表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
25/34

※24

暴力行為、表現を含みます。苦手な方はただちにお戻りください。気分が悪くなっても、作者は一切の責任を負いません。

 ミネラルウォーターと数種類のアイスを適当に買って店を出た。

 生ぬるい風が吹く。人気のない夜道を照らす街灯は心許なく、それこそまるで闇が住んでいるかのようだった。セミの声はまだうるさい。

 歩道にぼくだけの足音が響く。クロックスをつっかけた足はふらふらとどこまでも行けそうで、月を見上げながら歩くぼくは夢遊病患者みたいだった。どこまでもついてくる奇麗な月を眺めながら、今年は花火大会行けそうにないかと考える。

 そうしてため息をついて地面を見下ろした瞬間、足元にはぼくとは違う影が月光に照らされ、伸びていることに気付いた。

 後ろに誰かがいる。

 今まで気付かなかった複数の足音に、心臓が凍った。変な冗談はよしてくれと驚きながら、止まりかけた歩みを進める。しかしその時、不意に腕を掴まれた。


「え?」


 声を上げる間もなく体が持ち上がり、ぼくは路地裏に引きずり込まれた。抵抗する隙もなかった。

 なにがあったのか理解できない。投げ出されて体を打ち付け、慌てて顔を上げると三つの影がぼくに覆いかぶさっていた。なにをするんだと口を開きかけた瞬間、地面に押し倒されて強引に唇を奪われる。

 目を見開いた。このままではいけないと、頭の中で警鐘が鳴る。そう思ったのもつかの間、ぼくは反射的に男の唇を噛んだ。けれど次の瞬間に飛んできたのは一瞬の苛立ちと、勢いづいた手のひらだった。そのまま乱暴に服へと手をかけられる。コンビニ袋が手から離れ、奥へと滑っていった。肌が外気にさらされたところで、ぼくは本能的に危ないと感じた。


「あ……っ、いや、いやだっ、離せっ!」


 迷わず蹴り飛ばそうとしたが、女の体では無理だった。腕力のないぼくは呆気なく押さえつけられ、すぐに抵抗できなくなる。挙句の果てにぼくの両手は手際良く頭上で縛られてしまった。次いで剥がされた下着を口に突っ込まれる。悲鳴すら上げることが出来ず、ぼくはもみくちゃにされながら必死で身をよじっていた。


 いやだ。いやだ。いやだ。いやだ。いやだ。いやだ。


 降りかかる吐息が熱い。力任せに引っ張られ、着ていたシャツが裂けた。体を動かそうにも押さえつけられて、それでも抵抗しようとすれば殴られる。


「んっ……ふ、うっ」


 くぐもった声が、唇の端から漏れる。言葉をなさない意味不明な呻きは、助けを呼ぶにはか弱すぎた。

 嗅がれ、小刻みに揺さぶられ、膨らみを撫で回されて、頭の中は真っ白になっていく。えた臭いに生理的な涙が込み上げて、痛みに顔がひきつれた。

 思い出す彼の姿に縋りたくなったけれど、今は彼の名前を呼ぶ方法も、理由も、なにも分からなかった。


 大輔……。


 言葉になり損ねた声は、夜空の向こうに消えて行く。縛られている腕を振り回す。伸ばした手は空を切った。誰も掴めない。誰も掴んではくれない。

 絶望が視界を閉ざす。体の隅々までも穢していく激しい凌辱に、やがてぼくは事切れるようにして気を失った。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ