信頼
ハスタは悲しい目でぼくを見つめている。彼女の目はそれはどうでもいい。しかし、彼女は意外な事をぼくに言った。
「それはどうでもいい。私は今あんたを心配してるのよ。」
「ハスタ、あんたと知り合ったのは、だった30分ほどだよ。ぼくを心配してもあんたに何の得がある?そもそもただの道連れではなかったのか?」
「でも。」
「うるさい。余計な事はどうでもいい。あんた達はそれなりの理由でぼくと協力するだけで、ぼくも
19層までは道連れとして忠実するから。それでいい。OK?」
彼女は寂しい顔で首を振った。
そのあと、ぼくらは使えるものを拾って、ももりん達が待っている場所に戻った。ハスタはぼくの後ろを追い掛けて休んでいる仲間たちに言った。
「いこう。そろそろ他の勢力が来るかも知らないよ。」
ぼくはただの道連れでこのパーティの内部には関わりたくない。戦闘中ではどうにも仕方なくて命令したが今もこのパーティのリーダはハスタだ。ぼくには自分以外の命を背負う責任感なんかいない。
このゲームの中、ぼくが入った理由が復讐なら今それを考えるのも精一杯だ。
復讐。
実はぼくはこのゲームの主催側に感謝している。この殺人ゲームならぼくがずっと考えていた願いを現実化するかも知らない。
そうだ。ぼくは何年間、太田と他の三人を殺すのをずっと思っていた。地元を離れて東京で貧しい生活を続いてる間にもぼくはずっと、ずっとやつらを一人ずつ殺す計画をしていた。
YOUTUBEで銃器と爆発物の動画を夢中になってずっと見たのも、いい方法を見つかるためだった。腕力では太田には相手にならないから、ずっと考えるだけだった。
このタテモノは「殺す機会」をぼくにくれた。
さっきの櫻井やつは海外の大学に進学して、ぼくの手が当たらない場所にいた。
太田のやつは地元の大学にいたが、常にガードが付いているから、なかなか接近さえできない。ほかの二人を狙うのもそれぞれの理由でぼくは諦めた。その上に四人全部を殺さなきゃこの心の悔しいは消えない。
このゲームの主催側が誰だか分からないが、ガードの警護を破って太田のやつと、海外にいるはずの櫻井をここに入れてくれた。
ならば、他の二人もここにいる可能性が高い。そうだ、「森」やつと「日野」もここにいるはずだ。あのやつらはなんか海外にいるだと聞いた事がある。
やつら四人はここに揃っている。それはただの推測ではない確信になった。
この建物はぼくにその「機会」をくれた。ならば喜んでその機会を受け取る。この建物がなかったら櫻井を殺しただけで、太田と他のやつの警戒が強くなれるんだろう。なら、ほかのやつを殺す前に失敗しただろう。
ゲーム。主催側。
待って、主催側?
ぼくはその件でハスタをふっと見つけた。彼女は一行の真っ先で道を案内している。彼女の行動は地図もないのにここをよく知っているようだ!
ちょっと待って。
ハスタは何故主催側を「彼ら」だと表現したんだ?そもそも主催側が女性か男性かは中隊のやつらも知っていないようだったのに?
よくは知らないがここでは「主催側」が一般名詞として使用されているようだ。なのに彼女は主催側が「男子」だとどうして分かったんだ?
ほかの連中と同じに「主催側」で呼ぶのが、もっと自然すぎるんじゃない?
「彼ら」。
その言葉は主催側と直接に会った感じだ?せめて彼女は「主催側」について何かを知っているようだ。
「ん?どーちゃん?なによ?」
「いや、なにもない。って言うか、休憩室はまた?]
「あ、そっちの話?もう、近くにあるよ。」
彼女はぼくを心配そうな目で見つめていたが、ぼくは騙されないように用意した。ぼくは何があったらこいつらを全部殺して逃げるつもりだ。
ぼくの仇はあと、三人が残っている。
やつらを全員殺す前には絶対に死にたくない。その決意をした時、ぼくたちはついに休憩室にたどり着いた。
「ここが休憩室?」
「そうよ。」
「発馬機と同じじゃないが?」
休憩室はスタート地点にあった発馬機と同じ扉で同じ施設だった。中には十人ほど休む事が出来る空間が見えて、この巨大な金庫門とカラクリを見ていたら、確かに安全な場所だと分かる気がした。この門は酒呑童子の流弾まで耐えるほど頑丈に見えるが、休憩室も欠点がある。
「しかし、囲い込みされたらどうする?」
「心配しないよ。両方に逃げる事が出来るから。」
彼女は休憩室の中にあるもう一つの扉をぼくに見せた。
あ。それでも両方を包囲されたらどうする?中隊のやつらなら十分に人数があるから、そんな作戦もできるんだろう。
しかし、ぼくはそんな心配より一刻も早く休みたい。今日、スタート地点からここまで何時間かかったが分からないが、疲労で目が痛いほどだ。多分、筋肉や体の方ももう限界だろう。
死と生の岐路で存分悩んで苦労をしたから体力までギリギリだ。「死ぬかも知らない」と言う緊張感がとんでもないほど肉体で過負荷させただろう。
ここにはどう休むのも生存と直結する物だ。ぼくがこのハスタと出会ったのも幸運かも知らない。さっき恵比寿がくれた地図にはこんな休憩室なんかなかった。
ぼくたちは休憩室に入る前に廃虚のコミだちでこの休憩室を隠した。もう扉を隠した痕跡が残っているからその作業は早く終わった。
ハスタは最後に農業用ビニールで外を被った後、中に入った。扉を塞がって、船の舵機と似た丸い取っ手がカタカタ回した。
そのあと、扉が閉ざしたと思ったら薄々に内部の照明が明るくなった。恐らく、取っ手と照明が連動するカラクリだろう。
ハスタ組の四人は扉が塞いだ後、長くため息を吐いた。彼女たちにも中隊と一戦は怖かっただろう。ぼくと彼女たちは閻魔大王と合える寸前だった。
もし、あの時、中隊長が出なかったら全滅された。ぺルが持っている槍を見て、ぼくもため息を吐いた。
槍が破れたのが運がいいのか、悪いのか分からない。そして、中隊長が中国語で何を言ったのか、それも気になる。もちろん、ぼくの拳銃が出た時点では中隊長には「鶏肋」だと判断する状況だった。しかし、ただ銃が怖いので兵力を撤退したのはあり得ない。
攻撃したやつらはハスタが言う通り「新人組」だった。やつらの「漁隣陣」を考えたら、そんな「突撃隊」なんかいくらでもあるんだろう。人の波でどんどん攻められたら、少数のぼくたちはとても不利になる。
「酒呑童子と関係あるのか?やつらを退けるほどの力は鬼しかないから。」
「どーちゃん。なんの話?」
「い、いや、なんでもない。」
ハスタは小さなファーストエイド・キットで他の人の些細な傷を手当てしている。彼女はぼくの傷をよく見て額に消毒薬を塗った。さっきガラス破片が飛んできた時の傷だ。
「いたたた。」
「男でしょう。我慢しなさい。」
「男と痛みが何の関係があるかよ?」
「なら、子供扱いするよ。どーちゃんそんなに痛いなら先生があとで「ほお」してあげるから。」
彼女は本当にぼくの額に「ほお」と息を吹き掛けた。彼女の香りと口臭が同時に感じられてちょっと困った気分になった。
ぼくにとってはそもそも女子とこんな距離で一緒にいるのも珍しい事で、バイト先でもハスタような女性はなかった。彼女はスタイルもいいので、胸が勝手にどきどきした。
ぼくはなんか顔が赤くなってそれを隠すためにわざと話題を変えた。
「こんな傷なんか治療しなくてもいいよ。」
「いいえ、どーちゃん。人はそんな何もない傷でよく死ぬわよ。そうなりたくないのなら手をちゃんと洗ってね?」
「子供のプログラムかよ。」
「いや、まじめに聞きなさい。ここでも些細な傷で人が簡単に死んだよ。「毒」もあるだし、注意しなきゃあっと言う間にしぬよ。」
ぼくは彼女の話でひたっと手を止めた。
「毒?」
「ウェポンでそれを受け取った人もいるから。」
ぼくはその「どく」と言う言葉で鳥肌が立った。そんなのあり得るかよ!
毒があれば水に混ぜて置くので無数の人を殺す事ができる。その上にサリンような「ガス」形態の毒があったらもっとも恐ろしい状況になる。
さっき酒呑童子がつ撃ったのが催涙ガスだったが、それじゃなくて神経系の毒ガスを使ったら?
全滅。
もちろん、この中にいる人間競走馬たちをそんな風に全部殺す理由はない。ゲームにならないから。
そうだ。この中にある競走馬は誰かにお金がかけている動物だ。
そうじゃないなら親切に「オッズ」をアイディに表示する必要はない。このオッズは恐らく金をかける方ではいい投資のサインになるんだろう。
このやつはオッズが低いね?多分、強そうだけどオッズがこうなったら大金にならない。
あ?こいつはオッズは高いだか、可能性がありそう!あら?なんでこんな簡単に死ぬんだよ?つまらない。
「許さない。」
ハスタはぼくの言葉でビックリしてぼくを振り向いた。
「あ、例の敵?」
「いや、このアイディの話。ぼくの首にお金をかけているやつらの事さ。」
ハスタとももりんは悲しい顔になった。彼女たちもそんな事実を知っている。ぺルも腹が立ったようにぼくを見つめた。
彼らの目は救い主、或いは彼らのために戦う将軍を見つめる目だ。さっき、中隊との戦闘でぼくはしょう事もなしに彼らに命令をさせたがそれはぼくが生き残るための一時しのぎに過ぎない。ぼくはこの人達を運命をかけるつもりはない。
道連れ。
ハスタは本当にいい話をしてくれた。道連れとして同盟をしただけだ。ぼくはどんな方法をしても太田と他の二人を殺したい。場合によってぼくはこのももりんとハスタを「エサ」として利用するかも知らない。
信頼。
そうだ。紙切れもそう言った。
8 相手の信頼・・・・・。
相手の信頼を利用しろ。或いは相手の信頼を得る方がいい。
面白いどころは消している文章には相手がこっちをどう思うのが出ない。そのあとにどう書いているのがわからないが、逆にこのままのメッセ-ジのほうがぼくには意味深い。
相手がぼくを信頼するのはいいけど、相手を信頼するのは別の話。そうだ、1番の「誰も信じるな」のルールを考えたらその方がいい。
信頼を利用しろ。
信頼って本当に曖昧な物だ。人は勝手に他の人を信じて裏切られる。ぼくはせめて裏切る方がなりたい。馬鹿みたいにやられるのはもういやだ。
むしろ、社会には法律に偽版しないどころ、相手の信頼を利用するのが賢い行動だと聞いた事がある。
法律は法律の上で眠っている人を助けない。
もちろんぼくは「紙切れ」のせいで結構有利な位置にいたが、それは考える方法に寄って違う。紙切れを見ても多分、ここにいる人達はその意味を分からないだろう。
このゲームの見えないルールはどう「ひと」を利用するのかだ。人を騙して出きる限り自分に有利な方向に利用する。
ふん、このタテモノ何かじゃなくても、「外の社会」でもよくある事じゃないか?
ボイスフィッシングもそうだし、就業詐欺もそうだ。弱者に社会は過酷で、ぼくも例外ではなかった。
やられる方が悪い。性格を変えればいいじゃない?ぼくが相談した人達がぼくに言った話だ。
ぼくはそこまで考えて自然にハスタに言った。
「ぼくは目的があるが、出来る限りあなたたちを手伝うから。」
「言葉だけでありがたい。」
「道連れだから。19層までは協力しよう。」
ハスタも震える声で何かを言えるとした。ぼくは彼女の話を止めて話を続いた。
「いいよ。話はあとでしてもいいから。あんたも寝とけ。」
ぼくは休憩室の片隅で蹲った。銃はいつでも使用するように握っているままだ。ハスタとももりんは一緒に座ってなんかをしていた。




