闇の主
懐中電灯のレンズグラスが壊れてもライトのLEDランプ自体は無事で不安に前を照らしている。そして、今度はぼくの「足元」になんかが当たる音が「カンー」と大きく聞こえた。
考える必要もなく敵だ!
ぼくは一瞬中隊長を疑ったが、やつには三八年式がある!中隊長は村田銃を持っているぼくを一撃で倒さなきゃ自分がやられるかも知らないって事を誰より分かっている。
この暗いどころでは銃口の火炎がまるまる見えるだし、銃声さえ聞こえなかった。
銃じゃない。ならば、こんな物凄い音をでる武器ってどんな物なのか?ぼくはそのまま身をテーブルの後ろに隠して暗闇を睨んだ。
睨んでもライトが照らす部分以外にはなにも見えない。ライトの明りが邪魔で、目を暗闇に順応するのも遅かった。順応してもこんな暗いどころじゃ肉眼で見えるのが?
後ろには遠くに砦ようなテーブルのバリケードが見えてそこはまた照明がある。そこに一旦戻す方がいいのか?
いや。ぼくは試しにライトと連結した棒を微妙に揺らした。案の定ライトを狙ってなんかがテーブルにあたって砲弾ように飛び散った。その轟音で、耳元でなんか爆発した勘違いまでするほどだ。しかし、今度の攻撃で攻撃した武器の正体を分かった。
「ベアリング?」
大きな機会の駆動部分に入るピンポン球程度のベアリングだ。すなわち、鉄の球だ。その鉄球がテーブルをほぼ破して、ぼくが隠れている方でも割れた隙間までみえる。一撃で丈夫なテーブルの上げ板をこんな様に?
ぼくの頭にコンビニの階段で倒れたやつが思い出した。果たしてこんなベアリングなら一撃で足首を折れるだろう。ケロの仲間を殺したやつはこいつだ。
くっそ、せっかくに銃を持っているのにこんな状況じゃ酷いんじゃない?このままじゃ照準はともかく敵の位置さえ分からない。こんな暗闇じゃ銃を持っているぼくには有利などころではない。
だった数分前にぼくが考えているその通りだ。銃を持っているのに原始的な鉄球を心配するなんで、19層の経験がなかったらぼくも信じらない事だ?
階段にある死体で敵の攻撃パータンは分かっている。致命的な攻撃は鈍器じゃなくて、胸に残っていた大き穴を出した武器だ。やつは暗闇の中で相手の機動力を封じて、本物の攻撃をかける。
またキジ狩りかよ。やつはキジ狩りの方法をそのまま使っている。敵は頭もいいし、戦略を実体化する腕もある。猟師を倒したのにすぐこんな強敵と出会うとは。
ぼくはマッチとライタ油カンを触った。こんなくそったれの暗闇なんか火を付けばなんとかなるさ。
「くっそ、火をつけたらぼくもバーベキューになるんだ。」
そう、ここは植物園と違って燃えるゴミだらけの事務室だ。
コピー用の紙、布団、カーテン。ファミレスの消防教育で火がどんなに早く燃え移るのか見たことがある。こんな規模じゃ火を付けてすぐ避けてもあのバリケードの向うまでぼくは届く事が出来ない。よりによって、バリケードは迷路なので道を探すのもできない。
スプリングクーラ?
植物園は主催側にも特別などころで、スプリングクーラを作動したかも知らないけどここはどうかは分からない。いや、流弾発射機で廃虚になって焼かれてしまった層を考えたら、ここもそう放置される可能性が高い。どうか、火を安全に付ける方法を考えるべきか?
ぼくは無駄に照らしているライトを見つけた。やつは光を見つめて攻撃する。棒を揺らしたらすぐ攻撃したのが証拠だ。やつが座頭市じゃないし。
ぼくはふっとももりんが心配になった。コンビニを降りたらここを通るしかないだろう。こんな強敵じゃ中隊長もやられたかも知らない。
「おい!中隊長!そこにいるのか!」
返事はない。ももりんもあの暗闇の妖怪にやられたのか?ももりんはハスタが託した白い羊だ。ぼくは新しく入る白い羊は無視したが、ももりんだけは助けたい。
それも逆説的な状況けど、ぼくは中隊長の腕を考えて安心した。中隊長ようなやつなら、こんなに簡単にやられる訳がない。なんがいい手を考えて・・・。その瞬間ぼくの頭の中から中隊長がやったトリックがなんなのだったか思い出した。
この妖怪がなぜコンビニを占領してなかったのか?それはやつが猟師の「熱画像カメラ」を脅えたせいだろう!
中隊長は猟師が暗視ゴーグル、或いは闇を真昼ように見る装備がある事を知っている。なぜなら19層が陥落された時、猟師にそんな装備があると気づいたはずだから。
あのやろう、自分が猟師だとウソをついたんだ!熱画像カメラで向うが見えるって!闇の中の敵が誰だか分からないけど、この敵は猟師を脅えていているのは確かだ。このやつは闇を「バリア」として利用している。やつに猟師のカメラは相性が悪すぎる。
しかし、カメラは壊れている。くっそ、どうせぼくがやつの位置を分かる方法はない。やつは音もなしに移動している。ぼくはふっと自分の足を見つめた。
「やつは素足だ。」
考えて見たら、ぼくも恵比寿を殺すときに足音を隠すために素足で動いた。このコンクリートの地面を靴を履いたまま音が出ないように移動するのは不可能だ。きっと、敵は素足或いは音が出ないように柔らかなゴム底の靴を履いているので間違いない。
素足。
ぼくもせっかくの登山靴を脱いで素足になった。ぼくも気分だけはそろそろ狩人になっているようだ。猟師との戦いでぼくには経験と有用なアイテムを一杯もらった。
ぼくはまたアンコウようなライトをまた引いた。期待 にたがわずにライトを向かって鉄球が飛んできた。
ほとんど鉄球はぼくの手の甲を掠ってドカンと轟音がした。掠っただけなのに手で一瞬鳥肌がだった。鉄球に撃たれたらただではおかない。
ぼくはライトを回収して、すぐ電源ボタンを押してライトを消した。すぐぼくの体と全てを闇が食えて何にも見えない。
まるで何にも見えない宇宙に飛ばされたようだ。一人で宇宙に漂流して生き残るために努力する宇宙飛行士。
そんなのこの状況ではロマンチックな想像だ。ぼくは闇の中でやつを引き出す方法を準備した。この戦闘の条件も19層と同じだ。なるべく自分の位置をばれないまま、相手がどこにいるのが探索する戦
いだ。
ぼくはそんなに不利ではない。まさかの時は19層に戻ってそこでこの闇の敵を待っていても全然かまわない。食糧と水。そして、新人さんの中でぼくと組むやつを探して、ここを突破する方法もある。
しかし、問題は太田だ。
くっそ、さっき取引をしたとき、正確にどんな層に隠れているのか、曖昧なヒントでも聞いた方がよかったのに。太田はこの暗闇の地獄を抜いて下に降りたのか?主催側のやつは太田は19層の下にいるって言った。
ぼくが19層から降りた階段の数はだった一カ所。ここがゼロ層から逆算してマイナス20階層だとは間違いない。
この闇の化け物が太田ようなやつを見逃す理由はない。一体、こんな強敵がここにずっといたら、中隊長と太田はどうやってここを降りたのかよ。銃を持っているぼくもこんなに苦労をしているのに。
こいつかどいつか、結局その疑問の回答はその下にあるだろう。ここで出来るだけやつを無力化する方がいい。そう、考えて見たら、ここは19層じゃない。
食糧と水に困っている状況もないし、やつと命をかけて戦う必要もない。ぼくは一刻も早くここを降りて太田を捕まえる事しか望んでいない。
道を借りるだけなら何とか出来るじゃないか?協商はする価値があるんじゃないか?やつもぼくが手ごわい相手だと分かったらぼくを見逃す確率がある。
モニターでぼくが死の戦いをすると望んでいる主催側さんには残念だが、ぼくは協商をすると心を決めた。もちろん、闇の中でやつの鉄球と変な攻撃を無力化する方法も準備している。
どの道、ぼくが失う物はないから。
「おい!協商しろ!ぼくはあの猟師を殺して銃をもらった男だ!」
男って。ハスタが聞いたら漫画みたいなセリフだと揶揄うかもしらない。
「おい!ここでお互い死ぬまで戦う理由はない!ただ道を借りてくれ!あんたは上にある19層を占領するかどうかぼくは構わない!」
ぼくはライトで銃口部分をやつに見せた。
「死ね。」
「え?」
やつの「死ね」って一言が聞こえてなんとぼくの頭上から鉄筋が落ちた!まさか、この闇の中でブビトラップかよ!
なんと、やつはライトの光でぼくの位置を把握して、ワナを作動した。先端が槍のように鋭い鉄筋はサブバックを簡単に貫通した。もったいない水が鉄筋で貫通されてどくどくと水が出た。
もし位置が間違ったらどくどく流れるのは水じゃなくぼくの血だった。そして、闇の中のやつは連続にワナを作動させてぼくを狙った。
さっきまで鉄球を飛ばした攻撃は「優しいあいさつ」と感じられるほど恐ろしい攻撃だ。
ぼくは事務用デスクの引き出しを頭にかぶって落ちる石を防御した。カン-!引き出しが寺の鐘のように響いて目がクラクラするほどめまいが起った。今度も引き出しがなかったら一撃で死んだかも知らない。
やつはきっと猟師と戦った経験がある!こんなワナは銃を持っていても致命的で、闇の中のやつは猟師を殺すために精魂を注いでワナを作った!
くそ!協商ができるだと判断したぼくの方がバカだった。闇の中の敵は村田銃を見て、ぼくを必ず排除すべき敵だと判断して全力をかけてぼくを攻撃している!
ちょっと、調子になって油断したんだ!くっそ!今度も狩れる方はぼくだった。ライトで天井を照らして見てもどんな物がワナか全然わからね!
また、鉄筋が落ちて地面にとかんと落ちた。一撃でテーブルの上段が貫通されて下のコンクリートに当たった。ぼくはバリケードがあるどころに、素足で走りながら反撃を狙った。
ぼくが暗視装備を持っているだと騙すのは不可能だ。しかし、ある意味、この層の「ぬし」はぼくを同じ条件になった。やつも暗いどころなら「音を聞く」以外に相手を探すのは出来ない。
同じだ。やつも見えない。やつがライトを攻撃したのがその証拠だ。ぼくにはあふれるほどやつを幻惑させるアイテムがある。
「おい!ハスタ!そこだ!そこから銃で狙うのだ!」
ハスタがそこにいる訳がない。ぼくは手にある「スイッチ」を入れて、やつを混乱させるつもりだ。このスイッチは猟師が作った物で、ぼくを19層で錯覚させたあの物だ!
元々カーバイド爆音器は無人退治が基本だ。夜の畑とかで自分が勝手に爆発するように「水」がタイマの役目をしている。
水がカーバイドつまり炭酸カルシウムに入っているビンに一滴ずつ落ちて、水が十分になったとき反応が起きてガスが出る。そのガスと「点火プラグ」で点火して爆発するんだ。
そんな理由で猟師は受動で点火する有線スイッチを作って、自由に爆発をコントロールした。
パアン-!カーバイド爆音器として作った簡易爆音器がはでに爆発した。ぼくの目も自然に簡易爆音器がある場所に向いた。
爆発は本当の銃の火炎よりもっと派手だが、20層の主を当惑させるには十分だった。そして、ぼくはまるでこの場に猟師の後継者が「二人」いるように向うに叫んだ。
「あっちだ!ぼくが見たよ!ぼくも狙うから!くっそ!暗視ゴーグルもバッテリを探すからちょっと待って!」
返事の代わりに爆音器がある場所に何かが落ちる音が聞こえた。もしかしたら、この階の主はこの階に何があるか、全て聞こえる事が出来るかも。
ぼくは有線スイッチを足下に置いて出来るだけ音がしないように動いた。爆音器は一度爆発したら、ガスが発生するまでちょっと時間がかかる。すでにサブバックも爆音器の周辺に残して銃とアイテム何個だけを持っているだけだ。
ここも全力突撃するしかないのか?あの鉄球を飛ぶ攻撃と天井にある落ちるワナは鳥肌がたつほど恐ろしい。こんなやつが猟師とそんなに近くにあるとは全然思わなかった。
そして、勝負をかけたのはぼくだけじゃなかった。球に天井が落ちるようにすべてのワナが落ちた。やつはどこに動いても全部当たるように、準備したワナを作動したのだ!
「くっそ!ハスタ!そのまま動くな!もう落ちたどころは安全だ!くっそ、バッテリ!バッテリを探したよ!くっそ!余計に素足になったよ!」
ぼくは素足で走った。素足が地面を叩く音は確実に登山靴の音は違う。やつもこの足音を聞いているだろう。こんやろう、ワナはありがたかった。
ぼくは落ちるワナを避けて、逆にやつにワナを設置した。こんやろう、ワナはありがたかった。




