10月9日 堂林直生
山下は、そろそろ帰りたそうにしていた。たしかに、アイツにとってここに残るメリットがあまりなかった。
山下「明日になりそうなんだけど、いけるか?」
俺 「ああ。空けとくよ」
昨日、話していた集まりは、どうやら明日になりそうだった。
山下「みんなお前が来るか気にしてたぞ」
俺 「なんだ、それ。なめてんのか?アイツらは」
山下「なめてるわけじゃないだろうけど。それだけ会えてないんじゃないか」
意外だ。自分がそう思われていることに。
俺 「会えてはいるけど、話せてはないな」
山下「そんなに話せてねぇの?」
あれからいつ会ったか。あんまり、思い出せない。
俺 「そうだな。佐藤とか村田は全然だな」
山下「まだ、谷口とは話すの?」
俺 「アイツは、たまにくるな」
谷口は、よく連絡もくれるしな。
山下「どうなんだよ、会ってみて」
俺 「別に普通だぜ。ただ、文句言ったり、ふざけたりそんな感じだ」
山下「お前らが二人で話してるの想像つかないな」
俺 「そうか?」
想像なんてついてもつかなくてもどっちでもいいのにな。
山下「ああ。まぁ、他の佐藤とか村田もそうだけど」
俺 「誰といるイメージなんだよ」
山下「やっぱり、水城とか柏木とか」
アイツらは、きてるくれるからそう言う印象なのかもしれない。
俺 「同じクラスだから、そう見えるんかな」
山下「実際、誰といるんだよ?」
俺 「俺は、基本一人だぜ?」
誰と会うのか。そう聞かれるとよくわからない。
山下「そうなの?」
俺 「あぁ。当たり前だ」
山下「誰かとはいるだろ?」
俺 「別にいないわけじゃないぜ」
でも、特定の人といることはほとんどない。
山下「意外なやつは?」
俺 「つるんでてて?」
山下「あぁ」
頭の中でクラスの奴ら浮かべた。
俺 「意外なところで言えば、堂林かな」
山下「えっ、意外すぎた」
山下は、驚いていた。そんなに驚くか?というレベルだった。
俺 「だろ?」
山下「堂林って、堂林直生だろ?」
俺 「そうだ」
堂林直生は、クラスの中心人物。当然、他のクラスの山下たちとも仲がいい。
山下「意外だわ。まじで」
俺 「まぁ、アイツは誰とでも仲いいからな」
山下「そうだな」
なんと言えばいいかわからないと言った表情だった。




