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嫌悪の幻
話を聞く魔女の顔は、みるみるうちに涙で濡れていった。
「私が早く助けに行っていれば……」
狩人の言葉を、魔女は手で遮った。
「この子はお前を巻き込みたくなかったんだろう。だからわざと外に連れ出した」
「……しかし」
「話によると、赤雪姫は前日に幻覚を見たとか。なぜその日だけ? それまで見なかったのに。……それは、お前と二人きりだったから」
「……どういう事でしょうか」
「“赤雪姫に対する嫌悪感”。それが幻覚を見せる原因。以前の城には多くの人がいた。だから幻覚を見る回数も多かったんだ」
「赤雪姫は多くの人に嫌われていたと……」
魔女はうなづいた。
悲しそうな目をしていた。
「母親を殺してしまったのも、このせいなのか。母親から大きな嫌悪感を捉えた赤雪姫は……」
「あの子には何の罪もない。なのに、どうして。どうして真の親が……」
魔女は怒りを堪えきれないでいた。
周りを包む、負の感情。
狩人は気づいた。
魔女は“彼ら”を殺めるだろう。
……と。




