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砂の人形

卑怯よ。


ぼくのこころの中で誰かが言っている。


しかし、ぼくはその話声を無視した。今は仕方ない。太田を追うしかないんだ。

誰かがぼくに「白い羊」についてなんか言っているが、ぼくは自然にコンビニの方へ歩いた。コンビ

ニの水と食べ物を見て、心の中の声はすぐ消えてしまった。


どこの誰がぼくに行ってもここでは補給をする時間だ。


「出来るだけ軽いもの。水が優先だ。」


ぼくは水を最優先でサブバックに入った。水は500ミリボトルで四個を選んだ。1.5リトルの大きい瓶ばら水がちょっと残った時に音がするはずだ。


猟師との戦いで「音」がどんなに重要なのかは骨髄に染みるほど分かった。半分残った水ボトルの音は以外に遠くまで聞こえるんだ。


そして、水を出きるだけサブバックに入れた後つきは食糧だ。ここにはコンビニ弁当とかの新鮮食品はないけど、その以外にコンビニにある商品はほとんどのある。


ぼくは万引きをしている子供のように陣列されている物のなかで「クラッカ」種類をバックに入れた。スニッカズチョコバーを埋め込むように口に入った。二日の間ろくな食事も食べなかったのでチョコバーの味は本当のい美味しい。


チョコバーが口の周辺で解けて、鏡を見たら泥水でも飲んだようだ。ぼくは全然構わずにカップメン何個を拾って周辺をキョロキョロ見回った。そんなぼくの目になんと給湯器が見えた。


「お湯まであるのが?フン、余計などころでは親切だな?」


そう言えば、ハスタがここに銭湯があるだと言ったことがある。銭湯があるのにお湯は当然だろう。ぼくはカップメンにお湯を注いで窓辺のテーブルに置いたあと周辺を続いて見回った。

ぼくの目は米国軍の「MRE」をみつめた。


「これって民間用ではない。」


薄い茶色の包装。これは確かに白い民間用とは違う「軍用」だ。これもYOUTUBEとかでよく見た事があるので、ぼくはMREを六個サブバックに入れた。


確かにMREは一個が一日分だろう。一個ずつ、三千カロリ。今まで絶対的なカロリ不足で苦労をしているぼくにはこれはまさに神の食糧だ。これだけで最悪の時にはこれでは六日は十分だ。


六日。果たしてこのゲームが六日で終わるのか?その以前にこのゲームに「エンディング」ってあるのが?一度も思わなかった問題だった。


終わりがない。


どんな仮定より恐ろしい結論だ。どんどん新人が入って、死んで。


訳がわからない理由で行方不明になる人は日本にもたくさんいるし、人の「供給」は問題ない。金をかける方でも終わらない博打って魅力的なギャンブルではない?


「いや、そ、そんなはずがない。終りはある。これは競走だから。ハ、ハスタもゲームが終わってま

たここに入ったから。再参加者がいるって事は終りがあるって事だよ。」


何よりもゼロ層にある赤い矢印は明らかにこれが競走だと言っている。


下を示している赤い矢印。


それはこの建物を降りるのが唯一な救援だと言っているようだ。コンビニの中にも赤い矢印が見えた。


ラーメンが陣列されているショーケースの後ろに赤い線が警告サイン見たいに大きく描いている。


「ここで安心するなって事か?オアシスようなコンビニでも下に降りろ?」


ここには何もかもある。


明るい光、水、食糧。


コンビニの中にいたら、近所のコンビニでふらっと寄った感じだ。ここを出たら、親しい町の景色が見えるような錯覚さえするほどだ。


しかし、ここは所詮オアシスに過ぎない。ここで永遠に生きる事は出来ない。


降りるんだ。

太田を殺すのだ。


ぼくはカップメンがあるテーブルに戻って「平凡で日常な瞬間」を楽しんだ。19層でゆっくりとカップメンとかを食べることができる人は19層の勝利者しかない。

そうぼくは勝利者だ。


「あつっ!」


熱いスープが喉を暖めてすぐ腹も熱くなった。カップメンのスープが今まで食べたどんな料理よりうまい。ぼくは割り箸でメンもあたふた口に入れた。熱いけどちょうどこの熱さがいい。あっという間にメンも熱いスープも残らず全部食べた。


食べた後,ぼくはバカみたいにまた涙を零した。だった、カップメン一個が日常に戻った気分をくれた。そして、19層まで一緒だった仲間たちを思い出した。


「みんな一緒だったいいのに。」


なぜハスタが19層を「道連れ」の条件で言ったのがやっと分かる気がする。ここで着いたら心配する事は大分なくなる。


ぼくはハスタのアイディを触ったあと、椅子から起きて全ての装備と食糧を確認した。

銃、キャンピング斧、銃弾、ナイフ、カーバイド大砲から分離した部品と猟師から貰ったアイテムまで。


とくにカーバイド大砲の部品が面白い。それはケーブルで繋がっているカメラの「シャッタ」と似た物だった。ちょっと離れた場所でも大砲を手動で操作できるってこのリモコンがなきゃ出来なかっただろう。


ぼくはアイテムの全てを確認した後コンビニの出口を見つめた。


「森田ゆう。いこう。胸を張って。」


この下にはなにがあるか?


どんな敵がいるか?


もう恵比寿がくれた地図は意味なくなった。そこには19層以下の地形は出ていない。


マイナス20層。


ぼくはコンビニの後ろに繋がる赤い線を追い掛けて、コンビニの事務室と見える部屋へ来た。ここは事務用の什物が城みたいに積っている。ここでも以前の回次に戦いがあったのか?


事務用テーブルとかで干上がった血痕が見えた。結構激しい戦闘だったそうだ。城みたいに高く積っている壁のどころどころにも血痕がある。


「まさか、19層をもう降りた勢力と、コンビニを新しく占領した勢力との戦いなのか?」


ここに食糧があるから、腹減った元勝利者たちが上がってくるなんで、失笑したかこれがぼくの話になるかもしたらないって事を気づいて真面目になった。


「やはり、MREと水をもっと持ったほうがいいかな?あ?」


新しい血痕だ。


猟師が中隊からここを奪った期間は少なくとも三日だから、これが前にいたやつらの血だとは考えられない。


中隊長が傷付いたのか?

それとも太田?


どっちの方でも油断できない。ぼくは銃を照準したまま血痕をおいかけた。血痕はテーブルの城を回って事務室の出口まで繋がっている。


「まさかこんなワナがあるとは。」


事務室の扉には釣り針ような鉄筋で不運なやつが刺されている。実に簡単なワナだった。釣り針には重いコンクリート塊が縛られて「錘」になる。そして、不運なやつが扉を開いたら、時計の振り子ように動いて鉄筋が襲って胸、頭などに直撃する。


このワナの恐ろしいどころは一番油断しやすい状況を狙っている事だ。コンビニの戦闘で勝った人は水と食糧を手にいれて必ず安堵する。


その時こそ警戒心が薄くなる状況だ。ぼくだって、先にかかったあのやつがなかったらやられたかも知らない。


この「ゲーム」から離れない。


ぼくは「釣られた」やつに感謝した。やつはいまだにお菓子や水ボトルを握っているままだ。こいつは玉将のやつらだったのか?ぼくがやつに近づいた時、やつの目と真っ正面に目があった。


「え?」


こんなのあり得るのか?なんと死んでいる人もぼくが知っているやつだった。


「ケロ?」


名前はよく知らない。あるだろう。長みたいにクラスであだ名がもっとなれたやつ。

特にケロはモノマネをよく出来るやつなのでクラスで結構人気があった。ケロってあだ名もカエルのモノマネをよくやったのでついた名だった。


そう、この死体はあの時、二年D組のクラスメートだった。


「あり得ない。ケロまで?」


ケロはぼくが登校拒否する前までぼくの前の席だったからよく覚えている。やつはぼくを助けなかったか、反対にいじめに参加はしなかった。


「奴隷」になったあと、やつとろくに話さえしなかったが、やつはそんなに悪い人とは見えなかった。


え?一体ケロがなぜここに、こんな姿で死んでいる?


ここに入った人が何人だか分からないけど、これは納得できない。


太田、櫻井、日野、長、日野が殺したやつ、ケロまで。


「ここで同窓会でもやる気が?」


まさか、ぼくが見なかったどころでは何人の二年D組の誰かが死んだんじゃないのか?そして、ぼくは変な事を気づいた。


「男しかいない。」


そう。ぼくが通った学校は共学で、半分は女学生がいた。二年D組に正確に女子が何人いたのは分からないが、奴隷になったぼくを見つめる目線の中では結構多い女子がいた。


その女子の中では「長」見たいに小学校から同じクラスだった女の子もけっこういた。なのにここで確認したのは男子だけだ。女子の方は全部死んでぼくが見えなかったのか?


そうはずはない。若い女性は建物の中では貴重な「物」だ。わざと殺す理由はない。生きていたら玉将、中隊の中ですごく目立つな存在だったはずだ。


二年D組。


撃ったら必ず撃った方が死ぬ拳銃と、日野が残した意外な手がかりは変な方向でぼくを導いた。

最初ではこの殺人ゲームは「太田への復讐劇」だと知っていたが、「ケロ」の死体を見てぼくも別の可能性を考えなきゃならない。


二年D組の男子たち。


クラスの中で男子だけを選んだのは一体なんの理由がある?


男子だけ?


そして、D組の男子なら、そこにぼくが含めているのが実におかしい。ぼくは奴隷になったあと、登校拒否で結局自退したので、クラスの一員と言えるのはちょっと無理がある


ぼくは見た。


ぼくを外して、二年D組のみんなは平気に高校生活を続けた。修学旅行を行ったり、文化祭をしたり。そのなかではカップルも出来たし、みんなそれぞれ眩しい学生時代を過ごしたんだろう。


ぼくがいないでも、地球はなんの問題なく回る。ぼくがいないでも、それぞれ高校を卒業して自分の道を歩く。


しかし、ぼくの時間はあの時、二年D組に止まっている。


「酷いんじゃない?二年D組の理由でぼくが選ばれたなら、本当にやりすぎじゃね?ぼくは。ぼくは・・・。」


二年D組じゃない。


ぼくだけは二年D組だったけど二年D組じゃない。


あの頃からは完全に崩れて人の形しか残っていないだけだ。人の体が砂だと言ったら、ぼくのからだは粉粉になってまたそれを人間の形でやっと固めただけだ。


ぼくの胸には大きい穴があって、そこから虚しい風の音が聞こえるんだビュンビュンと。


ぼくは東京に逃げたあともずっと考えた。ぼくは人の形をしている砂の人形だと。


ぼくは眩しい高校時代も。

人間関係も。

家族も。

何もかもない。


そんな砂の人形に。

「酷いよ。もちろん、太田をこの中に入れたのは感謝すべき事だが、ただぼくが二年D組って理由で

ここで招待されたらそれは酷いよ。」


長と違って「ケロ」の死体を見てもなんの感情さえない。ケロもぼくを冷たい目で見たやつの一人だ。むしろ、こう死んだ姿をみたら、すっきりな気分を感じている。


二年D組。


確かに、二年D組の全部となんの関係があるが、今のぼくにはこの謎を解ける情報はない。

ペンがあったらいいけど、ぼくが見て考えた全てを覚えるしかない。ぼくは二年D組とほかのクラスメートを考えながら進んだ。


事務室を出て、ケロの死体を片付けろうとしたがすぐ諦めた。一人でやつを鉄筋から抜ける方法もないし、ケロにそうする義理もない。ケロの死体を見たら、あの時ぼくが見たやつの背中が思い出した。あの時、誰もぼくを助けなかった。ケロも例外ではない。

ぼくはただケロの死体を避けてやっとマイナス20層で繋がる階段にたった。


「ケロの仲間か?」


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