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ニャンてこった!異世界転生した元猫の私が世界を救う最強魔法使いに?  作者: ざつ


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第12話:世界を救ったのは、ただの猫だった件。-3

数日後、世界は、ゆっくりと本来の姿を取り戻し始めていた。

枯れかけていた草木には、再び鮮やかな緑が戻り、花々は色とりどりに咲き誇る。空気の乾燥も和らぎ、心地よい風が吹き抜けていく。


世界の魔力は、再び豊かになり、生き物たちは活力を取り戻していった。鳥たちは再び歌い、獣たちは森を駆け巡る。世界全体が、生命の喜びで満たされていた。


王国では、賢者リリアーナの「偉業」が、大々的に称えられた。彼女は「世界を救った賢者」として、歴史にその名を刻まれることになった。彼女の功績は、吟遊詩人によって歌われ、子供たちに語り継がれるだろう。


アリアは、リリアーナの世話を甲斐甲斐しく焼き、常にその傍らにいた。彼女は、リリアーナの行動の全てに、深遠なる意味を見出し続けていた。


「リリアーナ様は、この世界の魔力を一度解放することで、世界の再生を促されたのです!魔王の計画を逆手に取り、世界を救うとは…!何という深遠なる知恵…!賢者様の御力は、まさに無限でございます!」


アリアは、そう言って、リリアーナに最高級の干し魚を差し出した。それは、この世界の魚の中でも、特に脂が乗り、香ばしく焼かれたものだった。


「ニャー…(美味しいニャ…)」


リリアーナは、干し魚を幸せそうに平らげた。

彼女にとって、世界が元に戻ったのは、ただ「日向ぼっこが気持ち良くなった」という、猫らしい理由でしかなかった。

美味しいお魚が食べられること。それが、彼女にとっての最高の報酬だった。


魔王シエルは、魔力を失い、その力は完全に失われた。

彼は、魔王城の片隅で、ただ呆然と座り込んでいる。彼のリスとしての本能は、冬の備蓄を全て失ったことを嘆き続けていた。

彼の瞳は虚ろで、その体は、まるで抜け殻のようだった。


「キィィィィィィィッ…(私の備蓄が…全てが…私の…私の世界が…)」


ゼノスは、魔王の傍らに寄り添い、その姿を見て、涙を流した。彼は、魔王の「世界を救う計画」が、あの女によって無に帰したことを嘆いていた。彼の忠誠心は、決して揺らぐことはなかった。


「魔王様…!申し訳ございません…!我々の力が及ばず…!このゼノス、魔王様をお守りできませんでした…!しかし、魔王様の崇高な御心は、決して無駄にはなりません…!」


ルーナは、遠くからその光景を眺めていた。

彼女は手帳を閉じ、ペンを挟み込む。この壮大な茶番劇の「真実」を、ついに彼女は確信したのだ。


「やれやれ、世界は救われたようね。猫とリスの気まぐれな戦いのおかげでね。歴史書には、きっと壮大な英雄譚が記されるんでしょうけど、真実は、こんなにも滑稽なものだなんてね。」


ルーナは、そう呟きながら、カップに残ったお茶を飲み干した。彼女は、この世界の真実を知る、唯一の傍観者だった。


「結局、世界を救ったのは猫の気まぐれと、リスの貯め込み癖だったってわけね。人間も魔族も、みんな真面目すぎて滑稽だこと。彼らがこの真実に気づく日は、果たして来るのかしら。


まあ、気づかない方が、世界は平和なのかもしれないわね。


……ええ、このドタバタ劇は、後世に語り継がれるべき『壮大な英雄譚』として、私がこの手で記録しておきましょう。真実を知る者は私一人で十分。歴史は、いつだって勝者の都合の良いように書かれるものだもの。」


ルーナは、そう言い残すと、手帳を懐にしまい、静かにその場を立ち去った。彼女の背中には、この世界の「真実」を秘めた、どこか悪戯っぽい笑みが浮かんでいるようだった。


リリアーナは、王都の城壁の上で、気持ち良さそうに日向ぼっこをしていた。ポカポカと暖かい陽光が、全身を優しく包み込む。毛並みも、すっかり元の滑らかさを取り戻していた。彼女の瞳は、満足げに細められている。


「ニャー…(やっと静かになったニャ。お昼寝するニャ…ゴロゴロ…)」


リリアーナは、満足げに喉を鳴らそうとした。

しかし、やはりゴロゴロという音は出ない。

代わりに、口からは「気持ちいいニャ…」と、人間の言葉が漏れる。


彼女は、自分が世界の救世主になったことなど、夢にも思っていなかった。

ただ、快適な猫生を取り戻せたことに、心から満足していた。


そして、この世界のどこかで、また新たな「キラキラ」や「美味しいお魚」を見つける日を、楽しみにしているのだった。彼女の冒険は、まだ終わらない。


こうして、元猫の少女が、世界の命運を左右する「脱力系」魔法バトルを繰り広げ、誰もその真意を知ることなく、世界を救った物語は、幕を閉じたのだった。


これにて完結!


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