-Unclear Sight-
…………耳が良く聞こえない、視界が霞む。体の節々が痛む……
「……城先輩!起きて…さい!白城先輩……」
誰だ、誰かが俺の名前を呼んでいる。
「…城先輩!白城先輩!!!」
それは後輩の北山伍長の声だった。気絶していたようだ。……何が起こった?廃墟群を装甲車両で移動中、石動の声が聞こえて…そこから先は覚えていないが、状況的に車両が何らかの攻撃を受けたことだけは確かなようだった。
「何が起きたんだ、北山!?」
「俺達の車両がロケット砲でぶっ飛ばされました!運転手の石動は死亡!他にも飛田と柴田、郡山がさっき撃たれて死亡しました!
先輩も早く撃ってください!そこら中敵だらけです!」
そう叫んで北山は俺のM4カービンをこちらに投げて寄越した。襲撃を受けてから廃墟内に移動したようだが、尋常ではない数の敵が
あちらこちらから来ている。遮蔽物が幾らかあるとはいえ、このままでは全滅は免れない。とにかく撃ちまくる。
「それにしてもこの敵の数は何なんだ!?事前の報告では敵は一個中隊だと聞いていたぞ!」
俺が撃ちながらそう北山に叫ぶ。
「俺も全く訳が分かりません!敵がこちらの方にほぼ戦力を割いたか、あるいは最初の報告が間違っていたとしか考えられません!」
「くそっ!役立たずの偵察め!」
俺はそうやって、怒りを敵にぶつけるように、カービン銃を撃ち続ける。
「ぐあっ!」
「寺田軍曹が被弾!繰り返します、寺田軍曹が被弾!」
また部下が一人減って、このまま防戦していても生存できる可能性はほぼないと考え、北山に本部への救援要請を出すように言う。
「北山!救援要請を出せ!このままじゃ全滅だ!」
「ええ、今やろうと思っていたところです、少々待って下さい!」
そうやっている間にも敵の攻撃は緩まることなく確実にこちらの戦力を削いでくる。弾薬が不足するたび、死体となって転がっている仲間の懐から補充していく。しかしそれももう限界で、手持ちの弾薬はM4用の弾倉があと二つ、P220用の弾倉があと一つにまで減ってしまった。
「クソッ!あと二十秒もかけて二百メートルも先の回収地点に着陸しやがるらしい!そんなところまで行ってたら死ぬってんだよ!」
交信を終えた北山は声を荒げながらそう言って、次のように続けた。
「先輩、救助ヘリは西南西、二百メートル先の回収地点に着陸すると言っていました!こんなとこでチンタラしてないでさっさと行きましょう!」
「ああ、わかってる。木山!五十嵐!通!聞こえたな!今すぐ回収地点に向かうぞ!」
そうして、俺達はすぐさま回収地点へと向かうが、追撃が激しく、思うように進めない。
「五十嵐二等兵が被弾しました!」
「クソッ!置いて行け!もう無理だ!」
また一人部下を失い、回収地点もすぐそこにまで迫ってきた。
「もう大丈夫だ!早くヘリに乗れ!」
救助ヘリに乗っていた救援隊の隊員の一人がそう叫ぶ。俺と木山と北山、通は約三十メートル先にまで迫ったヘリを目指して走る。走って、走る。しかし後ろで何かが落ちる音がした。
「危ない!」
救援隊員がそう叫んで、俺が後ろを見たときには、爆音が聞こえて、そして視界は少しずつフェードアウトしていった。




