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19層、地獄の入り口

情報の混線。


ぼくがまいた「疑心暗鬼の種」がブーメランように最悪の形態に戻ってきた。よりによって「特等席」と言う単語がやつらたちの疑心を確信に変えた。


「ぼくは御曹司なんかじゃね!メロスがそのひとだ!アイディを見せるから!」

「この嘘つきが!そのメロスはもう死んだ!そのアイディまで手にいれた!」


え?メロス、太田が死んだだと!もちろん、昨日やつを追撃した人数を考えたら殺されてもおかしくないはずだ。まさか太田が殺された後の状況がこんなに壊滅に全開するとは。


「メロスのアイディはほぼからっぽ!だった、3万円しかかなかった。見ろ!」


向うで誰かがアイディを見せた。当然、距離があってよく見えない。ぼくが一瞬迷っている間。


「ええい!余計な話はもういい!攻撃しろ!あのやつが一億の特等席のやつだ!」


ぼくは言訳する時間さえなかった。自転車チューブを引っ張ってやつらに矢を放した。そして、その

矢はやつらに確信をくれた。

廃虚の戦闘で中隊は突撃小隊を無理やり入り込んだ。その戦闘で参加したやつらはぼくが自転車チュ

ーブ使う姿をちゃんと記憶している。


「やはり、こいつだ!こいつが特等席の「一億」だ!」


聞けば聞くほどあきれる話した。


一億?


そんなお金があったらバイトなんかするもんか!


くっそ!ここに長がいたら、ぼくの身分を簡単に証明してあげるけど、ここには長とその相棒の二人組はない!どういう事だ!


ぼくがいた場所には投げナイフや竹槍とかが飛んできて砂に打ち込まれた。

これは想像した事ない状況だかこれでもいい。いや、ぼくの目的は19層に玉将のやつらを突入させる事だ。


その方式はどうでもいい!中隊長が言った通りあの猟師たちに捧げる「標的」は多ければ多いほどいいんだ!


ぼくは上ってきた道を逆旬に走って降りた。昨日は中隊の追撃隊だったか、今日は玉将の残党だ。皮肉などころだな!昨日の同盟が今日の敵、昨日の敵は・・・。今日も敵だ!


ぼくは砂に鉄の破片を撒き散らした。忍者映画で見た方法だ。「撒菱」だと言ったな?子供のころそう遊んだ記憶がある。


ぼくの後ろを追っているやつの一人が足を鋭い鉄破片で切られて悲鳴を上げた。和式の庭を見て一番さきに思い出したのは実は時代劇だった。そこで忍者が鉄びしを撒き散らして追っ手を困らせる事も知っている。


靴がこんなに大事な物だとは思わなかった。ぼく見たいにスリッパとかを履いているやつは狙い違わずこのでたらめなワナにやられた。


しかし、喜ぶ暇もない。すぐ後ろには玉将やつら追っている。後ろはまさにゾンビ映画の中でゾンビたちに追われているシンだった。中隊が撤退した廃虚を玉将のやつらはなんの疑問もなくゾンビのようにぼくを追っている。


もうすぐぼくはひどく息切れして、走る力さえなくなるんだろう。キャンピング斧とかの装備の重さだけでも十分手間がかかる!サブバックの取っ手が肩からしきりに滑ってもっとしんどいだ。


くっそ!サブバックじゃなくリュックサックとかが欲しい!真面に走る装備が欲しい!紐とかで簡易リュックサックを作ったらいいのに!ぼくってバカだよ!


「そこだ!そこにいる!」


ただ、走るだけならハスタが教えたダクトで入ったらやつらから隠れる事ができる。しかし、ぼくは時々止まって玉将連中にわざとぼくの位置を見せた。


こい!玉将のお客さんとも!こっちだよ!こっちであんたらの19層の戦争が待っているんだよ!

今、ぼくが心配しているのは中隊の後衛部隊だ。中隊長ほどの人が後衛部隊の配備を考えなかったとは思えない。もちろん、ぼくにはその場合の策も今思い出した。


中隊は玉将との同盟が成立だと分かっている。あ、そう。玉将のやつらと組んでない状況がぼくとハスタにはもっと有利だ。19層でどっちが自滅してもいいじゃん。どこの勢力が正しいのかわかるもんか?


蠱毒。


その言葉は素晴らしくこの建物に似合う。

毒の器の中ように、ここにいるみんな全部毒物で毒を持っている悪人ばっかりだ。


まさに、聖書で出てくる「ソドムとゴモラ」だ。神はその都市に義人が一人でもいたら、滅亡しないだと宣布した。しかし、ソドムとゴモラにはいい人は一人もなかった。その理由であのどころは神によって滅亡された。


「ハアハア、くそったれの中隊、玉将。」


共滅すればいい!あの老人たちを含めて!


昨日は迷路の中を走ったから、どころどころ休む時間があったが、今は一直線で19層へ走ってしかない。


やや過ぎてさっき中隊の本隊があった場所へたどり着いた。しかし、ここもおどろおどろしいの静寂だけだ。


中隊は後衛部隊も残らずに19層へ行ったのか?いや、そんな。ぼくは後ろで走ってくるやつらを見た後、また走った。


サブバックの中で急いで地図を確認したが、恵比寿がもっていた地図は19層までだった。そして、19層に入る方法や18層の配置も出ていない。地図をサブバックに突っ込んでただ運に全てを任せた。


18層は遊園地と似た地役だった。太くて大きいな柱がどころどころ立って、柱にはペナントとかテーマパークでよく見える大きいなキャラクタ掛け図がかけている。


多分、子供向けの娯楽施設だったんだろう。しかし、ここは入店前の店が多いので全層が明いている。まるで、魔王城の城下町っていう不気味などころだ。壁の装飾や小品が子供向けのどころだから余計に不気味。


ぼくはあの童話風の階段で一息をつけて、息を深く吸い込んだ。


「本能寺!本能寺!敵は本能寺にいる!打つな!玉将だ!打つな!」


ぼくは合言葉を叫びながら18層に降りた。様子をみたら中隊は18層全体を19階の猟師だちとの「クッション」地帯と利用したようだ。猟師も植物園を出たら人数が多い中隊には相手にならない。その理由で曖昧な共存ができたはずだ。


ぼくの宣言でそんな曖昧な休戦はもう続けない。遠くに中隊の投石機が19層へ移動するのが見えた。


「本能寺!本能寺!玉将の支援兵力だ!うつな!本能寺!」


中隊がこんなにありがたいのは始めだった。中隊の信号が響いてぼくはそれがやつらの彼我識別信号だと気づいた。


モス信号ように長い口笛と拍手一つ。


ぼくはしかしそんな暗号に応答しなかった。ぼくは今、玉将の手先だ。


「本能字!同盟軍だ!一緒に19層を攻略しよう!」


ぼくを追っているやつらの動きは一瞬止まった。玉将やつらにはぼくの行動があやしいすぎるんだろう。玉将の結論はすぐ出た!


「やつはおとりだ!中隊がおとりを使った!」


しかし、時にはもうどうしようもない物もある。昨日、中隊幹部を拷問した時、玉将には特に「指揮官」がない事を気づいたあとだ。指揮する者があったら、長がその場を主導権を握る訳がない。


玉将のやるらはなんらかの理由で「仲間割れ」があったそうだ。長が見えなかった理由もそのためだろう。あいにくに、玉将連中も戦利品がろくではないので、不満が一杯あったはずだ。


あ、それで幻の一億か。


特等席のぼくが出た時やつらの反応がおかしいだったのはその理由なのか。

ぼくは瞬間やつらを引き込むいい方法を考えた。


「そうだ!ぼくが特等席だ!一億だ!ぼくはこれから中隊に投降する!」


中隊員が玉将に投降する事があれば逆に玉将のやつが中隊に投降する状況もありそうだ!ぼくはわざと持っていた恵比寿のアイディを高くかざして玉将のやつらを刺激した。


その言葉が決定的だったそうだ。


何度も、何度も。人たちは火取り虫ように「アイディ」をため命をかける。こんなアイディなんかただのプラスチックのオモチャに過ぎないじゃん。むしろ、これより食欲や性欲などの原初的な欲望のために命をかける方がもっと気高いに見える。


しかし、ここでお金という「呪縛」に縛られているやつらにはアイディこそ歩く金塊に見えるんだろう。玉将のやつらはぼくのおとりにそのまま釣られた。


「一億だ!やつ自分の口で言った!」

「いこう!一億ならなんでも出きる!一億だ!」

「最高の戦利品だ!逃がすな!中隊と合流する前に殺せ!」


昨日の戦闘は玉将やつらにもなんの所得がない無駄な戦闘だったそうだ。女も食糧もその上に「アイディ」さえない。そんな状況で、一億?御曹司?特等席などの「うまそうな目標」が出た?


ぼくの目標がお金じゃないのがありがたい。ぼくに太田への強烈な敵意がなかったらぼくも玉将やつらみたいに下らない物に命をかけただろう。


「本能寺!本能寺!」


ぼくは中隊長と約束した合言葉だけを言っていた。中隊の後衛部隊にぼくの姿は支援兵力を持ってくるやつに見えるだろう。


中国の昔話には虎の前に歩いて、虎の権威を借りた「キツネ」の話がある。まさにぼくもその状況だ。キツネか。ウサギよりいいじゃない?もうただ逃げるのはウンザリだから!

玉将たちはぼくが中隊と合流するのを必死で阻止する気だった。


「本能寺!このまま突入する!」


しかし、後衛部隊はぼくは思ったより酷い状況だった。近くで見たらそれはそもそも後衛部隊なんかじゃない。


「た、助けて!けがをした!銃に打たれた!血が止まらない!」

「ここにパンとアイディがある!俺を助けて!」

「ただ、安全などころまで運んでぐれ!願いはただそれだけ!」


ちらと見ても20人を越える中隊員が下手な日本語でぼくに「助けて」って言っている。遠くで見た投石機も駆動部分が爆弾かなんかで壊れて燃えている。


「なんだ!なにがあったんだ!」

「老人、化け物。助けて!」


地獄の餓鬼ように中隊員の一人がぼくの足首を引っ張った。


「助けて、やつら、借りる。リエンチャン見捨てた、我ら。」


その人の足には何と大きいな熊トラップに足首が潰された。熊トラップは踏んだら作動するスプリング方式の鉄ワナだった。漫画や映画でよく出てくる形のあのワナだった。

トラップは漫画では何にもない小品にしか見えなかったが、実際には見るだけで耐えないほどだ。一撃で人の骨が出るまで齧り付く。


この中隊員の側でもいろんな「ワナ」でやられた人達が倒れてぼくにお情けをこっている。


こっちの人は足で竹槍に刺されて、あっちの人は胸に木の釘が刺されている。一体あの中で何かがあったんだ?傷付いて倒れた中隊員の中では銃傷をおった人もいる。この人は銃に撃たれてほぼ、即死をギリギリ避けたようだ。あの人の太股はもう血で染まれて真っ赤に見えて、今も血が分水ようにこぼこぼ湧いている。


あの人は敵対勢力の兵士だったが、その呻吟が同じ人間として耐えられないほど悲しい。銃に撃たれた中隊員は中国語でずっと「ママ」だけを言っている。


こんな無法残忍な中隊員がお母さんを最後に叫んでいる。ぼくはふっと涙が出た。

同じだ。


怖く見える中隊の構成員でもぼくと同じに死を怯えている。何という皮肉な状況だ。ぼくに地図をくれた恵比寿もそうだった。


どう生き残るがどう死ぬのか、全部自分が決めるのだ。

ぼくは自分の足首を握っている人の頭を撫でた。


「ちょっと待ってね。ぼくはすぐ戻るから。」

「ダメだ!俺を運んでくれ!あっちでいい!あそこでいいんだ!」


やつはぼくの足を引っ張ったか、ぼくの後ろにはもう玉将のやつらが様子を見える。


「やつらはけが人しかいない!攻撃しろ!一億を捕まえろ!」

「中隊野郎!全部殺せ!一人も残すな!」


その声を聞いて残された中隊員の顔に恐怖が浮かれた。ぼくの足を握っているやつも例外じゃなかった。


「たすけて!アイディならいくらでもある!」

「ごめん!」

「助けて!」


ぼくも仕方なかく、やつの頭を反対側の足で踏んだ。


「放せ!ぼくはここで死にたくない!」

「たすけ、たす。」


やつの声はどんどん分からなくなった。ついにやつの手がぼくの足首を放してぼくは19層へ走った。ここは餓鬼地獄だった。負傷した中隊員がぼくの手を引ったくるために近づいた!



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