


澪が生きていてくれること




大丈夫っ! 


澪は、沢山の人達を救える力があるの!!


私が保証します!


自信をもって!!


考え事してるときにのムスーッとした顔とか、ちょー似合わないんだから。


あーそうそう、悲しそうにしてるとき、本当に辛そうにしてるときに思ったんだけどね?


何で、誰も助けてあげようっって。


こんなに優しい人なのにって。


いっぱいいっぱい傷付いてるから、優しくできるのにって。


どうして誰も気づかないのよって、本当に、本当にそう思ったよ?


私の大好きな人は、こんなにも優しくって、力強い人なのに、なんで困った時だけ縋るのよ!


なんで澪が辛い時には手を差し伸べないのよっ!!


って、何度も、何度も思った。


世界って、なんだか切ないよね。


でもね、だからかな


私達は自然と、惹かれあったのかもね。




――――大好き。




だからね、澪。


私のこと、しっかり忘れてね!


ちゃんと、私以外の女の子、見つけてね!!


そうじゃないと私、怒っちゃうからね!!


化けて出ちゃうんだから!!


うーらーめーしーや~とかやっちゃうんだから!


さっさと彼女つくれ~とか、言っちゃうんだから(笑)


こんな私だからさ、こういう風にしかいえないけどさ。



私達みたいな出会い。


人はそれを『運命』って呼ぶんだね


ありがとう。


私、強くなれた気がする。


それにね、とっても、とーっても幸せだったよ♪



P.S.


澪の幸せを、本当に、心から願っています。



* * *


「こんなの、ずるいだろ。歩美……」


澪はまた泣いた。


手紙を歩美の残した思いだと受け入れたい一心で、泣きながら、胸が苦しくなりながら、叫びそうになりながら、暗い暗い部屋の中で一人泣いたのだった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ