分岐
「取引もオッズの調整に影響されている。ならば、タンクはもちろん、参加者の中で自動小銃を持っているやつが一人いるって事だろう。そうでなかったら強弱の区分がめちゃくちゃになるから。」
「面倒くさいやつ。二分一秒。」
やつの反応がぼくの推測が正しいだと証明している。どこかには自動小銃を持っているやつが一人いる!それが酒呑童子か、また別の人物なのかは分からないが、せめて一人は小銃を持っている!
「無駄に時間を流れるのが?本当に取引をする気が?
「ぼくは「太田」、つまり「メロス」と「マイダス」の「ありか」を知りたい。それ以上はなんにもいらない。」
「てめえ、賢いやつだな?われわれに強力な武器を願うやつはいるが、てめえは・・・。」
「うっせ、さっさと言え!てめえ、時間はないんだと?太田はどこだ?」
紙切れは書いている。
3 取引は・・・・・なんでも・・しかし・・ない。
取引は何でも出来る。しかし、無理な事は出来ない。
タンクとかをわざ言ったのは「取引の限界」確かめるだけだった。果たして太田のありかを問う事がルールには合うのか?
キャラクター時計を見たら、時間はどんどん流れている。やつは正確に二十秒後にぼくに返事した。向うからキーを押して低音の男以外にも何人の声も一緒に聞こえたようだ。
「それは出来ない。」
「なぜだ?アイディなんかぼくは一つも必要ない。」
ぼくは猟師と太田のアイディも全部出してやつに見せた。本当だ。こんなのいらない!
「マイダスも猟師のものを全部てめえらが食ってもいい。ぼくにはどうでもいいから。」
ぼくは天井にアイディの束をカタカタ揺らしながらやつらに見せた。マイダスのアイディを外しても、ここに書いている賞金だけで一千万は十分に越えるだろう。他の人なら、このアイディに惚れるかも知らないけど、ぼくは違う。
ぼくの目的はお金では買えない。
考えてみたら、主催側にはぼくみたいなやつが一番手ごわい種類だ。
そして、向うからキーを間違って押したか、主催側の男が女とか別の人の話が無線機の向うから微かに聞こえる。
フン、テーブルRPGでもやるのかよ?仲間たちにルール違反を相談するって。主催側が一人ではない事はすでに分かっている。こんなに広い建物を管理する事は一人では出来ないから。
やがて、無線機から無情な話声が聞こえた。
「ありかは教えない。」
「なら、残念ね。主催側さん、時間切れだよ。バイバイ。」
ぼくは無線機をサブバックに入って、なごりなくコンビニに向けた。率直にアイディの事はぼくはどうでもいい。武器もぼくが小銃を持っている限り取引をする利益もないんだ。そもそもアイディを、本当にやつらが「精算」するって保障もないし、ぼくはもうあきれたよ。
19層に今生きている存在はぼくだけだ。
こんなプラスチックを山だらけに持っていても何の意味がある?こんなの一杯持っていてもハスタは戻らない。
彼女は戻らないんだ!
ここで死んだ全部は!
なんとかなれよ。ぼくは惜しくない。
そして、すぐ無線機から声が聞こえた。相変わらず事務的でなんの感情もない話だった。
「ありかは教えない。」
「ああ、そうですよね。なら、時間無駄はやめよう。ばいばい。」
「代わりに「メロス」が19層の上にあるか、下にあるかは取引できる。」
ぼくは足を止まった。太田のありかが19層の下か、上か?これでも十分だ。そもそも、ぼくが知りたかったのは太田の「生死」だったから!
やつはまた生きている!なんてコキブリような生命力なんだ!この19層で玉将も、中隊も全部死んだのにやつだけは生きている!
「なら、主催さん。取引しよう。てめえは何が必要だ?これ?これ?全部くたばれた人間の破片だ。こんなのが欲しいのか?そんなに高いどころで座って、下を見下ろして神でもなった気分なのか?」
「・・・・・。」
「なんだ?いらないのか?やなら、さっさと消えろ。」
今度は無線機の電源をオフにしようとした。取引なんかどうでもいい。ぼくは必要な情報をほぼ手にいれた。
「ドペルゾルトナー、てめえはルールに致命的な存在だ。」
やつは無情にそう言った。
ルールに致命的な存在。
その意味はあまりにも確かだった。
「ぼくがまた生きていて困るのかよ?ゼロ層で殺されてないから?ああ、生きていてごめんね!なら、酒呑童子に任せて殺せばいいじゃん!下らない漫才はもういい!言え!下か、上か。」
「ふふふ、だった、銃一丁でけっこう偉そうになったじゃないが?てめえを殺す?ふふふふ。それは容易い。」
始めて主催側の感情が感じられた。
「てめえはここで死ぬ方がてめえ自分にももっと楽な事になるんだ。自分がなんの「過ち」をやったのか、今でも全然分かっていないから。」
「な、なんだと。過ち?」
その「過ち」がぼくの胸のそこを貫いた。やつらは全部見たはずだ。ぼくがペルを失った事も、ハスタが死んだ事も。
過ち。
くっそ。やつは今ぼくの格好を見て笑っている。やつは無情な話でぼくをあざ笑っている。ぼくは今までの豪気はどこに消えたようにやつの笑う声で圧倒された。
それは、ぼくみたいな羊を、何百人、いや何千人が虚しく殺される光景を見たやつこそ出来る笑いだ。
「ふふふふ、下だ。19層の下。猟師のアイディ二つでは値段が高いから、その小銭って言うかオマケをくれる。」
「ありがとうって言わないから。」
「好きにしろ。「ヒキョウモノ」よ。」
ひ、卑怯者だと!
「ドペルゾルトナー、君は生き延びれば、生き延びるほど、自分が死んだ方がいいだと気づくはずだ。」
それはどんな呪よりその言葉がぼくの胸を刺すように痛く感じられた。
この後も生き残った事を後悔するって事か?
その言葉を味わう暇もなくやつは変な言葉を話した。
「33、ゴルフホテル、39、62。」
「え?なんだと!え?」
無線機のキーを押しても今度はなんの返事もなかった。え?
いまなんだと言ったけ?ぼくは地面に聞いた数字を書いた。23,39,62.ゴルフとホテル?それは一体?
そして、その数字の意味を考える前に、ぼくの揶揄うように「スピーカ」から明るい歌声が聞こえた。
「え?まじかよ?」
本当にここで死んだ人すべてを揶揄うような選曲だった。
思い立ったらいつだって、ドンキホーテで待ち合わせ。ドカンとあふれる夢を買いましょ、気分は宝
探しだね。
ドン、ドン、ドン、ドンキー、ドンキホーテ・・・。
そう、歌声は有名なショッピングモール、「ドンキホーテ」のテーマソングだ。
その明るい歌詞とメロディが19層の光景と全然似合わない!
夢、宝・・・。
そんな物はここにはいない。生き残るだけが全部の地獄図にこんな歌なんで?
「あ?歌?まさか、これが「ベール」だったのか?」
ぼくはまた紙切れをだして確認した。
7ベールは各状況に・・・・・・よく聞いてば・・・・。
ベルは各状況によって・・・。その後ろは当然「違う」って言葉だろう。そして、ベルをよく聞いたら。その後ろも考えれば簡単だ。
新人狩りは新人が入ったのをどう分かって、ゼロ層まで上るか?正解はこのベールだ。
ベルは各状況によって違う、よく聞いてば何が起るか「予想」が出来る!
ならば、今鳴いたベールはどんな意味だ?ぼくはその答えも周辺に散らかっている死体から容易く分かった。
「ドンキホ-テの歌は「新人入り」のベールだ。」
その歌声が聞こえる瞬間は店に入った時だ。新人が入るって知らせるにはこれ以上の歌はない。
「新人が入る。」
やっと、太田の位置を分かった直後だ。主催側の話で判断したら、太田が降りたのはぼくがハスタに言ったその頃だろう。
19層には人はないし、ぼくが猟師たちを倒す前には19層はまさに通らない地獄だったから。昨日、見た通りなら、太田は負傷をされている。もちろん、やつがそのまま死んでも構わないが、ぼくは確実にやつの死を確かめたい。
主催側の話でぼくが「生きている現象」がやつらには正常じゃないで、「森田ゆうが太田を殺す」のがこのゲームの目標じゃなすでに分かっている。けれど、ぼくはやつをぼくの手で殺したい。
胸のそこに鉛のように沈んでいる「恨み」が、太田を直接に殺しても消えないって日野を殺して分かっている。けれど、高校二年から始まった「ぼくのゲーム」は太田を殺す事でやっとゴールにたどり着くのだ。
「ハスタ。どうしよう。ぼく。」
しかし、ぼくの足を引っ張っているのはハスタとの約束だ。彼女は白い羊を導いてくれってぼくに言った。それはただ、彼女の遺言だけじゃなく、前回の消防官から託された意志だ。
ぼくは星が描いている部屋の「名前」を思い出した。しかし。しかし。
しかし、このままじゃ太田について19層の下にいる強者たちに先手を取られるかも知らない。主催側の反応で見たら、やつはそのあと、太田のありかについては取引を取らない気だ。
どうする?
きっと、誰かが残って新人狩りをするかも知らない。そのうえに、19層の上には酒呑童子もいる。きっと、なんの情報もない素人たちがやつにかかったら、ただではおかないだろう。
「あ、長もいる。」
長とその相棒は確かに「ぼくだけには」いい仲間になるはずだ。ハスタ組の全部をなくしたぼくが頼る対象は長だけだ。
しかし、長が「新人」たちにも優しい人になれるかは別問題だ。いや、そもそもラクロス組は新人狩りで悪名が高い二人組だった。長はきっと容赦なく新人さんを殺すだろう。
本当にどうすればいいのか分からなくなった
大体ぼく一人で白い羊を全部救う事ができるのか?いや、新人全部が「白い羊」だと誰が決まった。
ぼくはまたヒントの紙切れを見下ろした。そこには丁度ぼくが考えている問題が書いている。
「黒い羊は白い羊の中にあるかも知らない。」
後ろの部分は分からないが、大体、こんな意味だろう。実際に新人狩りの秀平老人がハスタ組の中にいたから。
ぼくは紙切りを握って悩み続けた。ドンキホーテの歌はすでに終わっている。
「ごめん。ぼくは太田を殺したい。や、約束はそうだったんじゃないか?」
19層まで。
すでにぼくの「ハスタ組」はどこにもいない。もちろん、「銃を持っている者」として、新人さんへのちょっとした罪悪感を感じたか、それだけだ。
「どうぜ、酒呑童子以外には強敵はない。ぼくは一人でここまで戦った。新人さんよ。あんたたちも生きたいのなら証明をしろ。ここまで降りるんだ。」
そう考えたらそうだ。ぼくは一人で苦労をして、猟師を倒した。19層の下でぼくと出会ったら新人を救うのは別論として、やつらも証明しなきゃならないんだ。
今の新人さんには中隊も玉将のやつらも、猟師も全部ないんだ。ぼくはあれだけ苦労をしたのにちょっと悔しくほど降りるのが容易いじゃねえがよ?
「ぼくが心配してる暇はないんだ。ぼくもまだまだよわいんだ。」
そう。例え銃を持っていても酒呑童子と戦うのはできない。絶対出来ない。新人さんも死にたくなげれば、努力をするしかないんだ!
「そう。それが公平な事だ。」
ぼくはなんかすっきりした。新人さんの心配をする暇はない。ぼくはまた目を閉じて、ハスタの話声を無視した。
卑怯よ。
ハスタ?




