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松本という漢Ⅴ  作者: 時田総司(いぶさん)


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第十三節 ノブ・リターンズ

第十三節 ノブ・リターンズ




「!!?」






kは恐怖した。何事も無かったかのように無表情で、機械の様なトーンで言葉を発する、ノブに――。


「て、テメェは……!」


急に標準語になるk。それに対し、


「ああ、あとコレ、お返ししますね」




「ヒュン!」




ノブは腹部に刺さったナイフを右手人差し指と中指で引き抜き、kへ向かって投げ返した。




「サクッ!」




ナイフはkの足元のアスファルトに突き刺さった。


「!」


kは悟った。


(このアマ、腹にナイフが効かねぇ。厚い脂肪で、ナイフが届かねぇんだ……)




「ジリ……」




数秒の沈黙が、kとノブの二人を包み込んだ。次いで、


「クルッ」


ノブはそっぽを向いた。


「?」


突然のノブの行動に対し、不審に思うk。そしてノブは口を開いた。




「あなたー! 頑張ってー!!」




「ズデッ」


ノブの頭の中お花畑っぷりに、流石に腰を抜かしたk。


(このおんら、ヤヴァイやつれすー。かかわっれあいけまれんー)


その場からゆっくりと姿を消した。


「あーん、もう向こうへ行っちゃってたんだったー。待ってー松本君ー!」




「ドスドスドスドス」




一方のノブは駅伝のコース沿いに走り去った松本を追い、走った。






今回の駅伝大会は、河川敷のコースを往路復路で帰ってきて、次の走者にタスキを渡すコトとなっている。




つまり、スタート地点とゴール地点が、全員一緒となっている。松本は折り返し地点をすぎたらへんで思う。


(ゴールまで半分切ったか……。ゴールにはあのクソBBA居る、あのクソBBAが待ち構えている……クソッ……!! ゴールした後、どうすれば……。あのクソBBAから逃れなくては……)


すると、


「ドスドスドスドス!!」


「!!?」


前方から爆音を轟かせながら何者かが走ってきた。


「あなたー!」


ノブだった。


「! BBA!!」


ノブは松本に追い付くや否や、松本と並走してきた。


「うっふ。あなた、はちみつレモンよ」


ノブは並走しつつ、タッパーからはちみつレモンを、松本へと差し出した。


「うっふ」


ノブは目を輝かせている。


瞬間――、




「ドッ!!」




「ベシャア!!」


松本は、タッパーごとはちみつレモンをノブの顔へと殴り抜いた。


「いや~ん、しみるー」


ノブのHP564に対して、はちみつレモンのダメージは2程度だった。


「キサマの小汚い手で作られた食いモンに興味はない。失せろ」


松本はノブを冷たく突き放した。


しかし――、




「じゃあ、タブレット(噛み砕くやつ)はどう? ビタミンC豊富よー?」




「!?」


ノブの心はノーダメージだった。ノブにはあらゆる攻撃が無効の様だ。ある意味最強である。


「おいしいよ~」


(コイツ、無敵か!?)


松本は動揺していた。×2△□×高校との抗争以来の、窮地に立たされていた。※松本Ⅱ、第十節参照。


「うっふ」


しかし――、


「ゴッ!」


松本は勇気を振り絞り、ノブの鼻っ面目掛けて右ストレートをお見舞いした。




「いいぃぃぃっひぃいい」




ノブは鼻血を噴き出してぶっ倒れた。




ノブ、死す!!!!




「あいいぃぃいいい! やりまちたぁああ!! にっくきBBAが土にかえりまちたー」


ノブが死ぬや否や、後ろ美人、kがヒョコッとどこからともなく現れた。


「こえれわたちとまちゅもちょらんら、べっとれワンナイトラヴをうかえられますー」


ワンナイトラヴはやけに発音がいいk。


しかし――、


「ゴッ!」




「ぶへらっ!!」




kにも松本の鉄拳が飛んできた。


「お前に対しても心や身体を許した事は……無い!!」




後ろ美人、k――、散る!!!!




「さて、と……(家に帰るまでが駅伝だ。行こう)」


松本は色々なハプニングに見舞われ、少々遅れてゴールに帰って来た。そして松本のチームは、30チーム中27位でゴールした。

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