↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
銀の姫君と蒼の魔法使い  作者: 苫古。
とある侍女の手紙
PR
40/43

4

第1の月・光月宮(ユマ) 12日



親愛なるお姉さまへ


 聞いて、お姉さま!

 冒頭からこんなテンションでごめんなさい。でも、どうしても聞いてほしいの!


 本当はね、お姉さまには黙っておこうと思ったのよ。

 心配かけちゃいけないって思って。

 でも、エリオトおじさんとエルストが、知らせておいた方がいいっていうから、一応。




 あたし、どうやらここ数週間、ストーカー被害というものに合ってるみたいなの。

 相手は、貴族の男。

 仕事先にも、他の場所にも突然現れるその男は、とってもしつこく絡んでくるわ。

 昨日も、廊下を歩いている間中、延々話しかけてきて、事ある毎にベタベタと触ってこようとする始末。気持ち悪くて、嫌になっちゃう。


 でもね、その男、別にあたしのことが好きで執着してるってわけじゃないのよ。


 実は、お城の中でも女好きで有名な人なの。

 自分の容姿を見て、目をハートにしなかったあたしに興味を持ったみたい。こんな傍迷惑な話ってあるかしら。

 休憩時間に先輩や他の同僚に相談しても、「我慢してれば、そのうち飽きてくれるわよ~」と、クッキーを齧りながら生返事を返されただけ。

 あの時の絶望と憎しみは、ちゃんと心のノートに削り書きしたので、みんな覚悟しておくといいわ。


 ただ、レア・ミュライエ王女だけは、

「堪え難く不快であれば、したたかに凶器で打ち据えて、テラスから放り出してもよくってよ?」

 と、親身な言葉を返してくれたのだけど。


 …… その許しがあれば、十分だったわ。

 王族である彼女のことは好きじゃないけど、あの言葉は、あたしに何より力と勇気をくれたの。



 だって、ストーカー男は、王女の同母兄(きょうだい)君なんだもの。



 相手が貴族、しかも王族だなんて最悪! 手を出しにくいじゃないと思いつつ、歯ぎしりしてたんだけど、これで問題解決だわ。

 妹君から、直々にお許しを頂いたのだから、何をしたって許されるわよね?

 免罪符って、素敵。


 というわけで、今日の午後に早速、抱き付いて来ようとした相手の脇腹をしたたかに殴りつけて、テラスから中庭の茂みに放り投げてみました。

 一階だし、死にはしないでしょ?


 か弱い女子の細腕で撃退されるなんて、貴族の男――― しかも、王子としては、他に知れたくないほどの恥よね。

 これで懲りて、二度と顔を見せないでくれるといいのだけど。

 悩める乙女の願いを女神様が叶えてくださるよう、お姉さまもお祈りしておいてね。




なんだか男性が嫌いになりそうな貴女の妹

クレア=ハイルより





追伸

 今朝、この手紙を出そうとしていたら、またあの変態に抱き付かれそうになりました。ゴキブリ並にしつこい男だわ。

 ねえ、お姉さま。

 畑で使う害虫退治用の薬、まだ余ってるかどうか確かめておいてくれる?





評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。