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目覚め

大切な人たちと笑い、歩む、それがこれからも続くと信じていた、眩く輝く光を見るまでは…


「ルーク!ルークってば!ご飯が出来たから起きなさいってば!もう…」

ボクの名前を呼ぶ声がする、まだ眠い目を擦りながら起きれば、目の前にいたのは姉、ルエルの姿だった

「おはよう、ルエルさん」

そう名前で答えれば、いつもかわらず、困ったような、少し悲しいような顔をするのだった

「おはよう、可愛い可愛い寝坊助さん、いつになったら姉さんと呼んでくれるのかしら」

そう、確かに姉のはず、それなのに姉さんと呼ぶことができない、呼ぼうとしても呼べなかった

「そんな難しい顔しないで、とりあえず顔を洗って」

ルエルは桶とタオルを手渡し、ルエルは少し目を瞑ると微かに手が光り、水が溢れ出た ルエルは水の魔術が使えるのだ

「いつもありがとう」

「どういたしまして寝坊助さん」

ルエルはふふ、と笑うと桶とタオルを受け取り部屋を後にした

辺りを見回せば簡素な机、棚、そして壁に立てかけられた木剣が目に入った、2年前から剣の訓練をしている、今日も訓練の日だと思い出し急いで身支度をし足早に食卓に向かった

「急いでいるのはわかるけど、少し落ち着いて食べたら?」

ルエルは少し呆れたような、微笑むような表情で見ていた

「うん、でも急がないと、たくさん訓練して早く強くなりたいんだ、強くなって…困っている人を助けたい、悪い人をやっつけたいんだ!」

力強い言葉にルエルは少し悲しいような、困ったような、或いは後悔しているような顔をした、最初は微笑むような顔をしていたが、段々としなくなりやがて今のような表情を見せるようになった

「ごちそうさま!いってくるね!」

食べ終わると急いで家を出て訓練場へ向かった

「いってらっしゃい、怪我には気を付けるのよ!」

ルエルはルークの姿が小さくなると、ごめんなさい、と小さくつぶやいた、そして、ガシャーンという音が聞こえた気がする。


ハス村、それがボクの住む村、小さな村で農業や狩りで自給自足、助け合いで生きていた、場所も大陸の端にあり、村を訪問する人もごくわずかなとても穏やかな村だ

剣の訓練場は村のはずれにあり、体力づくりも兼ねて走って向かっている

「おはよう!今日も元気だな!」「あら、おはよう、今日も訓練頑張ってね」

近所の夫婦が気づいて声をかける、おはようございます!そしていってきますと手を振って応えた、暖かく穏やかな人たち、ボクはこの村が好きだ、だから早く強くなりたい、何があっても守れるように

訓練場へ着くと大きな声で挨拶をした、そして頭に軽い衝撃を受けた

「ま~た寝坊したな?こいつめ~」頭をぐりぐりとしてくる少年は、ボクと同い年で同じ日に訓練に参加した友人カインだ、気さくな性格で

訓練初日から何かと話し合ったり共に剣を合わせをする仲で、剣の腕は一回り二回りも上で一度も勝てたことはなかった

「痛い痛いごめんごめんってば、おはよう、カイン」「あぁ、おはよう、ルーク」

他にも村の子供たちが5人ほどいる、みんな今では友達だ

「よし、みな揃ったな、今日の訓練は今までのおさらいだ、そのあとは各自対戦訓練とする、いいな?」

そういうのは王都の騎士で今は引退し2年前からここで剣を教えている見た目は中年のラルドだ、この歳で引退するのは珍しいことらしい

「はい!」と威勢のよい声で答え、ラルドは頷いた、基礎、応用を繰り返し再確認する、地味だけど重要な事だからか決して誰も手を抜くことはなかった

「ルーク!俺と手合わせしようぜ!」カインだ、ボクはそれに快く応じた、カインに勝てた事はない、だけど気分がよかった、体を動かすことに喜びを覚えるくらいには

「今日こそボクが勝つよ!」そう宣言する、「言ったな?」と笑うカインは一拍おいて真剣な顔になる、例え勝てる勝負だとしても油断はしない性格なのだ

カインの剣は重く鋭かった、受け流し、隙をみて攻撃するも受けられ 避けられる、攻防が繰り返されるもやがて隙が大きくなりボクは一撃を受けた

「今日も俺の勝ちだな!」カインは屈託のない笑顔をみせ、大丈夫か?と声をかける 優しい友達だ

「よし、ここまで!メシにするぞ!」繰り返しだがラルドは騎士である、しかし料理が実に上手なのだ、料理店を開くか考えたこともあるようで

正直…ルエルのご飯よりおいしいのだ、落ち込みそうなので言わないけど。

食事、そして休憩、昨日の出来事を話したり、からかったり、思い思いのひと時を楽しみ休息する

「よし、休憩終わり!次は私との手合わせだ、複数で掛かってきてもいいぞ」ラルドの言葉に戦慄する

それぞれが油断なく構え 囲むように立ち、皆に合図を送る 

「行きます!」「よし来い!」一斉に掛かる

結論から言えば一太刀も浴びせられなかった、甘い、甘いぞと笑顔で受け流され、弾かれ、近くにいた味方を巻き込むように倒れていく

最後に残ったのはボクとカインだけだ、「ルーク!オレに合わせろ!」カインはまだ諦めてはいない「ああ!」ラルドを挟むように立つ

「まだやる気か!いいぞ!いい顔だ!」ラルドは嬉しそうに、楽しそうに待ち構えている

「行くぞ!」カインが前から、しかし油断なく突撃する

「挟撃は良い!だが甘いぞ!」ラルドは剣を弾き飛ばそうとする、そしてカインは剣を振…らなかった

「何!?」弾くために勢いのついた剣を引き戻すのはラルドといえど少しの隙となる

その瞬間を逃す手はなかった「ルーク!」わかっている、ここだ! 時間をかけては要られない最小の動作で剣を

下から上へ、切り上げた、ラルドの回避は、間に合わなかった、僅かに、ほんの僅かに剣先がかすったのだ

「ほう、俺に当てたか、やるようになったじゃないか!」ラルドはとても嬉しそうに、今日一番の笑顔を見せた

「やったなルーク!」カインは駆け寄り肩に手を回す「ああ、やったよカイン!」皆も自分のことのように喜んでくれる

やっぱりボクはこの村が 大好きだ

ラルドは今日はこれまでと訓練の終わりを告げた、そして 明日からはもっと厳しくするぞ、という声に苦笑するしかなかった

ボクとカインはしばらく地面に大の字で寝ころんだ、気が緩み、力が全身から抜けてしまったからだ

「本当にやれたんだな…」カインは呟いた「ああ、やったんだよボクたち」

達成感か、軽い小さな笑い声が出る、「立てるか、ルーク?立てないなら俺がおぶってやるぞ?」

カインも疲れているのに心配してくれる「多分大丈夫、一人で帰れるよ」

そうか、じゃあまた明日なと手をふり、家路につくのだった


「ただいま、ルエルさん」家の扉を開け、目に映ったのは テーブルに顔を伏したルエルの姿だった

「ど、どうしたの?」具合でも悪いのかと声をかけ…ると同時に頭があがり顔を見せた

その顔は泣いた顔だった、どうしたのだろうと考えるより答えがそこにあった、あれは器だ、小さいながらも陶器の器、それが割れている

「ごめんねルークぅ…割っちゃったぁっ…せっかくルークが買ってくれたのにぃっ…」

ルエルは…正直おっちょこちょいなところがある、それでも大切に扱ってくれていた器だ

「大丈夫、またボク、頑張って買うから、ね?」手を取り宥めた

「うぅ…うん、ごめんね…」落ちついたのか泣きやむ、そして気を取り直してルエルと訓練の事を話し

驚いたり、喜んだりしていた。

そして夕飯を済ませた…やっぱりラルドの方が美味かった、言わないけど。

日も暮れ夜になり、ルエルとはおやすみなさいと言い、床についた

また明日もいい一日でありますように、と。




初投稿だよ!牛歩だよ! 因みにルークはちょっと幼さの残る14歳の少年、ルエルは18歳の美少女

どちらも互いを大切に思っているよ!

ルエル「あら、ラルドさんお出かけですか?」

ラルド「おぉ、ルエルさん、いえね、新しい料理を思いつきましてね、誰かに味見をしてもらおうと…そうだ!ルエルさん、少し味見してくれないか?味は保証するぜ」

ルエル「それじゃあ少し…こくん」

ラルド「…どうだ?」

ルエル「え、ええ、いい味だと思います、それでは…」スゴスゴ

ラルド「あ、ああ…」

ルエル「私よりおいしい…」

ルエルの挫折は続く。そして決して料理で勝つことはない

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