第十六節 M
第十六節 M
ここは、河本や老師Aが住んでいるグループホーム――、
木漏れ日が温かい春の日のコト、それは突然巻き起こった。
「僕の卵とケチャップが、無い!!」
利用者Aが、冷蔵庫の異変に気付いた。卵とケチャップが、盗まれていたのだ。
「卵とケチャップが、無くなってます」
利用者Aは、その事実をすぐにスタッフに報告した。スタッフによる現場検証が行われる――、
「あなたがやったんですね?」
「すいません」
犯人は、MIYAZAKIだった。
MIYAZAKI――、彼は、入院中にはこんな発言をしていた。
「人のモノを盗るのは、良くないなぁ」
おまいう。
「警察に届け出を出しても良いんですよ?」
「ん゛ー」
「もう! 今度やったら容赦しませんからね?」
「はいー」
1カ月後――、
「ソワソワ」
MIYAZAKIの様子がおかしい。
(盗みがしてぇ)
その日、利用者Kが、(Kだらけだなこの小説)不用意に自室のドアを開けてグループホームの事務室に足を運んでいた。
(しめた……!)
MIYAZAKIは、利用者Kの部屋に侵入、ドア付近に置いてあった味噌汁一食分の素を盗んだのだった。利用者Kが事務室から帰ってくる。
「? アレ?」
自室のドアが全開になっていた。
(ここまで開けてた訳じゃないのに……!)
利用者Kは味噌汁一食が無くなっているのに気付いた。
「誰だ!?」
ふと左横に視線をやると、MIYAZAKIが上空に視線を向け、何度もまばたきをしていた。明らかな挙動不審である。
(……ヤツか?)
利用者Kはスタッフに連絡を入れた。
「うーん。でも、証拠がないからねぇ……」
「この前卵とケチャップを盗んだじゃないですか!」
「うーん、ドアのカギはしっかり閉めて、証拠を見つけたら連絡してね。ガチャッ、プープープー」
「! ! !! !?」
利用者Kは落胆した。
(対応してくれよ……!)
更に数か月後――、
利用者Kの父が、シャインマスカットを仕送りしてきた。
「(うん、美味いな)老師A、ちょっと」
「?」
利用者Kに呼ばれ、老師Aは寄ってきた。コレ、3つあげます。
「パクッ」
間髪入れず老師Aはシャインマスカットを食した。
「美味いなー」
老師Aはご満悦の様子だった。それを物陰から見つめる者が――、
(……盗みがしてぇ)
MIYAZAKIだった。MIYAZAKIは、その日のうちにシャインマスカットを4粒盗んで、食した。
(うめぇ。やっぱり盗みは、止められねぇぜ)
当然、利用者Kはそれに気付き、
「シャインマスカットが、減ってました」
スタッフに連絡した。
しかし――、
「大きく名前を書きましょう」
「!?」
犯人探しには至らなかった。
(もー! また盗まれるだろ!?)
利用者Kは納得がいかない。
さて、盗み癖が治らないMIYAZAKI。着る服を引き千切るという癖も持ち合わせている。
「ン゛んー!!」
「ブチブチブチ!!」
「またやったのー! 何回目ですか!?」
「イライラしたんで……」
「そんな言い訳、理由になりません! お菓子代から、シャツ買う為にお金引いときますね。もうあと一枚しかありませんよ?」
「あいー」
MIYAZAKIの犯罪と奇行の衝動は、とどまることを知らない!




