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暴力行為、表現を含みます。苦手な方はただちにお戻りください。気分が悪くなっても、作者は一切の責任を負いません。
ミネラルウォーターと数種類のアイスを適当に買って店を出た。
生ぬるい風が吹く。人気のない夜道を照らす街灯は心許なく、それこそまるで闇が住んでいるかのようだった。セミの声はまだうるさい。
歩道にぼくだけの足音が響く。クロックスをつっかけた足はふらふらとどこまでも行けそうで、月を見上げながら歩くぼくは夢遊病患者みたいだった。どこまでもついてくる奇麗な月を眺めながら、今年は花火大会行けそうにないかと考える。
そうしてため息をついて地面を見下ろした瞬間、足元にはぼくとは違う影が月光に照らされ、伸びていることに気付いた。
後ろに誰かがいる。
今まで気付かなかった複数の足音に、心臓が凍った。変な冗談はよしてくれと驚きながら、止まりかけた歩みを進める。しかしその時、不意に腕を掴まれた。
「え?」
声を上げる間もなく体が持ち上がり、ぼくは路地裏に引きずり込まれた。抵抗する隙もなかった。
なにがあったのか理解できない。投げ出されて体を打ち付け、慌てて顔を上げると三つの影がぼくに覆いかぶさっていた。なにをするんだと口を開きかけた瞬間、地面に押し倒されて強引に唇を奪われる。
目を見開いた。このままではいけないと、頭の中で警鐘が鳴る。そう思ったのもつかの間、ぼくは反射的に男の唇を噛んだ。けれど次の瞬間に飛んできたのは一瞬の苛立ちと、勢いづいた手のひらだった。そのまま乱暴に服へと手をかけられる。コンビニ袋が手から離れ、奥へと滑っていった。肌が外気に晒されたところで、ぼくは本能的に危ないと感じた。
「あ……っ、いや、いやだっ、離せっ!」
迷わず蹴り飛ばそうとしたが、女の体では無理だった。腕力のないぼくは呆気なく押さえつけられ、すぐに抵抗できなくなる。挙句の果てにぼくの両手は手際良く頭上で縛られてしまった。次いで剥がされた下着を口に突っ込まれる。悲鳴すら上げることが出来ず、ぼくはもみくちゃにされながら必死で身を捩っていた。
いやだ。いやだ。いやだ。いやだ。いやだ。いやだ。
降りかかる吐息が熱い。力任せに引っ張られ、着ていたシャツが裂けた。体を動かそうにも押さえつけられて、それでも抵抗しようとすれば殴られる。
「んっ……ふ、うっ」
くぐもった声が、唇の端から漏れる。言葉をなさない意味不明な呻きは、助けを呼ぶにはか弱すぎた。
嗅がれ、小刻みに揺さぶられ、膨らみを撫で回されて、頭の中は真っ白になっていく。饐えた臭いに生理的な涙が込み上げて、痛みに顔がひきつれた。
思い出す彼の姿に縋りたくなったけれど、今は彼の名前を呼ぶ方法も、理由も、なにも分からなかった。
大輔……。
言葉になり損ねた声は、夜空の向こうに消えて行く。縛られている腕を振り回す。伸ばした手は空を切った。誰も掴めない。誰も掴んではくれない。
絶望が視界を閉ざす。体の隅々までも穢していく激しい凌辱に、やがてぼくは事切れるようにして気を失った。




