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晴れ時々曇り、ところによりロボが降るでしょう 2

「あ、あはははははは、目、覚めたんだ」

「助けてくれてありがと。部屋も貸してくれたことも感謝するわ」

 乾いた笑みを浮かべる朽野に、お礼を言いつつも、冷めた目で朽野を見る六花。

 小さなテーブルを挟み、二人の手元には、珈琲がおかれている。

 これは、神奈川を中心にチェーンを展開するスターファックスが提供するコーヒーだ。

 海外からの輸入が絶えた今、国内でコーヒー豆を入手するのは困難だ。噂によるとスターファックスの工場内では夜な夜なモンスターの悲鳴が聞こえてくるという。

 今いれたコーヒーはブレンドコーヒーだが、いったい何をブレンドしたのか……考えたくもない。


「で、私をどうするの?」

 朽野がどういった人物か分からないにも関わらず堂々とした態度。

 逆に、家の主である朽野のほうが居心地が悪くなる。

「どうするのって」

 ふむ、と朽野は考え込むように自分の顎を撫でる。


 まず、その服を×××いて、その後、ねっとりねっちょりと×××で、ついでに、×××をつけてもらって、『ご主人様、御奉仕だニャン』なんて言ってもらって、んでもって、×××を使うのもいい。

 ああ!しかし、×××に、×××を××れるのも(なろう規約により以下略)


「……2、3日は自分があなたの身柄を預かります。その後、横浜にあるキャメロット城に同行してもらいます。何、神奈川は『比較的』人道的な国です。悪くはしませんよ」

 と、脳内の妄想を隠し、紳士のような落ち着いた動作でコーヒーを口に運ぶ。

「目、いやらしい。何か邪なことを考えている」

 ごふる、とコーヒーを噴き出す。


「そ、そそそそそ、そんなことありえませんよ。マドモアゼル」

 やばいばいばい。いや、確かに妄想した。

 黄金色の髪をポニーテールに結んだ、うなじの部分とか

 芸能人でもみないような日本人と西洋のいいとこ取りの整った容姿とか、

 出るとこ出て、しかも、くびれるところはくびれている、まさにドッ、キュッ、ボン!(死語)な芸術的な肢体とか、まさに魅惑的な魅力を振りまいている。

 まさにモン○ンでいうG級な存在。この様な至宝の前では妄想しないほうが失礼にあたる。


「ま、まぁ、年頃の男の子ですし!わ、私を見てそんなこと考えるのは、ま、まぁ当然のことだし!べ、別に恥ずかしい訳でもないし」

 ハン、と鼻で笑うように話す彼女。態度だけみれば余裕がありそうだが、頬が真っ赤に染まり、視線が泳ぎまくっている。

「な、成る程、お、男ってものが解っていますね。とはいえ、私は紳士です。レディーにそんなこと、す、するはずないですよ」


 紳士といっても変態という名前の紳士だが……

 ともあれ、二人とも慌てていた。

 朽野は、自分がいやらしい妄想をしていたことを言い当てられて

 彼女は、自分がそんな目で見られていることを知り

 結果として……


「わ、解っているわよ。私も経験豊富だから!そ、そんなのすぐ解ったもの!」

「な、成る程、経験豊富、ですか」

(経験豊富、か。じゃあ、俺じゃ相手もされないだろうな。彼氏もいるんだろう。くそっ、リア充爆発せよ)

(ヤバイヤバイヤバイ、経験豊富なんて言っちゃった! お礼に身体を要求されたらどうしようっ!き、キスさえ経験ないのにえ、えーっとそういう場合、『出来る女』はどうするんだっけ?)

 そう、六花の内面はかなり純粋だ。しかし、見栄っ張りな性格と、派手な外見から周囲からは勘違いされやすい。

 当然、女性の機微を読むのが下手な朽野がそんなことに気づくことなく、お互いに勘違いしたまま、話が進む。


「お、お互い肩肘張った話はやめましょ。殺すなり、私の体を自由にするなり、選択肢はそちらにある訳だし」

「あるの?」

 その言葉に、六花は、はぁ、とため息をつく。

「勿論、抵抗はするわよ」

 だが、もし朽野がその気になれば、抵抗は無駄だろう。

 自分のHPを確認する。真っ赤なゼロ表示。

 HPとは自分を覆うシールドの残りの耐久度だ。ゼロになれば、当然シールドは消滅。

 そして、装備、スキル、チャットなどのプレイヤーとしての様々な恩恵が使えなくなる。

 即ち、一般人と変わらない状況となるのだ。


 その言葉に、朽野は、ハァ、とため息をつく。

「あ~、そんなことしないよ。まぁ、欲求はあるがそこまで堕ちてはいないし」

 朽野の口調が変わる。

 戦闘時の冷たい声でも、先程の紳士風でもない。なんというか、だらけた声というのが一番しっくりくる。

 何とも格好のつかない声だが、これが素の彼だと思うと六花の頬が自然とゆるむ。

「警戒されているけど、さっき言った通り、キャメロット城に連れて行くってのは本当。まぁ、町田と違ってあそこなら安全だよ」

 ここ町田は、神奈川と東京の境にある。

 PANZER(パンツァー) VERTRAGフェアトラーク系のアイテムが手に入る神奈川では貴重な土地。しかし、戦争となれば、真っ先に攻められる場所でもある。


「じゃあ、復活薬寄越しなさいよ。正直、HP0って状況かなり厳しいんだけど……」

 復活薬、ゲームによっては気づけ薬、蘇生キッドなど様々な名称はあるが、回復アイテムに関してはどのゲームのプレイヤーでも関係なく共通の効果を得ることが出来る。

「ああ、りょうか……」

 そこで、朽野が言葉を切る。

 六花が警戒した面持ちで、彼を見る。気が変わったのか、そう感じたのだ。

 しかし、彼は、違う違う、と苦笑しながら手を振り、こういった。

「ごめん、復活薬切らしてた」




すみません。キリが悪かったので短めです(汗

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