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異世界でセカンドライフ  作者: 佳苗
終わりと始まり
8/8

07.初めてのお仕事

***

主人公視点

***


大通りから徒歩にて半時間程経っただろうか。戸建て住居が密集した区域のとある家の前で私は歩を止めた。ここまで街マップを見つつ移動して来たのだが、初めての場所だったが迷わずに来れた。マップの現在地を示す点滅位置と、付けて貰った印とが一致している。どうやらここが依頼人のお宅で間違いないようだ。マップを半肩鞄にしまい込み、呼び鈴を鳴らした。



しばらくして玄関が開錠され、奥から老婦人が出てきた。


「あの、ギルドの紹介でお仕事に来ました。」

出てきた老婦人に紹介状を手渡した。



「まあまあまあ、今回はお嬢ちゃんが手伝ってくれるんかね、ありがとう。さあ、上がっておくれ。」



奥へと招かれ入っていった。手入れの行き届いた庭が、渡りの廊下を歩いている隣に見える。何種かの花が花壇が植えられていて色とりどりで綺麗だ。他にも幾本の木も左右にあり、十分立派な庭だ。老夫婦が育てているのだろうか?



庭を見ていた自分に気が付いたのか、老婦人が笑いながら言う。


「庭は綺麗やろう?我が家の自慢の一つさ。昔は趣味で自分達でやってたんけど、年になって専門業者に頼んで整備しとるんよ。足が弱ってからは家の中の用事もままならんくなってねぇ・・・まず、頼みたいんは廊下の床掃除からお願いできるかい?道具はそこのバケツの中にあるのを使ったらええよ。出来たら声かけてえな。」


婦人は廊下奥の部屋に居る夫に知らせると向かっていった。




さてと、お仕事開始です。



建物は2階建ての住宅で、廊下は端から結構ありますね。

私は意識を集中すると力ある言葉を放った。



『浄化』



光が淡く発し、その光に包まれた範囲がみるみる汚れやホコリが取れていきます。光系魔術で、授業以外では初めて使った魔術なのですが、上手くいって良かったです。私は移動しながら術を唱えていきます。ホコリが消えるどころか、元ツヤまで出てきました。汚れ落ちは完璧です。



ついでにバケツや道具も綺麗にしておきましょう。



「おーい、廊下にはとり難いシミや汚れもあるからこれを使ってくれんか。」


唱えて廊下掃除を終わりかけた時、声をかけられました。今度はお爺さんです。

手に持ってるのは重曹みたいな汚れ落とし剤でしょう。



「例えばここのシミを・・おや?」


きょろきょろとお爺さんは廊下を見ます。既に磨かれた床は、シミ汚れは一切ありませんでしたから、しばらくポカンとしていたお爺さんは言いました。



「お嬢ちゃんは掃除の達人なんかいの?なんぼやっても取れなんだ汚れまで綺麗になっとる・・。それじゃあ大分早いんじゃが、部屋の拭き掃除してもらおうか。」






結局、家全部の掃除を終えたのはお昼時が過ぎた頃。

予定していた時間よりも早くに終わってしまいました。


私が魔術が使えるのを知ったお爺さん、お婆さんに古くなった物のサビやカビなども治せるのか?と尋ねられ、頼まれてしまいました。でも思い出の物が綺麗になったと喜んでもらえたので私も良い仕事をしたなーと嬉しかったです。



”人の為に働いて、感謝されて、喜ばれて、それが生活になる”

”魔術だけじゃなく、どんな職業の者もそうじゃよ”


師匠が言っていました。

私は何となくその意味が分かった気がしました。



魔術を習っててよかったなぁって思いました。それはお金以上に嬉しかったし、帰り際には”良かったらもっていきんしゃい”とケースにおかずとお茶菓子まで詰めて頂きました。



***


「先方様が大層喜んでおられましたよ。今回ポイントは普通より1pt多めに付けさせて頂きますね。ポイントはギルドでランクアップにも使うのは知ってますよね?他に貴女の場合、一定のpt(ポイント)が溜まれば授業のレベルも徐々に高くなっていきます。」


「ギルド初仕事お疲れ様でした。これからも頑張ってくださいね。」



初めての依頼が終わり、ギルドの受付で結果報告をしてポイントとお金を頂きました。



 ―残金:50金貨と1銀貨余り

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