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白雪姫はお散歩に夢中
「おいで、白雪姫」
魔女はいつも通りの“継母”を演じた。
白雪姫は何の疑いも無く、トコトコやって来る。
その様子を、傍らでじっと見つめる狩人。
ーー白雪姫を森に連れ出すのよ。あとは、狩人の力で……。
狩人は、魔女の言葉を思い出した。
「白雪姫。どうかしら、外を歩いてみない? お散歩よ。……え? ダメ? いいえ、狩人が一緒だから大丈夫よ」
白雪姫は目を輝かせた。
父親がどうだ、などと言いつつも、一度持った興味を振り払うことはできない。
白雪姫が外の世界に興味を持っていることを、魔女は知っていたのだ。
憎らしい者を殺す。
そんなこと、できるわけがない。
命一つ頂戴することさえ無理だった自分。
“狩人”なんてーー。
今、目の前にいる少女を亡き者にすることは……。
不可能だ。
「狩人さん、狩人さん。このお花の名前はなぁに?」
とても無邪気な白雪姫。
殺されるかもしれないのに……。
こういうところが赤雪姫にそっくりだ。
赤雪姫……。
…………。




