9月15日 一歩一歩
久しぶりの休みということもあり、漫画を読みながら今後について考えていた。まず、進路。もう、9月だし、あまりゆっくりしていられない。みんなの話を聞いているうちに、俺もそろそろ、これからのことを考えることにした。と言ってもすぐに決まるわけではないし、何が違うことをするわけでもない。
まずは、一歩一歩。前に進んでいくことに決めた。進路をどうするか決めるのではなく、考えたことで1歩進めたと思うことにした。それは、他の人にとったら、簡単なことだし、大したことではない。でも、そんな一歩を踏み出せたことによって何か得られる気がした。
そして、体育祭。これは、クラスを巻き込んだ一大イベント。応援団長にリレーのアンカーも務めることになった。テキトウなことができない気がしていた。かといって、努力してもな?自問自答をしながら、漫画を読み進めた。
そう言えば、今年の体育祭では、優勝したクラスがここらへんの高校と応援合戦とリレーの二つで勝負するというイベントが行われることを聞かされた。ここらへんの高校と言えば、聖徳高校、守田工業高校、八代総合高校、海美高校だ。まぁ、体育祭みたいなことで一日授業がサボれると思うと、ラッキーだった。
しかし、勝つにはもっと本気にならないといけないこともわかっていた。この前、水城に言われてから、自分もいろいろ考えるようになってきた。いつかは変わらないといけないとはわかっていたけど、なんとなくの毎日が過ぎ去っていく。変わりたいとも思わないし、変わりたくも思わない。そんな自分自身がよくわからないでいた。
俺は、今まで本気になった経験がないからこそ、今、本気になるべきなのかと思った。水城にしろ柏木にしろ、こんなどうでもいい体育祭に必死だった。ミスしても失敗しても何もないのに、なぜ、ここまで頑張れるのだろうか?それは、自然とシンプルな答えだったのかもしれない。
何も気にせず、思いっきりすることに価値があるのかもしれない。それは、この前、水城が教えてくれたことと重なる。何か目的のために一生懸命にするのではない。何か一生懸命取り組んだ結果、何か新しいものが手に入るのだろう。今まで、なんでこんなこともわからなかったのか?自分で自分が悔しかった。
そうと決まれば、行動するしかない。私は、スマホを開いて水城や柏木に連絡することにした。これまで感じてこなかったなにか新しい高揚感が自分の中に芽生えている気がしたのだった。




