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世界がもう少しだけ君に優しかったなら
「『世界がもう少しだけ君に優しかったなら』というタイトルを思いついたけど、こんなん私に書けるわけがない」という、維川千四号さんのツイートに反応して書いてみた。
世界がもう少しだけ君に優しかったなら、僕は君に出会えなかったかもしれない。
「なにそれ。同情?」
二階の教室から落とされたバケツの水でびしょ濡れの彼女は、ひどく冷めた目で僕の差し出したタオルを見下ろした。
「いつも傍観者のくせに」
二階から笑い声が聞こえる。彼女はそのまま歩き出した。
「そういうの一番嫌い」
「待って」
振り返る彼女。
「僕もそういうの嫌いになったんだ」
再び差し出されたタオルを君はじっと見ていた。




