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赤茶けた鉄塔の下で

 夕陽に赤茶けた鉄塔が長く影を落とす。かつて僕は、その影の下で彼女が来るのを待っていた。

 彼女の転校の日、僕はこの鉄塔に片想いの彼女を呼び出した。けれど彼女は訪れず、伝えられなかった想いだけが胸に残った。


「ごめんなさい」


 隣に立つ再会した彼女が言う。あの日は親の都合で引越しの出発が早まってしまった。そう話す彼女はもう結婚していた。

 だから僕は言う。


「好きでした」


「ありがとう」


 泣き笑う彼女。

 僕の胸が晴れた。


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