10月10日 帰宅
堂林「おう、江」
俺 「おう!」
教室に戻ると、堂林と山下の姿が見えた。
堂林「いつもより、元気ねぇな」
俺 「そんなことないよ」
そうだ。堂林の言う通り。今日は、なぜか機嫌が悪い。
堂林「女でも振られたか?」
俺 「んなわけ」
どうでもいい堂林のボケをサラリとかわした。
山下「でも、堂林の言う通りだぜ」
俺 「そんな風に見えるか?」
必死に普通のフリをした。
山下「ああ。めっちゃ見えるぞ」
俺 「まったく、そんなことねぇよ」
平気を装い通した。
山下「なら、いいけど」
俺 「じゃあ、俺帰るわ」
山下「おいおい。今日集まるから来いよ」
あっ、そうか。だから、山下が来てたのか。なるほどな。完全に忘れてたわ。
俺 「今日、気分じゃねぇんだわ」
山下「待てよ、おい」
山下には、申し訳ないけど苛立ちの方が強い。
俺 「堂林、あと頼んだわ」
堂林「おれ?ハハハハ」
山下の後ろにいた堂林は、笑顔で手を振っていた。
俺 「たぶん、行ったらオモロいから」
堂林「誰くるの?」
誰が来るんだっけな?一瞬、出なかったがすぐに思い出した。
俺 「佐藤、村田、谷口とかかな」
堂林「へぇー、おもろそうだな」
おそらく、堂林が普段絡まないやつが多いはず。
俺 「楽しんでこいよ」
堂林「じゃあ、楽しませてもらおうかな」
アッサリのっかってくるのが堂林のノリの良さだった。
山下「江、ホンマに行かないの?」
俺 「ああ。また、気がのったらいくよ」
山下「それいつなんだよ」
計画が狂わされたといったような顔をしている。しかし、この3年間でこうした姿は何度も見てきたし、俺のワガママを許してくれるたびに、山下の器の広さを感じていた。
俺 「それは、俺もわかんねぇよ」
山下「マジかよ」
カバンを背負い、山下から背を向ける?
俺 「俺の代わりは、堂林がなんとかしてくれるから、ちゃんとしてやれよ」
山下「ちゃんとしないといけないのは、お前だろ?」
そりゃあそうだろな。でも、俺はそういう日じゃないんだよ。
俺 「ハハハハ。そうかもな」
山下「次は来いよ」
俺 「たぶんな。じゃあ」
山下「おう!」
俺は、二人に背を向け、歩き出した。この後、コイツらがどうするのかはわからないけど、なんとかしてくれるだろうと勝手に思っていた。




