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最も小さい助け

「七味?」


また長がラクロスラケットで投げている物は、ラメン屋でよく見えるあの七味とペッパーのガラスビンだった。長の仲間はかばんから付き付きにホットソースビンやハバネロ粉を出した。


これも子供が遊び半分に考える子供の遊びような策だか、こんな塞いだどころではある意味では本当のガスより酷い策だった。


ペッパーとトウガラシでやられたやつは「水」を探したか、このタテモノは人が飲む水もない状況だ。トウガラシ粉は広い範囲まで散って、多数の中隊員が荒れ狂って悲鳴を上げるだけだ。


「新人さんの一人が持っていた物だよ。こう使うとは思わなかっただけど。これを見て玉将のやつらが俺たちに来たん・・・。あ。」


長は言った後、口を結んだ。「新人が持っていた物」それが示している意味は確かだった。長はこの中で「新人狩り」をして「白し羊」だったかも知らない人を何人殺した。紙切れがなかったらぼくも長に殺されたかも知らない。


ぼくもこの建物の中で故意かどうか人を殺したやつだ。

誰が誰に訓戒する気だ?


「長!そんなのどうでもいいから!やつらが戦列を整える前にもっと玉将のやつらを呼べ!」

「わかった!相棒!中隊の戦列は崩れている!玉将のやつらに信号を!

「おお!」


大分変になったがぼくが考えた通り玉将と中隊が激突する寸前だった。

堅固な城だった中隊の防衛線はペッパーとトウガラシで苦しんでいる人だらけだ。水でもあったらそれで目と顔を洗ったらいいのに、むしろ催涙ガスの方がやつらにはいい物かもしらない。


こんな子供の遊びであの中隊がこんな様になるとはな。ぼくはパチンコ玉を投げて長を援護した。

もはや長と彼の相棒は完全に制圧モードになっている。やつらは中隊の指揮官と遠距離武器を持っているやつに砲撃を注いだ。ジュースのガラスビンが飛んで、その中にある釘や押しピンが中隊の兵を襲った。


「くああああ!」


ガラスビン自体が見事な広範囲武器だった。壁に当たって粉粉に破られたガラスビンが中隊兵の顔と肌を切り破った。散弾銃に打たれた人ように中隊のやつが倒れた。中距離なら長の投石能力ってこの中でも最強かも。


「なにも見ている!おまいら玉将連中!突撃だ!もうすぐ中隊の本陣が動く!」


長の仲間は後ろで様子を見ているやつらに叫んだ。そして、玉将のやつらも長とぼく三人の活躍を見てそろそろ前に出た。


中隊の投石機の一つは長が直接に石を投げて「投げ腕」を壊した。もう一つの砲台は支持する木才が折れてしまった。中隊が自慢していた砲台はもう役に立たない。それでは残る兵力で勝敗が決めるんだろう。


もう、玉将の側にもそんな計算をした後だった。長と玉将の指揮官はカウンタの前で合流して、本格的に中隊と交戦状況を話し合えた。そして、玉将の部下たちが大声で突撃を始めた。


「玉将の名に栄光あれ!」

「全員、突撃!」


大声がこの書店のカウンタ地区を響いた。すぐ、激戦が始まるどころだった。ぼくも自転車チューブを引っ張って突撃に加担した。


中隊のやつめ!どうだ!

いい面の皮だ!


ここでみんなを圧殺したくせに、逆襲されてこんな様になるとは思わなかっただろう!ぼくはすぐ隣りで落ちた矢を拾って長を援護した。この「戦争」の核心は当然長とその相棒だった。中隊やつらも移動して投げる石の大砲の威力に「恐怖」を感じた。


ぼくはどんどん胸の中から「喜び」を感じた。抑えていた感情がせきを切るように口から出た。


「どうだ!中隊やろう!」


中隊は人と比べたら胸に一撃を打たれた状況だった。頭にはまた意識はあるが、体が勝手に動いて全然動かない状況だ。


「長!階級章を見て高級指揮官を狙え!」

「高級指揮官?」

「見えるだろう!星とか!」

「分かった!おれも見たよ!」


中隊の階級制度が今度はいい標識になった。やろう


「ロービジ知らないのかよ!」


ロービジ(Lowbisi)は彩度が低くて目によく見えない色で主に軍で階級章や飛行機の塗色に使う用語だった。


映画やドラマの米国軍の階級章をよく見た事があるなら、彼らの階級章が灰色だと気づいたはずだ。階級章がそう変えたのは黄色い、赤い階級章は狙撃手のいい獲物だったからだ。

まるで、今通りに。


長とぼくは派手な階級章を狙ってそこに矢と石を投げた。多分、中隊が階級章をあんなに作ったのは「権威」と「指揮システム」のためだろう。まあ、理解は出来るけど今はこれがやつらの弱点になった。


「森田!一気にやってやるぜ!」

「分かった!あんたは中央を狙え!もうすぐ中隊の増援がくる!中隊の本隊はまだだ!」


指揮官が狙撃を恐れて身を隠したどころで中隊の指揮は完全に崩れた。ふん!指揮官のくせに逃げるなんで、恥をしれ!


状況はまさに乱戦になった。ペッパーとトウガラシでやられたやつは回復しないまま、全力を出した玉将の突撃に向かえた。しかし、目と鼻が正常ではない中隊やつらには真面に応戦する事すら出来なかった。勝利の女神は長とぼくに微笑んで始めた。


「森田!あんたって天才だよ!本当に道が開いた!」


長はぼくの髪を掻き乱して大声を出した。玉将も長も投石機の威力でつぶれる寸前だったか、逆に敵に向かって突進して勝利を握った。


時には後退じゃなくて絶望に先進すれば道は開くかもしらない。ぼくは涙が込み上げた。


前に進むのだ。


後ろ何があったとしても!


あ、待って。後ろ。そうだ後ろ!


「あっちゃ!」


ぼくは今更「ハスタ」を思い出した。戦闘の熱気に圧倒されて彼女たちを忘れた!ぼくが突撃した事も彼女との同盟を守るためだったのに!このバカ!

長はぼくの気配を感じてぼくを振り向いた。長はもうぼくが離れるのを気づいたようだ。


「森田?どこに行く?」

「長。こめん。ぼく、いかなきゃ。」

「も、森田。一緒にいこう!君があればきっとそのあとも楽勝だよ!」


長は自分の仲間に同意を求めるように仲間を見つめた。


「おい、生意気な新人。こんなスカウト有触れる機会じゃない。てめえような「策士」があったら、もっと楽に稼ぐだろう。あんたにもいい話じゃねえが?」


長の仲間も最初と違ってぼくに好意的になった。


ハスタと長。


仲間だとしてどっちが有利なのかは考える必要もない。長とその仲間はこの建物の中で合える数少しの強者だ。長の仲間は筋肉もあって盾を持っている姿はローマの「剣闘士」を想像したらぴったりだ。


この人があれば、あの酒呑童子にも勝つかも知らない。

しかし、「道連れ」って行ってくれたハスタの声が忘れない。ぼくが迷ってる間、長がぼくの手を握った。


「森田、まさか仲間がいるのか?」

「え?」

「よくは分からないがあの「人」だろう。まあ、それなら、仕方ない。」


長はわざと「女」じゃなくて「人」だと言ってくれた。多分、長はぼくと組んでいる人達を薄々気づいたようだ。

長はこの中では恐ろしい新人狩りかも知らないけど、ぼくには昔のままの優しい委員長だ。


「行けよ、森田。」

「あ?ああ。」

「森田、生き残れ。行け。」


長はシュマグを被るながらぼくに話をかけた。しかし、長の相棒はそれが気に入らないかどうかぼくに羊刺しを狙った。


「おい、相棒、何を言っとる?こいつにもいい提案じゃないが?おい、新人。てめえ、我らと組合、結構いいじゃなかった?」

「相棒。いいよ。」

「納得ができねえ。そして、こんな「狐」が他の勢力についたらそれはそれで困る。われらと組んでないのなら、ここでやっちまう方が後腐れがない。」


長の相棒はぼくを刺す気勢だった。その瞬間、長は持っていたアイディの束を自分の相棒に渡した。


「相棒、なあに?これ?」

「あいつの命。あいつの代わりにくれるから。」

「え?これここで稼いだアイディの全部じゃないが?いい?」

「かまわん。」


長の相棒はぼくを見て鼻先でせせら笑った。


「おらもぜひ持ったいな?おめえのようなクラスメート。」


長の相棒はアイディを返してまたぼくを見つめた。


「相棒のアイディはいいけど、その代わりに一つ願いがある。おい新人、俺に一つだけ約束しろ。」

「な、何を。」

「後では牙をこっちに向かうな。条件はそれだけ。」

「わ・・分かった。」

「ああ、おらも人が余計に人よしなんだよ。新人、さっさと行け。」


長の相棒はぼくの頬を何度軽く叩いたあと、戦闘に飛込んだ。すぐこの人が玉将の連中と一緒に戦うのが見えた。


長の相棒が戦う姿を見たら、こいつらと一緒なら生きる確率は高くなるって感じだ。ぼくは落ちた矢を拾って長を見た。


「長、一つだけ問ってもいい?」

「ああ、早く言え。時間ないから。」


ぼくは長の顔を見つめて震える声で問った。


「なぜ?なぜ、ぼくにこんなんに優しい?あの時も。そう、パンをくれた事が太田にばれたら、あんたも危なかっただろう。」


長はぼくの話を聞いて無理やり微笑んだ。しかし、その微笑みは泣き面に変えて彼は涙を振り払った。


「忘れたのか?」

「なにを。」

「森田、前にあんたがぼくに手を伸ばした事を。」

「なに?」

「小学生の時だよ。俺もいじめられ子だった。君は俺のためにやつらと戦って、俺を救った事がある。まあ、君はとっくに忘れたかも知らないけど。」


そ、そんな事、あったけ?


些細な助け。


長はぼくも忘れていた事をよく記憶している。どうかすると、人は自分が誰にどんな人だったのか分からないんだ。ぼくはふっとキリストの話が思い出した。


この最も小さい者の一人にしたのは、私にしてくれた事なのである。

キリストは弱いもの、死ぬ寸前の人を助けろってこう言った。


つまり、弱者を救うのがキリストを救う事と同じ事になるだと言った。


最も小さい者。

最も小さい助け。


「しかし、俺はあんたが苦しい時にはせいぜい何にも役に立たなかった!ごめん!すまなかった!」

ぼくは彼にまた震える声で答えた。

「いいんだよ。あんたが言ってくれた「すまない」の言葉でぼくは今まで生きている。」

「なんだと?」

「あの時、誰もぼくに手を伸ばしていない時、あんたはぼくにそう言ってくれた!ありがたい方はこっちだよ!」

「そんなの、何もない話ばっかりじゃん!」

「いや、話ばかりじゃない。その一言は暖かかった。殴られた苦痛さえ忘れるほど。」


長の顔はぼくと同じになった。殺戮の建物中で、ぼくらは暖かい「人間」の感情を感じている。

この中では人は科学教科書に書いて「ヒト」の文字と同じ感じだった。


この中で人は人間じゃなく、目的じゃなくなんかを作るための物とか素材としての「ホモサピエンス」だ。この中の人って無機質の「物」と同じ素材だ。


人間。


その何もない文字が暖かく感じられた。そうだ!ぼくは人間だ。この暖かさを胸に抱き締めて人間として死にたい。


人間として。

人間で。


ぼくは溢れる涙を噛み殺して長に言った。


「ならば、これでちゃらだろう?」


長も笑った。


「あ?ああ!ちゃらだ!森田!」

「長!あんたも必死に生き残れ!死ぬなよ!」

「森田!あんたも!」


また長は涙を手で振った。ぼくは長を背負ってももりんが隠していた場所に走り出した。

長の姿はすぐ玉将やつらの中で消えてゆく。

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