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深淵の強者


「長い銃? 参加者たちも自動小銃を貰えるのか?」

「場合に寄って違うけど、64式とか89式とかを見た事があるよ。しかし、今度私が見た銃がが自動小銃かどうかは分からない。」


ぼくは彼女の分析より本当に自動小銃があることでもっとビックリした。案外に彼女の口から出たのは余計に具体的だった。64式と89式は確かに自衛隊の自動小銃だろう?


「もちろん、その数はそんなに多くではないよ。全部銃を持っていたら、ゲームがならないから。」

「なるほど、切り札はそんなに多くはないから。」


おいおい、自衛隊の小銃かよ。


もちろん、ぼくが手に入れた拳銃、M1911も問題だか、自衛隊の小銃は全く別の問題だ。


拳銃は米国とかで民需用も結構あるので、闇の売り場でけっこう売れる物だと聞いた。しかし、小銃、その上に日本の自衛隊の制式小銃が闇市場で売れるとはなかなか想像できない事だ。そもそも日本は銃器規制国家であるし。


ぼくはそろそろこのゲームの主催側が怖くなった。自衛隊の銃をウラで流して建物の中に入れるほどの手腕だ。その以上は考えも出来ない。

一体、どんな組織が一体なんのためにこんな建物を「運営」しているんだよ。


お金?


もちろん、ここにかけているお金は天文学的なお金だろう。上にある施設やこの建物の規模を考えたら、ここにどんだけのお金がかけているのかは容易く推理できる。鉄門の出馬器だけでも何億円を越えてアイディやお金をかける無形のシステムとかも大金が必要だ。


ぼくの首には一体、何万円のお金がかけているのか?そして、ぼくが不利なオッズを背負って今まで生き残っている間、お金を「かけたやつ」はどれぐらいお金をもらったのか?


しかし、お金でもこの建物の悪意はよく説明出来ないんだ。ぼくが見た死だけでも30人を越えている。


例え、全国の失踪者が多いけどこの勢いなら「ゲーム一回」ずつ何百人を必要だろう。それではお金を考えても危険要素が多い。


主催側。


全ての疑問は主催側の「彼」を見なきゃ解決しないだろう。ここでどんな推理をしても仕方ないんだ。今は生き残るのが何よりだ。


ぼくの後ろには忌々しいに中隊の野郎が付いている。

そんなこんな考えをしているあいだ、彼女とぼくはまた広い空間に出てきた。迷路を迷ったあとだから余計にここが広く見えてぼくは地図を反射的に見た。


スカイラウンジ。


え?確認する前には別に気が付かなかっただけどスカイラウンジだと?

スカイラウンジはビルで回りの展望を見るために「高い」どころでガラスの壁で作られた空間だ。

もちろん、この建物は外を見える窓とかガラスの壁とかは一カ所もないけど、並んでいる柱と割れた大量のガラス破片が元々ここはスカイラウンジだと言っているようだ。


スカイラウンジが低い場所に作ってばスカイラウンジたと言えない。ならここはまた高いビルの高層になるんだ。この建物は一体なんだ?


「どーちゃん、あんたがなにを考えているのか分かるよ。地上の一層、つまり「毒の器」はまだまだだよ。」


彼女は続きにこの下の施設についていってくれた。


「毒の器、意外にも危険などころは多いよ。ボイラ室もそうだし、19階の過酷さには言える必要もない。そして、このスカイラウンジも悪名高いどころよ。」

「なぜ、それを今更言ってくれるんだ。」

「今までは情報を言っても余計に疑心暗鬼にとらわれるかもしらないから。」


彼女が言う通りだ。昨日、彼女が再参加者だと分かったら、彼女の話を信じるかどうか分からない。ワナだと判断したかも知らないんだ。


ぼくは彼女が言ってくれた、「ボイラ室」や「花畑」などを考えた。しかし、「毒の器」だけはなんか想像すら出来ないどころだ。


「待って、あの毒の器は何んだ?」

「説明したら長いよ。」

「けれど、ぼくには聞く権利はあるだとおもうけど?」


彼女はぼくを見つめて首を振った。後ろには中隊野郎が追い掛けているし、万が一のためぼくは前の地形の情報が欲しい。


ぼくらは広い「スカイラウンジ」を横切ってなるべく静かに進んだ。彼女は道を案内しながら、静かにささやいた。


「毒の器にたどり着いたら、大分のゲームは終わる時点だよ。あの時点ではそこにいる人って強者だけ残っていないから。」

「あ、まさか、その毒って?「蠱毒」の?」

「やっぱりどーちゃんは賢いよ。そうよ。器の中で戦って生き残った毒物たちの容器。それが地上の一層のあだ名だよ。」


まさに、怪談話に出る状況だ。


ムカデや蜘蛛などの毒物がお互い戦って生き残るやつの毒で呪をかける術.


漫画などで見て面白いだと考えたか、実際にぼくがその毒物の一つになったら全然面白くない。

彼女はもうその毒物の器を経験したようだ。彼女が言った最後のステージを思い出してぼくはなんにも言えなかった。消防官とハスタはその毒の底を貫いて最後のどころまでたどり付いただろう。


ぼくに運と機会があるか?


ぼくはふっと今まで死んだ人の数を数えた。ぼくが事した人も10人は十分に越えるし、今日続いている「中隊戦争」で死んだ「玉将」連中の戦死者も多い。すなわち、ぼくがここから目覚めたあと、今までここで死んだ人だけを考えても大分「50人」以上だ。


生き延びるのは不可能に限りなく近い。

その上に建物を出る何で非常に難しいだろう。


ぼくは自分の目的をまた思い出した。太田やつらを殺したらぼくにはこのゲームは何にも意味がない。


どうでもいい。


ぼくの人生って、高校二年生から止まったままだ。そんなぼくに他の理由を探す事ができるか?太田を殺したあとの生き方が分からない。まあ、今の状況ではむしろそのほうがいい。


「大丈夫だよ、どーちゃん。追撃はもう弾き出したそうよ。中隊の本体もここにはないし。」


彼女は誤解してぼくを安心させた。ハスタは自分も苦しいだろうけど、ぼくの気配を見て慰めた。


「大丈夫、大丈夫。」


彼女の声は彼女自分に言っているようだ。彼女の顔を見てなんか涙が出て震える声で彼女に言った。


「あんたも大丈夫。心配すんな。」


ぼくたちはそう言えるしかない。


「そう、どーちゃん、大丈夫よ。」

「さっきから大丈夫ばっかりだよ。」


彼女は照れて頬を染ました。

しかし、ぼくらの「大丈夫」って願いを裏切ってどこから男の悲鳴が聞こえた。ハスタとぼくはスカイラウンジの残骸に身を隠して声が聞こえる方へ耳を傾いた。薄い照明の向うに何人の人達が見える。


「中隊?」

「いや、中隊の階級章が見えない。」


中隊やつらの階級章は薄い照明でもよく見える。音とたちの群れには階級章をしたやつはない。あ、違う。中隊員と見える人が縛られて跪いている。その中隊員の回りを男たちが揶揄うながら見ている。

あ、戦争は終わったのが?どうやら、あの人たちは捕虜として中隊員を捕まえたそうだ。


「殺せ!てめえ玉将のやつらに命乞いなんかするもんか!」

「こいつけっこういい度胸じゃないか?」


ぼくは中隊員をあざ笑う人の声を聞いて驚いた。


「長。」


ハスタとぼくらが機械室の迷路を迷っている間、長は別の経路でスカイラウンジにぼくよりさっきに届いた。ハスタはぼくの様子を見てなんが複雑な顔になった。もう戦闘は終わったようだ。


「まさか、ラクロスってあんたと知り合い?」

「クラスメートだったよ。昔の。けど、ここでは油断したら危ないよ。」


長と分かれた時にも考えた事だ。ハスタはこのタテモノの中で貴重な若い女性だ。長は確かにぼくに好意的けど、今一緒にいる人達もすうなれる可能性はない。そして、ハスタもあの人達と長をやっと見分かった。


「あの人は・・・。」


ラクロス殺人鬼。彼女には長は中隊と同じく敵に違いない。ハスタと出会った時、長はハスタ組の斎藤とか人を殺した。その上に長が作ったワナとそのあとの状況は彼女がぼくを疑うには十分な理由がある。


今日、「栽培」事件もあったし、長とぼくが組んでハスタを騙しただとしてもおかしくはない。しかしぼくはハスタになんかを説明する時間さえなかった。


「ぐあああああ!」


中隊員は縛られたまま体をぶるぶる震えた。悲惨な悲鳴を呻き声があの人の口から漏れ出した。


「もう、一本。今度は左膝だよ。」

「やあなら言え。中隊の本体の位置と弱点。そして19層の情報を。あんた階級章を見たら中隊の幹部だろう。」

「殺せ!死んでもそれは言えない。」


ただの捕虜虐待じゃなかった。なんと長と玉将「同盟」はまた中隊の本隊を追跡している。そして、19層の情報もよだれが垂れる話だった。ハスタはぼくを肩を握って何にも言わなかった。


「あんたら中隊は19層を確保した後すぐ後退した。なぜだ?先発隊も前方じゃなくて「ゼロ層」まで回って何を企んでいる?」

「ふふふふ。リエンンチョウの深い計画はてめえらがわかるはずがない。殺せ。」

「あら、相棒。こいつの肩になんかついている見たい。あらら?蝿だろうこれ?」


長の相棒はコンクリートの塊を中隊幹部の肩にぶち切った。骨が折れる音と、肉が潰す悲惨な声が耳を貫いている。


「うああああ!」

「ヘイヘイ。話をしたらあんたもわれらも楽じゃん。」


長は幹部の胸グラをつかんだ。


「言え。本隊の位置と19層の情報。」

「それは.言えない。ぜってえ。」


どう言っても長はこの建物の中でぼくが信じる事が出来る人だ。

その長が中隊幹部の膝を砕けた。その動きに何の躊躇う気配もなくて、まさに日常生活であいさつで手を振るったり、バッティングセンタでバッタを振る動きだ。


「言え。」

「それ、それは。」


上の層の一戦でぼくが見た長の顔と震える声は幻想だったのか?今、捕虜を拷問する姿はぼくの古い記憶の長とは全然違う。


長は黒い羊?

白い羊?


例え、あの憎たらしい中隊の幹部だとしてもあんなふうに酷く殴ってもいいのか?捕虜の人道的な待遇とかを決めたジュネーブ条約とかを言える事ではない。玉将やつらと中隊間の恨みとかはぼくはしらない。


長はいい人だ。しかし、この建物の中の人にはいい人ではない。


ここにいるハスタも長には解けない恨みがあるはずだ。長は彼女の「白い羊」を簡単に殺した。

どんな人にはいい人かも知らないけど、他の人には悪魔になる。


ぼくもそうなのか?

ぼくは太田を殺すのが正しいだと思う。しかし、ぼくが正義の味方と思っていない。ぼくが知らないどころではぼくを憎んでいる人があるかも。


どの人には恩人になる人が、どの人には殺したい仇になる。


ぼくは長と分かれた時の考えをまた思い出した。このあと長をまた出会った時には「敵」ならないとは限らない。


「言え。」


長はコンクリートの塊を高く持ち上げた。苦痛はどんなものより恐ろしい物だろう。結局、あの中隊幹部も苦痛に屈服した。


「19層で我らは・・・。強敵。くう、あの老人たちは強い。」

「老人?」

「銃を持っている。」


あ、中隊やつらが言っていた銃の事だ。まさか銃を持っていた人は老人だったのか?


「その老人のせいであの中隊が「コンビニ」を諦めて後退したというのが?ふさけるなよ!」

「嘘っぽいに見えるけどその通りだ。老人の二人組にやられてぼくらは負け犬になった。」

「あの老人が持っている銃と戦略は?」

「銃が問題じゃない、やつらは恐怖を武器とする。」

「恐怖を?」

「くうう。武器自体の性能は酒呑童子とは比べない。」

「一体、銃はなんだ!なんの武器を持っているんだ!」

「村田銃。」

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