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松本という漢Ⅴ  作者: 時田総司(いぶさん)


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第二十節 松本とは

第二十節 松本とは




シゲミ、デイナイトケア体験当日――、


デイナイトケアが始まる朝のミーティングで、もぞもぞとしながらシゲミは自己紹介をする。


「シゲミと言います。宜しくお願いします」




(回想)


数日前――、


「入院して長いから、退院後には体力を付けないとね! グループホームは合わなかったけど、デイナイトケアには通った方がいいハズだよ」


「よぃん」


優しく話し掛ける小田谷さんに、謎の言葉でシゲミは返した。


(回想終了)




「パチパチパチパチ」


シゲミは拍手で迎えられた。


「あぅん」


シゲミは恥ずかし気にしながらも、嬉しさを顔に出していた。ここで、スタッフからお知らせがあった。


「はーい、シゲミさんでした。皆、仲良く接してあげてくださいね。さて、今日は実習に来ていた学生さんが、実習をする最後の日です。お話をしたり、一緒にデイナイトのプログラムに参加したりして接してあげてくださいね」




「パチパチパチパチ」




どうやら、シゲミの来る前日から、実習生の学生が看護の実習を受けに、この病院に訪れていた様だ。


「今日が最後の実習となるのでいろいろな人にお話をさせてもらいたいと思います」


「今日も皆さんと一緒にプログラムに参加したいと思います」


実習生の学生が挨拶をしたところから、本日のデイナイトケアが始まる。




「くぅん(どこに座ればいいの?)」


百人は収容できるくらいの広いフロアで、シゲミはあたふたしていた。


そこへ――、




「シゲミさんっていうんだね。相撲は好き?」




「!?」




シロウが現れた。


「これ、相撲取り図鑑。これは相撲取りカード。見る?」


「!!?」


「相撲見るよね?」


「あ……あまり詳しくありません……」


「そう……ヨロシク」


「!!!?」


手を差し伸べるシロウ。シゲミは仕方なく握手を交わした。


その日のプログラムはクッキングだった。どうやら、ハンバーグを作る様だ。シゲミもプログラムに参加し、ハンバーグを作る。偶然、シロウと一緒のグループになった。


ミーティングが始まる。


「材料を挙げていってください」


「タマネギぃ!」


「はい、タマネギですね」




――、


話し合いが進んで行く。と――、




「ほじほじ」




シロウが人差し指を鼻の穴に突っ込んだ。しかも、素手である。


「!(っは!!)」


シゲミはその様子を目撃していた。勇気を振り絞ってシロウに注意する。


「あっあの! これから料理を作るんですよね!? そういうのは……」


「僕気にしないから!」




「!!」




そういう問題じゃない。


午後――、クッキングが始まった。シロウはハナクソをほった手で、ミンチ肉をこねくり回す。しかも、素手で――。その様子を見ていたシゲミ、




「オロロロロロロロロォオオ」




ショックで嘔吐した。


「ちょっ! シゲミさん!! シゲミさん、カムバッ――ク!!」




シゲミのデイナイトケア体験、失敗!!




その日の夕――。


「学生さんが、今日で実習を終えますので、一言挨拶をお願いします」


実習に来ていた学生が学校へ戻るため、最後に挨拶をする様だった。


「3日間という短い時間でしたが、色々な方と話ができて嬉しかったです」


「パチパチパチパチ」


「皆さんと一緒にプログラムに参加して、充実した時間を過ごせました、ありがとうございました」


「パチパチパチパチ」


辺りは、穏やかな空気に包まれた。そして当直のスタッフが口を開く。


「学生の皆さん、ありがとうございました。それでは皆さん、学生さんへ向けてもう一度拍手を……」


その時――、




「ガンガンガンガン!!」




「!!」


「!?」




フロアの一部から騒音が聞こえてきた。




「ガンガンガンガン!!」




鉄製の扉に、Wが頭を打ち付け続けるという自爆テロが行われたのである。




「ガンガンガンガン!!」




「てめっ!!」


「コラ、止めないか!!」




Wを男性スタッフが取り押さえ、別のフロアへと連れて行った。




「ざわざわ」


「ひそひそ」




穏やかな空気が一変、Wの自爆テロで台無しになった。


「そっ、それでは皆さん、学生さんへ向けてもう一度拍手をお願いします……」


「パチパチ……」


デイナイトケアに通う者達は、気が気でなかった。




数日後――、


「松本……シゲミ、で」


松本がシゲミとの面会をする為に、病院で受付を済ませていた。面会室へ足を進める松本。その足取りは落ち着いていた。遂に面会室に入る。




「ガチャ」




「あぅん」


そこにはシゲミが、いつも通り背を丸くして座り込んでいた。


「よお、オッサン。今度はデイナイトケアの体験で失敗したらしいな? このままじゃテメェ、どこにも行くとこがないぜ?」


松本の言葉を一言一句聞き漏らさなかったシゲミ、ふるふると怒りに満ち満ちて震えながら言う。

「わしに向かってテメェとは何じゃ!? 訂正せい、訂正するな! 訂正するな、訂正せい!!」


「ハイハイ(相変わらず訳分んねーなコイツ)。これからどうするのか、少しは考えときな。じゃあな」


「……」


松本は面会室を後にした。


(もう終わりなの?)


シゲミは独り、思った。




Kに新キャラノブ、新キャラMIYAZAKI、新キャラキングオブハヤシ、新キャラシロウ……。サブキャラ達の影は濃過ぎて松本の凶暴性すら霞む――。


それでもまた夕日は沈み、朝日は昇る。


松本と不愉快な仲間たちの季節は、これからも過ぎてゆく。




松本という漢Ⅴ 完

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