第37話 フレイム
フレイムの巨大な火球によって。
戦場は炎に包まれていた。
煙が舞う。
熱風が吹き荒れる。
地面は焦げ。
周囲の建物も崩れている。
フレイムは息を吐いた。
「やったな!ペーパー!!」
だが。
ペーパーは首を振る。
「いや」
視線を煙へ向ける。
「油断するな」
冷や汗が流れる。
「相手は第36位だ」
煙の向こう。
何も見えない。
だが。
嫌な予感だけは消えなかった。
その時だった。
チューチュー。
小さな音。
フレイムが視線を落とす。
ネズミ。
一匹のネズミが走っていた。
「なんだ……?」
次の瞬間だった。
ネズミの身体が膨れ上がる。
筋肉。
牙。
爪。
巨大化。
「がはっ!!」
ファングの腕が。
フレイムの腹を貫いていた。
ペーパーの顔から血の気が引く。
「な……」
ファングが笑う。
口から血を流しながら。
「ギリギリだったぞ!!」
顔には火傷。
足からは出血。
それでも。
生きていた。
「覚醒能力がなければ死んでいた」
『獣王化』
名前からすると巨大な獣になるイメージだが。
ファングは爆発の直前。
身体の小さいネズミへ変化し。
爆風に乗って吹き飛ばされ。
致命傷を避けたのだ。
ペーパーは絶望する。
終わった。
フレイムはやられた。
自分の紙もほとんど残っていない。
勝てない。
もう。
どうしようもない。
その時だった。
ガシッ。
「なに!?」
ファングが目を見開く。
フレイムだった。
腹を貫かれながら。
ファングの顔を掴んでいる。
血反吐を吐きながら。
笑っていた。
「俺は……」
苦しそうに息を吐く。
「まだ死んでいない!!」
ファングの表情が歪む。
そして。
ペーパーを見る。
「ペーパー!!」
ペーパーが目を見開く。
フレイムは笑った。
いつもの。
明るい笑顔だった。
「短い間だったが」
炎が集まる。
身体の中から。
口へ。
「友であった!!」
次の瞬間。
轟炎。
ボオオオォォォォ!!
フレイムの口から大量の炎が。
ファングの顔へ叩き込まれる。
「ぐわぁぁぁぁぁ!!」
悲鳴。
顔が燃える。
皮膚が焼ける。
骨が砕ける。
そして。
頭部が灰になった。
ファングの身体が崩れ落ちる。
同時に。
フレイムも倒れた。
能力ランキング第70位。
能力『火炎球』
フレイム。
死亡。
能力ランキング第36位。
能力『獣王化』
ファング。
死亡。
ペーパーは動けなかった。
友を失った。
言葉が出ない。
そしてそのまま。
倒れる。
気絶した。
その時だった。
「嘘ですよね……?」
トレイルが呆然と呟く。
信じられなかった。
ファングが死んだ。
あまりにも突然に。
そして。
ゴキッ。
嫌な音が響く。
「え……?」
トレイルの視界が傾く。
身体から力が抜ける。
地面へ倒れる。
首が折れていた。
薄れゆく意識の中。
一人の男が立っている。
太った男だった。
お菓子の袋を持っている。
その男は安心したように息を吐く。
「やっぱり」
「能力者しか追跡できないんだね」
そして。
笑った。
「よかったー」
トレイルは理解できなかった。
なぜ。
自分が。
こんな男に。
負けたのか。
能力ランキング第67位。
能力『嗅覚追跡』
トレイル。
死亡。
男は倒れたトレイルを見る。
そして。
戦場へ視線を向けた。
能力ランキング第59位。
無能力者。
能力至上主義の国の王子。
ライゼンとアクアの息子。
ついに。
戦場へ現れた。
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能力至上主義の国
15位 ライゼン 『雷神化』
25位 アクア 『海王化』
37位 ミラー 『反射障壁』
49位 ストーム 『槍』 死亡
59位 ? 『無能力』
70位 フレイム 『火炎球』 死亡
81位 ミント 『軽度治癒』
88位 ペーパー 『紙変形』
96位 スパーク 『光電』 死亡
ディバイド陣営
19位 クロエ 『影喰い』
27位 ロア 『地殻操作』
36位 ファング 『獣王化』 死亡
67位 トレイル 『嗅覚追跡』 死亡
ギル陣営
30位 ギル 『金属融合』
62位 ナギ 『水流操作』 死亡
99位 ミスト 『湿度操作』




