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逃げろ!

近未来SFですが、本格SFではないので、無謀な展開があると思います。それと、女の子の登場率が低いです。かと言って男同士でもないです。そういう色っぽいのが書きたくなったらいつものように別に書くかもしれませんが…。(笑)

 それは、突然、起きた。

 光と突風と飛んでくる破片。


 後ろで何かが爆発したんだ!そう気がついて振り返るとそこには、身の丈が五メートルはある黒い人の形をした何かがぬっと立っていた。

 爆発はそいつの足元で起きたようだった。

 違う。そうじゃない。

 爆発があってそいつがドコカから現れたんだ。

 「俺」の近くにいた人々が驚いて口々に何かを叫んで逃げ出した。

 俺も当然逃げないと、と思った。

 なぜなら、そいつはそいつの近くに居た人を掴み上げてガバッと開いた口へと放りこんでいたから。

「逃げないと」

 そいつに背を向けて、俺は走り出した。

 俺が走った先にいきなり女の子が人にはじき出されてきた。

 人に押され転びそうになっている女の子の手を思わず取る。

「逃げろ」

 二人は走り出した。


「ナオト!」


 俺は何かに呼ばれた。

 どうやら、ナオトが俺の名前のようだ。

「ナオト、掴まれ!」

 声は俺の頭上だった。見上げるとそこには見えない翼のようなものを使って飛ぶ人間がいた。

「えええぇぇ?」

 人が飛んでる?俺は慌てて周りを見ると、逃げている人がその羽がある人に助けられて運ばれているのがあちこちに見えた。

「その手を離して、私に掴まれ」

 と、その俺の知り合いらしい空を飛ぶ男は俺に手を伸ばし言った。

 俺は女の子の手を引いて走っている最中だ。

 あの黒いデカイのとの距離は迫っている。出口らしい先にある入り口まではまだ三十メートル程ある。この手を離したら、この子は逃げ遅れるかもしれない。そんなギリギリの距離だった。

 この状況で!離せるもんか!だいたい、来るのが遅いくせに!

「お前、二人は無理か?」

「二人?」

 飛ぶ男は一瞬躊躇したが、二人に向かって両手を伸ばした。

 グンっと腕が引き上げられる。

 逃げ遅れそうな人を彼のような飛べる人間が一人一人救出してゆくのが見える。

 黒いバケモノをかすめて飛び、かく乱させているのもいるようだ。

 二人を運んでいるから当然速度も遅い、ゆっくりと人々の上を進みグレーの壁を抜けて俺たちは次のブロックまで着いた。

 キーンという甲高い音と共に、ようやく警備が動き出したようだ。

 黒いバケモノの動きを封じる網のような半透明のベールが天井から降りてきてキーンキーンという音を響かせながらバケモノを抑えこんでいった。

 俺が見たのはそこまでで、グレーの壁は左右から閉まってしまった。

「ありがとうございます」

 女の子が俺と、空を飛ぶのをやめて地上に降りている男に礼を言った。

「別に、俺は何も…」と俺が言うと、女の子はこう言った。

「あなたが彼にそう言ってくれたから、私は助かったんです。二人を連れて飛ぶなんて普通出来ないですよね。ありがとうございました」

 女の子は俺たちにまた礼を言って去って行った。


 彼女が去ると、さっきまで、逃げ惑う人でごった返していたのに、まるで壁の向こうでの事は何もなかったかのような風景がそこにあった。

「なぁ、こんなの…いつもの事なのか?」

「何がです?」

「人が食われてるんだぜ。何で、何も無いみたいに戻っているんだ?」

「あれはいつもの事ではありませんが…」

「なら、なんで…」

 男は怪訝そうな顔をして俺をじっと見た。

「な、俺、何か変な事を言ったか?」

「いいえ。何も。ですが、あなたは今日はもう家に帰った方が良いみたいですね」

「え?」

「ほら、そこから…」

 彼が指差した先には駅のような物があった。

「…(駅か?)…」

「では、私は仕事に戻ります」

 彼はもう歩き出してしまっていた。

 駅?

 俺は彼より駅が気になっていた。

 何だろうな…これは、俺はこれを知っている。道も分かる。

 俺は駅へ向かい、モノレールのような乗り物に乗って町を走り、家へと向かった。

 大きなビルが立ち並び、モノレールが光ながらそこかしこに走っている。

 ビル群を抜け、少しずつ住宅街のような町並みになってきたある駅で俺は降りた。

 駅から見える割と大きな公園の横、ここでは割と大きなビルの二階が俺の家だった。

 俺はすぐにベッドに入って寝た。

「何も思い出せないのに、家はわかるなんてな」

 そんな事を思いながら俺は眠りに落ちた。




中二病でも重い話を書きたくなりました。「重い」と「暗い」が混濁してしまうので、暗くせずに、重くなってゆくと思います。よろしくお願いします。

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