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9月13日 本気

 今日から全体の応援練習が始まった。初めてということもあり、みんな混乱しているように見えた。それでも、楽しそうにしている姿が見えた。そして、応援練習が終わると、俺はグラウンドに出ていた。

 "一生懸命だからこそ、思い出残るんじゃね?"。昨日の水城の言葉がずっと頭の中を占めていた。水城の言っていることはわかる。でも、今までの経験にあてはめると、水城の言うことは異なる。前の鳥羽の走っている姿が見えてきた。

 頑張っても頑張らなくても、何とも思わない。頑張っても、頑張らなくてもそこそこ結果は出るし、出なくても頑張らなかったからと切り替えができる。だったら、頑張らない方がいいというのが持論だった。俺は、鳥羽を後ろから抜いていく。

 でも、そんな持論を否定的に捉えているのが水城だった。否定的というより、俺の頑張りを頑張りとしてみていなかった。水城によると、本気で頑張ったことに対する結果が出たら、何かしらの感情を抱くという。いい結果であれば、嬉しいと楽しいとか。悪い結果であれば、悔しいとか悲しいとか。それを思わない俺は、まだまだ頑張ったとか語れる次元にいないんじゃないかということを水城は伝えたかったみたいだった。俺が鳥羽を抜くと、水城や柏木から大きな野次が聞こえた。ハハハハ。

 本気かぁ、、、、、。今の自分とは、程遠い言葉の様に感じていた。昔から、俺は本気で何かに取り組んだことはなかった。小学校から続けていたバスケは、そんなに練習しなくてもレギュラーになれた。ありがたいことに、中学生ぐらいからは、下級生から上級生に混じって試合に出ていた。それは、淮南高校に入ってからもだった。

 それは、勉強もそうだ。中学から常に上位30人に入っていたし、推薦でいろいろな高校に行くことも可能だった。でも、行きたい高校は、遠いしそんなに魅力も感じなかった。最終的に、聖徳高校と悩んで、淮南高校を選んだ。高校に入ってからは、だんだん成績順位も下がった。今は、100位前後を行き来していた。

 友だち関係も恵まれていた。小中学校もそこそこ話す人がいたし、高校に入ってからも、山下や谷口など自然と集まってきてくれていた。俺が困っているといつも助けてくれるし、最高の友達だった。そんなコイツらと入れるのもあと少しかぁ。俺は、なぜかグラウンドを走っていた。そうか、、、。今は、リレーの練習をしていたんだ。

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