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審判の実  作者: 葉月 涼
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 ここ数日皆と話をしたり個々の生態を観察したりして色々面白い事が解った。


 食事が必要な者とそうでない者、睡眠が必要な者とそうでない者、排泄が必要な者とそうでない者とか色々あるが、魔力の総量が大きい者ほどその必要がなくなるようだ。


「ロビー殿、何時頃向かいますか?」


「ん~、余り早くても失礼になるからもう少ししてから行こうか」


「あ、赤竜さん私も行くから置いて行かないでね」


 赤竜さんにクライブさんとの会談に何時頃行くのかと聞かれて答えたらマリアちゃんも付いて行くと言った。


「は?いや、その・・・・・」


「私には見届ける義務が有りますから」


「そ、そうですか・・・・・」


 見届ける義務?何だか解らないけど邪魔しないならいいか。


 って言うか赤竜さんや白竜さんもマリアちゃんには逆らい難いみたいで、たじたじになってる事が多々あったりする。


 彼等の中では魔力の質と量が俺に近い程偉いと言う図式になっている。まぁ横暴な真似はしていないし、増長しないように気を付けておこう。


 現状では小柄なマリアちゃんが巨大な者達を従えている様を微笑ましく見ているだけだけど。


「ではロビー殿我が背にお乗り下さい」


「うん、宜しく頼むね」


「行ってくるね~」


「「「「「いってらっしゃ~い」」」」」


 手?前足?を振る皆に見送られ、赤竜さんの背中に乗ってマリアちゃんを連れて南へと向かった。


*


*


*


「陛下、昨夜はよく眠れましたか?」


「あ~、少々寝不足だが問題無い・・・が、流石にあれを見せられて落ち着いては居られんよ」


「朝一で私も確認してきましたが、一体何処まで続いているのか・・・・・」


 この中継地点に到着したのは昨日の日が落ちる頃だったのだが、駐屯兵から四日程前に突然壁が現れたと聞かされて驚いた。おそらくこの壁から先は自分達の縄張りだと言う主張なのだろう。


「・・・おそらくグリム山を中心に自分達の縄張り全てを囲っておるのだろうな・・・・・」


「・・・やはり・・・そう、思いますか」


「これを成したのは彼等の〝主〟なのだろう。これだけ解りやすく〝力〟を示された上に赤竜殿を目にすれば逆らおうなどとは思えんな。勿論言いなりになる気は無いが、可能な限り譲歩するしか無かろうよ」


「賢明な判断かと思います。陛下、私にはこの壁の先に足を踏み入れたくば対話か戦の何方かを選択せよと言う警告と感じました」


「ふむ、其方がそう言うのであればそうなのであろうな・・・・・」


 簡素な天幕の中で朝食を摂り終え食後のお茶を飲みながらクライブと話をしていると、我々の前に背中に羽の生えた少女が天より舞い降りた。


「お話し中失礼します。間も無く我等が主、ロビー様と護衛の赤竜様が到着なさいます。代表者のクライブ様はいらっしゃいますでしょうか?」


「お・・・あ、ああ、私がクライブだが・・・・・」


「お初にお目に掛かります、私の事はマリアとお呼び下さい。間も無く主も参りますので少々お待ち下さい、クライブ様・・・と、国王陛下」


「な、何故・・・・・」


 何故と呟いたクライブの問いに彼女は私を見つめたまま微笑みながらこう答えた。


「未来とは確かなものではありませんから」


 この時私は彼女が何を言っているのか理解出来なかった。ただ私を見つめる彼女の赤い瞳に囚われ身動き一つ出来なくなっていた。


「マリア殿、先触れご苦労様です。クライブ殿、本日は我が主、ロビー殿が直接お話を聞きたいと参られましたが宜しいか?」


 マリアと名乗った少女の後ろに巨大な赤黒いモノが降り立った。こ、これが赤竜か・・・・・武門の者でなくとも解かる圧倒的な存在感・・・彼に逆らうなど自殺行為でしかないと一目で理解させられた。


 恐怖だ。得体の知れない少女に加え、圧倒的な存在感を放つ竜から与えられたものは恐怖だけだった。


「勿論構いません。こちらの主も直接赤竜殿との対話をとこちらに参られましたので」


 クライブと赤竜殿が会話を交わす様を見て困惑した。彼は、クライブは何故自然に会話が出来るのだ?


「おお!それは行幸。期せずして主同士の対談となるとは。では、此方が我等が主のロビーと申します」


「・・・お、お初にお目に掛かりますロビー殿。私は騎士団長のクライブと申します、以後お見知りおきを。そしてこちらが我が主のマルクス・グランバート帝王陛下になります」


 赤竜殿の後ろから現れた者を目にして更に困惑した。全身が金属でできた人型の何かが赤い目を光らせて私の方を見ていたのだ。


「私は・・・私の名は『ロベルト・ノーティス』サザンデラ王国第三王子だ。マルクス・グランバートと言ったな!貴様はエルデンとウォルタード何方の子孫だ!!」


「ヒイッ!」


 突然怒鳴り出したその人型がガシャガシャと大きな音を立てて私に向かって詰め寄って来て私は短い悲鳴を上げて椅子から転げ落ちるようにしてその場に蹲った。


 サザンデラ?第三王子?何を言っているのだ?そのような国なぞ―――


「陛下!お下がり下さい!」


 私の後ろに控えていた近衛に抱えられるようにして下がらされ、彼の放った台詞に先日見付かった本の内容を思い出した。


「・・・わ、私はエルデン・グランバートの子孫だ!全てはウォルタードの謀りだったのだ!」


「へ、陛下?なにを・・・・・」


「知っているんだな!貴様等が何をしたのかを!!」


「ロビー様!お気持ちは解りますが今は堪えて下さい!」

「こ奴が何をしたのかは知りませんが落ち着いて下さい!我々は話し合いに来たのですぞロビー殿!」


「・・・ぁ・・・・・済まなかった二人共・・・いや、済まなかった、マルクス殿。貴方にとっては身に覚えのない大昔の話だったな」


 マリア殿と赤竜殿が止めて下さったお陰でロビー殿が落ち着いて下さったようで、恐る恐る頭を上げるとロビー殿の目の光が薄くなっていた。


 息を整え、頭の中で彼の言っていた事と本の内容を照らし合わせた。ロベルト・ノーティス第三王子と言う事はサヴァン・ノーティス王の息子・・・グランバート家が子爵だった時に五男のウォルタードに唆されて乗っ取ったサザンデラ王国王家の生き残り・・・と言う事か・・・・・

ここまで読んで頂き有難う御座います。

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