10月11日 本気
俺 「昨日、どうだった?」
山下「普通に遊んでたよ」
昨日、俺は、山下たちの誘いを断り、家に直帰してしまった。
俺 「堂林、大丈夫だったか?」
山下「ああ。アイツは、どんな奴らでも大丈夫だからな」
俺 「だろうな。でも、よかった」
堂林がちゃんと楽しめていないかは心配だった。
山下「ちゃんと感謝しろよな、堂林にも」
俺 「わかってるって」
山下「じゃあ、次はいつ来るんだよ?」
いつ来るかなんて言われてもわかんないだよ。
俺 「また、やんの?暇だな、お前らも」
山下「お前が来ないと始まらないんだよ」
なぜ、俺がいく必要があるのか理解できない。
俺 「ふーん。なんだろうな。お前ら」
山下「どうしたんだよ?」
俺 「もっと楽しめよ、お前も」
諭すように話した。
山下「楽しんでるぜ?俺らも」
俺 「俺がいたらとかそういうことじゃなくてさ」
山下「どういうことだよ?」
いつもの真面目な山下が呆れていた。
俺 「もっと、お前も頑張れよ」
山下「ん?」
俺 「本気で楽しんでる奴らはさ、人なんてそんな大事じゃねぇんだよ」
これは、ずっと思っていたことだ。
山下「そういうことね」
俺 「お前も本気が足りねぇな」
山下「そういうお前は、どうなんだ?」
俺 「俺は、まったくだよ」
人には偉そうに言うけど自分ができていないのはわかっている。でも、それが俺なんだ。
山下「まったくなんかよ。ダメじゃねぇか」
俺 「ああ。本気で何か取り組むの好きじゃねぇからな」
山下「でも、この前応援団してただろ?」
俺 「あの時は、たしかに本気だったかもな」
たしかに、あの応援団の時は、マジになってたのかもしれない。
山下「その感じでやればいいんじゃないの?」
俺 「その感じねぇ。なかなか難しいんだよな」
山下「そうだよな。そう簡単に本気になれたら」
俺 「ああ。でも、お前は本気にならないとダメだ」
なぜか、山下には本気になってほしかった。
山下「なんで、俺だけなんだよ」
俺 「なんとなくだよ」
山下「なんとなくで決めるなよ」
俺 「ハハハハ」
時刻は、もう17時を過ぎようとしていた。
山下「お前も面白いな」
俺 「それは、褒め言葉か?」
山下「どうだろうな?」
俺たちは、お互いの顔を見合わせながら笑い合った。




