第49話「日本再生、現実へ」
それは、静かに始まった。
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だが――
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確実に、“現実”だった。
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「数字が出ました」
一条朔也が言う。
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本邸の空気は落ち着いている。
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だが、
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内容は大きい。
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「どこだ」
業高が問う。
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「国内資源供給量」
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一拍。
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「前年比、大幅増です」
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それだけで十分だった。
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御影資源開発。
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鉱脈。
油田。
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すべてが動き続けた結果。
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日本の資源構造が変わり始めている。
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「輸入比率は」
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「低下しています」
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一条が答える。
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「エネルギーコストも下がっています」
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神崎が静かに言う。
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「来ましたね」
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「何がだ」
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「構造変化です」
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一拍。
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「点ではなく、面で動き始めています」
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それが意味するもの。
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業継が小さく呟く。
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「日本、ようやく変わり始めたね」
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『はい』
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アークが答える。
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資源。
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それはすべての基盤。
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そこが変われば、
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全部変わる。
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「他は」
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一条が続ける。
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「地方雇用の増加」
「関連企業の成長」
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一拍。
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「波及が出ています」
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単独ではない。
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連鎖している。
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「いいな」
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業高が言う。
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「ようやく見えてきた」
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それは、ただの成功ではない。
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再生の兆し。
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国家側も動く。
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「制度面の調整が進んでいます」
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一条が報告する。
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「規制緩和」
「優遇措置」
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一拍。
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「すべて連動しています」
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業真が頷く。
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「使えるな」
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「はい」
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国家と九条。
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その連携が、
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“現実”として機能し始めている。
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一方。
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医療。
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「初期適用が始まっています」
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一条が続ける。
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「限定的ですが」
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一拍。
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「確実に結果が出ています」
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ナノマシン。
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段階的公開。
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そして――
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限定運用。
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業継が言う。
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「ちゃんと回せてるね」
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『はい』
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アークが答える。
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再現性。
安全性。
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すべてが、
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現実の医療として動き始めている。
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「すごいよ」
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ぽつりと呟く。
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だが、その声は冷静だった。
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「まだ途中だけど」
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『はい』
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当然だった。
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本邸・夜。
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「海外はどうだ」
業高が聞く。
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一条が答える。
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「対抗しています」
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「内容は」
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「別規格の提案」
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一拍。
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「主導権を取り返そうとしています」
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神崎が言う。
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「予想通りです」
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「どうする」
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「流れを維持します」
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それだけ。
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シンプルだが、
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強い。
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業継が一人で考えていた。
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「動いてるね」
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『はい』
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「全部繋がってる」
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『はい』
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資源。
企業。
国家。
医療。
世界。
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すべて。
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「これが再生」
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『定義として適切です』
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業継は小さく笑う。
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大きなことはしていない。
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ただ、
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順番にやった。
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積み上げた。
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繋げた。
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その結果――
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国が動き始めた。
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「面白いよ」
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『継続的に危険な発想です』
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「知ってる」
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だが、
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止まらない。
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本邸。
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「次は」
業真が言う。
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一拍。
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「拡張だよ」
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その一言。
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それが次の段階。
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守るだけではない。
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広げる。
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強くする。
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そして――
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定着させる。
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業継は空を見上げる。
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静かだった。
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だが、
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その先は違う。
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日本は、
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確実に変わり始めている。
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そしてその中心に、
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九条業継がいる。
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五歳。
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だが、
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その影響は、
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国そのものに届いていた。
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これはまだ途中。
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だが――
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確実に、
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現実になった。




