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三原色信仰の国を追われた無色の花嫁は、帝国で世界を彩る   作者: りっちょまん


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33.死神は踊る

関所が目視で確認出来たとき、すでに国境は封鎖されていた。

来た時とは異なり、(おびただ)しい数の騎士が溢れ、国防の危機を示す、黒い旗がそこかしこに掲げられていた。


敵が考えているより、我々は時間的優位がない。

護衛を叩きのめすのに時間を取られたのと、覇気のない行軍、それに彼女を乗せた馬車がいるために、思ったよりも距離が稼げていなかった。


いったん行軍を緩め、体制を立て直す他なかった。


魚鱗(ぎょりん)の隊形へ!」


命令を発すと、騎士たちがすぐさま隊列を変え始めた。

突破力を高めるために、魚鱗の陣を敷いた。先頭に熟練の兵士を付け、多層的な突撃を繰り返すのだ。


第一波で関所の門を叩き、疲弊したり止まったりした瞬間に、すぐ後ろの第二波、第三波が横から、あるいは上から被せるように突入できる。

彼女を載せた馬車は最後尾に。護衛は薄くなってしまうが、これしかない。


関所の兵士とは、多くても二手三手切り結ぶだけで相手をせず、ただ、この関所を押し通る事だけを考える。味方が倒れても、振り返らず救助はしない。これが、最善だ。


そう一瞬で考えた。


(——ここで何人の部下を失うのだろう)


止まることはかなわなかったため、愛馬に馬面(ばめん)を付けてやることは叶わなかった。

彼にそっと触れると、ジットリと汗をかいていた。馬もこれからの展開がわかるのだろう、嘶きと乱れる蹄の音でそれがわかる。


関所と我らの距離が短くなるにつれ、五感が刃のように研ぎ澄まされてきた。

自身の身体を流れる血潮、心臓の鼓動、馬の蹄の音、自分の体の下で大きく躍動する筋肉を感じる。

すべてがこの関所にかかっている。


関所の兵士の動きや体感時間がスローモーションに見えたその時。

闇夜を切り裂くように、音もなく二人の男女が勢いよく、我々の前に降ってきた。


音もなく着地した二人は、この緊張感のなか、場違いな間延びした会話を始めた。


「ほら、うまくいったわベルナール。ドンピシャですよドンピシャ。」

「コスタンツァ、流石だな。さぁ。我々の仕事をやろう」


キャッキャと喜んでいた彼らだが、スっと急に空気が変わった。


「ここは絶対に通しません。私達のお嬢様を返していただきますよ。」

「ええ、コスタンツァ。返していただきましょう。我々のお嬢様を。」


たった二人で、それも馬にも乗らず、身一つで佇む彼らから目が離せなかった。

ただ仁王立ちしているだけなのに、隙の無い気配、威圧感、我々の心の隙を突くような、圧倒的な存在感だった。


「抜かせ!二人だけで何ができる!このまま押し通る!!」


数は我々のほうが上なのだ!

味方を奮い立たせるように、檄を飛ばし、馬へ鞭を入れ、二人へ突っ込んだ。


その瞬間、先頭の重騎馬が、宙に舞い上がり後続の騎士へと投げ飛ばされた。


(——なんだ、何が起きた!?)


すぐ後ろを走っていた騎士たちは、重装備の馬に押しつぶされ、列からはじき出される。

中団にいるために、先頭の状況が把握できない。それでもと第二波、第三波で部下たちが襲い掛かるが、前に進めない。

今度は足をすくわれたのか、ドーンッと地に倒れる騎馬が無数に出た。


(——ぬかった!!)


今度ははっきりと奥歯をかみ砕いた。先頭に近づくに連れて、状況がよくわかってきた。


奴ら、突進してくる馬の脚の間をすり抜け、馬の腹の下に入ると、見たこともない武器で馬の腹部を真上に突き上げている。

馬が驚いて竿立ちになったところで、腹の下から抜け出し、ワイヤーのようなもので足をかけ、そのまま後ろに投げ飛ばしている。


人力でできることではない。人知を超えている。馬はそう軽くない。

こちらの突進力を利用して、驚異的な体術を持って、初めてなせる業だ。


恐怖が馬に移ったのか、うまくいうことを聞いてくれない。背中を伝う嫌な汗が止まらない。

相手はたった二人なのに、こんなに勝てる気がしないのは、なぜ。


「ベルナール、どう?私も結構やるでしょ?」


老女のほうが恐ろしい力で騎士を落馬させ、馬を引き倒しながら、嬉し気に口を開いている。


「そんなに飛ばしたら後半ばてるぞ、コスタンツァ。まだ始まったばかりだ」


翁も口ではそんなことを言いながら、次々と自慢の部下たちを屠っていく。


(——突破できない)


絶望の二文字が見える。

今からでも取って返して、別の国境から脱出するべきか。いや、この二人の死神は、影のようにどこまでも我々を追ってくるだろう。それこそ、皆殺しにするまで。


「お嬢様の馬車はあそこのようだ。ここは任せて、行ってこいコスタンツァ!」


心得たとばかりに頷いた老女が、風のように隊列を縫いながら、こちらへ近づいてきた。


「ここは絶対に通さない。」


せめて老女だけでも打ち取るべく、急ぎ後方へ移動した。

老女に向かって大きく剣を振り上げ、振り下ろした先に、大きな血飛沫が舞った。

お読みいただきありがとうございます。戦闘シーンいかがでしょうか。

すごく苦手でして、ここをこうしたらいい!みたいなのありましたら、ぜひご意見お聞かせください。

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