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人皆虫の餌食となる定めなり
「死すべき者は誰も我を逃れること能わず。人皆虫の餌食となる定めなり」ジェルマン・ピロン(1537年 - 1590年)彫刻家
病床の少女は、闇から少年が現れるのを見た。
「あなたはだあれ?」
少年は音もなく少女に近寄り、夜の湖のように深く青い瞳でその目を覗き込む。
「ええ、お願い」
少女のうなずきに少年は微笑み返し、その唇に水を差すように口づけた。
すると少女の体に白い蛆虫が湧き上がり、たちまちにその肉を喰い尽くして、黒い蠅へと成長した。
蠅が少女の体を形作る。
「では、お手を」
差し出された手を掴み、少年は少女と闇の中へ溶けていった。




