XIX 植物の利用から出来る二酸化炭素削減法
私達が生活している日本は世界的に見て雨が多く、植物がたくさん生える土地柄です。
あちこちの山々にはたくさんの木々が生い茂り、野原や川原にはたくさんの草が生い茂っています。
空き地には最初は土が露出していても、時間が過ぎればやがて植物に覆われていきます。
私達にとってはそれが当たり前のことかもしれません。
しかし、世界を見渡せばそれが当たり前でないところもたくさんあります。
場所によっては広大な土地が砂漠になっていたり、雪や氷に閉ざされていたりします。
私自身、オーストラリアのキャンベラに行った時に経験したことですが、まわりの山々には土がむき出しになっており、木々や雑草はそれ程生えていませんでした。
また、写真でしか見たことがありませんが、エアーズロックのある内陸部ではもっと植物がまばらです。
(本当は内陸部にも行ってみたかったのですが、キャンベラに行った時にひどいドライアイと乾燥肌に悩まされ、これ以上の乾燥地帯に行くのは無理と判断したため、断念しました。)
そこでは半砂漠のような土地柄で、至るところで土が露出しています。
もし砂漠化してしまったら、もう元に戻すことは出来ないかもしれません。
そのような地域に住んでいる人からすれば、日本は何て植物資源に恵まれているんだろうと思うことでしょう。
日本にはそれだけたくさんの草木があるにもかかわらず、私達はそれらをただの雑草や木として見ているだけのことが多いと思います。
しかし、それではもったいないと思います。
それらの中には食べられるものや何らかの形で利用出来るものもあります。
ここではそのようなものに注目をしていこうと思います。
私達の身の回りにある野原では、春にはツクシなどたくさんの野草が生えてきます。
私は子供の頃からツクシ取りが大好きで、春になれば道端などでたくさんのツクシを取っていきました。
そしてハカマを取り、卵とじや煮物にして食べるのが大好きでした。
他にもフキやワラビ、ゼンマイなどもよく取りに行きました。
春の七草の時にはセリやナズナ、ハコベといった野草も自分で取りに出かけていました。
全種類そろえることはなかなか出来ませんでしたが、それでも自分で取ってきた野草を使った七草がゆは最高でした。
(スズナとスズシロは自家菜園のカブとダイコンを使用していました。)
1月7日が近づくとスーパーには春の七草がパックに入った状態で並ぶのをよく見かけます。
それを使って七草がゆを作るのもいいでしょう。
しかし野草に慣れ親しんできた私としては少し寂しい気もします。
私は出来るだけ七草がゆに使う具は、自分で取ってきたものにこだわりたいと思っています。
それ以外の時期でも、セリやハコベなどを度々取りに行っては七草がゆ(二草がゆ?)を作ったり、味噌汁の具にしたことがあります。
今でも七草の時期になると材料となる野草を取りに行きたくなります。
私達の身の回りにある木々は、秋になればたくさんの実をつけます。
それら全てが利用出来るわけではありませんが、中にはイチョウやクリなど食べられる実をつける木もあります。
そして毎年それらの実を拾い集めている人を見かけることがあります。
そうやって植物と触れ合っている人達を見ると、私自身何だかうれしくなります。
(ただ、そのために違法駐車したり、人の家の敷地内に勝手に入り込んでいくのはやめてください。)
近年は見かけることが少なくなってきましたが、冬にはよく落ち葉を集めてたき火をしている光景を見かけることがありました。
そこでサツマイモを焼いて、焼きイモを作るということもありました。
私自身はもう長い間それを経験したことがありませんが、その時に焼いたイモはとてもおいしかったです。
これらのように自然界の作用によって育ってきた植物を利用することは、自然と親しむだけでなく、二酸化炭素削減にも一役買えるのではないかと思います。
植物は成長する時に二酸化炭素を吸収します。
これは多くの人達が当たり前のように知っていることです。
確かに葉緑素を持った植物は、成長している間は二酸化炭素を吸収していきます。
しかし成長はいつか止まります。
成長が止まると、それ以降はいくら時間をかけても植物の重量は増えていきません。
そうなると植物自身がカーボンニュートラルの状態になり、見かけ上二酸化炭素を吸収していない状態になってしまいます。
そして寿命が来たり、病気や冬の寒さのために枯れてしまった植物は微生物の作用によって分解され、元の二酸化炭素と水の状態になっていきます。
つまり、私達は植物をただ眺めているだけではあまり二酸化炭素削減に貢献することは出来ないのです。
森の木々を伐採することは一見すると悪い行為に見えるかもしれません。
しかし、十分に成長した木々を適切に伐採し、その後にきちんと植林をすれば、植物はまた成長していき、二酸化炭素を再び吸収していきます。
そして伐採した木材を無駄なくきちんと利用することが出来れば、私達はそれらを通じて二酸化炭素削減に貢献していくことが出来るのです。
(参考資料:村沢義久著 手にとるように地球温暖化がわかる本)
これらをすることで二酸化炭素がどれだけ削減出来るのかを数値化することは非常に難しいです。
しかし植物をただ見ているだけでなく、適切に利用することが出来れば、それが結果的に二酸化炭素削減にもつながります。
さらには私達が植物と触れ合う機会が増え、植物を大事にしようという意識も生まれていくと思います。