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第27章 ― 全能性の亀裂

ケルベロスはゆっくりと腕を上げた。

後方へ引き。

拳を握り締める。


濃密なエネルギーが彼の爪に集まり始めた――

白熱する糸のように張り詰め、今にも断裂しそうな宇宙鋼の緊張。

周囲の空間は軋み、その集中を支えきれず悲鳴を上げていた。


対する女王は、さらに恐ろしいものを集束させていた。

クララ・コズミアに蓄積される力は、これまで見られたすべてを凌駕していた。

それは単なる破壊ではない――完全なる消去だった。


二人は同時に言葉を発した。


「銀河の炎!」――女王が咆哮する。

「宇宙攻撃。」――ケルベロスが応えた。


クララは巨大な顔を虚無へと向けた。

ケルベロスは空間を踏みしめた――その音は、彼の下に絶対的な地面があるかのように響いた。


二人は輝き始める。


そして、言葉を完成させた。


「宇宙破壊!」

「全能性の亀裂。」


クララが放った。

解き放たれたエネルギーは、初動だけで十五の惑星を消し去るに足りるものだった。

衝突する前から、恒星系は崩壊を始めていた。


ケルベロスが応じた。

彼は空間を殴った。

その攻撃は現実の槍のように前進し、虚無を爆裂させ、進むごとに宇宙の織物そのものにクレーターを刻んだ。


力と力が衝突した。


絶対的な白光が生まれた――

それは爆発と呼ぶにはあまりに強烈だった。

音はなく、時間もなく、ただ存在が書き換えられていた。


光が消え去ったとき――


クララ・コズミアは漂っていた。

巨大な身体は各所が砕け、動かない。

その瞳にはまだ憎悪が残っていた――だが、力はもうなかった。


ケルベロスは彼女の前にいた。

その身体はすでに元の姿へと戻っていた。

戦闘形態は解け、爪は再び金属の籠手へと戻っている。


「ど……どうして……」

女王の声は弱く、砕けていた。

「……このレベルの存在が……私を……倒せた……?」


ケルベロスは彼女の眼前に現れた。


クララは笑った――弱々しいが、なおも邪悪な笑み。

「あなたは……私と……組むべきだった……」

「そうすれば……無敵だったのに……」


ケルベロスは手を上げた。


鎧のように融合していた侍女たちの身体が、女王の肉体から引き剥がされ、

その歪んだ融合から解放された。


「俺はお前のような存在が好きではない。」

彼は静かな冷徹さで言った。

「その力は、ある程度は認める。」

「だが、その在り方は……醜い。」

「お前は、俺が戦った中で最も強力な“堕落者”だった。」

「俺に三〇%の力を使わせた、唯一の存在だ。」


クララは唸った。

ひび割れた顎から煙が漏れる。


「お前は……あまりにも……礼儀正しい……」

彼女は呟いた。

「だから……完璧な……操り人形になると……思った……」


ケルベロスは指を鳴らした。


痛みはなかった。

叫びもなかった。


クララの魂は消去された。

彼女の巨大な身体は、現実から、生命から、存在そのものから消え去った――

まるで最初から存在しなかったかのように。


ケルベロスは一瞬、目を閉じた。


そして開くと、

すでに彼は桃色と白の惑星へと戻りつつあり、侍女たちの身体を運んでいた。


数分後、彼は静かに着地した。

身体を地面に横たえる。


光景は凄惨だった。

焼け、歪み、破壊された身体。

完全な沈黙。


ケルベロスは手を伸ばした。


「宇宙能力:蘇生。」


身体が輝き始める。

地面から浮かび上がり、宙に漂う。

一人一人に小さな光の爆発が起こった。


再び地に降り立ったとき、

彼女たちは完全だった。


呼吸している。

生きている。


侍女たちは目を開いた。


「な……何が起きたの……?」

一人が呟く。

「頭が痛い……体が変な感じ……」


「私は……一人の女を覚えている……」

別の者が言った。

「自分を女神だと言っていて……私は信じてしまった……」


そして全員が顔を上げた。


ケルベロスがそこにいた――

真剣な表情で、生命が本当に戻ったかを確認している。


「待って……」

一人が言った。

「思い出した……あの女が、私たち全員の心を支配していた……」

「そして……この男……彼が私たちを救った。」


侍女たちはケルベロスへ駆け寄り、彼を英雄と呼んだ。


ケルベロスは左へテレポートした。

全員が左へ走った。


彼は宙に浮かび始めた。

侍女たちは、魅入られたように彼を見つめる。


「俺は英雄じゃない。」

彼は言った。

「悪役でもない。」

「俺の使命は、宇宙を制御することだ。」

「俺は何も必要としない。」

「英雄であることが、何を意味するのかも知らない。」


三人目の侍女が、ためらいがちに尋ねた。


「じゃあ……なぜ私たちを助けたの?」


ケルベロスは感情なく答えた。


「生命のある惑星には、それが均衡を保つために必要だからだ。」

「生命は……動かすための一つの駒がなければ、何でもない。」


侍女たちは沈黙した。

囁きが広がり、視線が逸れた。


ケルベロスは消えた。


気づいたとき、彼はもうそこにはいなかった。


「……彼はどこへ行ったの……?」

一人が呟いた。


宇宙空間で、ケルベロスは逆さまに浮かび、孤独だった。

自分の手を見つめる。


「俺は英雄であることを知らない……」

彼は呟いた。

「そして、悪でもない。」

「俺は生きている存在だ……」

「そして同時に……そうでもない。」


そのとき、彼は感じ取った。

別の惑星。

別の堕落。


ケルベロスは目を閉じた。


「行こう。」


そして、消えた。


次の章へ続く。

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